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波は移動しません ここ重要(波動の本質)

波は、日常見ているので何となくどういうものか分かっているつもりでいます。
しかし、その本質を深掘りしてみると意外と面白いです。


1、波動で伝える(伝達の役割)

水面にポタリと水滴が落ちてできた波紋。
中心から外側に向かって移動しているように見えます。

しかし、本当は移動はしていません。水がその場で上下しているだけです。その山や谷の部分が外側へ伝達されるので、水(波)が移動している様にみえるだけです。(海岸の波は条件が少し違うので、陸に向かって動いています)

つまり、波は物質的な移動を伴わずに、何かを移動させている事になります。
高い水面は位置エネルギーが高い状態です。その部分が中心から外側へと移動するわけです。即ち波の本質とは、物質の移動なしにエネルギーだけを伝達することです。

波をイメージする良い方法は、媒体の存在を意識する事です。
媒体とは波を伝える物質の事で、それ自体は移動せず、動くだけです。
「移動」と「動く」は同じに聞こえるかもしれませんが、ここではこのように区別してください。
・「移動」とは、ある地点から別の地点へ動く事。(家から会社に行く等)
・「動く」とは、その場で動作する事(家で体操する等)

今、東京にいて、大阪に設置してる機器のスイッチを押したいと思います。
電話やリモート機器などは無いと仮定します。
この場合、まずは単純に人が新幹線や飛行機に乗ってスイッチを押しに行く方法があります。 

もう一つ別の方法を考えてみます。東京から大阪までドミノを並べて、ピタゴラスイッチのように大阪のスイッチを押させます。つまりドミノを媒体として東京で倒したドミノのエネルギーを大阪まで伝達させるのです。これが、波の基本的な概念です。

上記は仮想的な話でしたが、現実の現象はどうなっているでしょうか。
例えば空気を媒体として伝わる波は「音」です。音は真空中では伝わりません。
そして空気が移動して音が伝わるのではなく、空気振動が次々に伝達されて遠くに伝わるのです。(音は、空気以外の物質も媒体となります)。

「音」は空気、「波」は水、「土」は地震、という様に、それぞれの波に媒体が存在し、それを介してエネルギーが伝達されていくわけです。

但し、媒体がなくても伝わる波もあります。
電磁波(電波)です。 なぜ媒体が存在しないのに伝わるのかは分かりません。
電界と磁界の相互作用だけで伝わるのか、媒体が存在するけど見つけられないだけなのかはっきりしていません。

2、波動で状態や性質を知る(情報の役割)

波動のもう一つの特徴は、物質の「状態」や「性質」を表す事です。
その方法は2つあります。
①物体が発している波動を観測する。
②波動を与えて、その反応を観測する。

①物体が発している波動を観察する

・色→「色」は光の周波数で表せます。(周波数とは振動の速さの事です)。
色は目で見るものなので光として認識されます。光は電磁波ですので、その周波数が色によって異なると言う事です。(各色の波長

・人体→「心電図」「脳波」など、体の状態を測定できます。
人体に電極をつけて微弱な電気信号を測定する事でこれらの波形を得ることができます。

・地震→原因の特定。地震は自然現象だけでなく、兵器(爆弾)などの実験で発生するものもあります。地震波形でそれを区別する事ができます。また火山性地震を認識して噴火の予兆を知る事ができます。

②波動を与えて、その反応を観測する

レーダー→ 電磁波を飛ばしてその先にある物体が反射する事を利用し、物体の有無を確認できます。雨雲レーダ、航空機管制用レーダー。

レントゲン→ 電磁波(X線)を物体に透過させ、物体による透過率の違いを利用して、その影を観察して内部の形を観察します。

ソナー、エコー→ 双方とも原理は同じ。音波を飛ばしその反射波を測定する事で、物体の有無や内部の状態を確認します。ソナーは潜水艦(周囲の障害物を検知)や魚群探知機、自動車外物の接近検知に使われます。 エコーは主に医療用で反射波を処理し映像として体内を観察できます。

3、共振

波動の大きな特徴の一つとして共振があります。共振の意味合いを簡潔に表すならば「エネルギーを最大限に伝えられる現象」と言えます。そしてそのエネルギーは累積される事も特徴的です。

共振の説明に入ります
物には固有の周波数が存在
します。この場合の周波数とは、物が発する周波数という意味ではなく、共振する周波数という意味です。 例えばブランコを漕ぐ時、ブランコの動きと同期させて漕げば振幅がどんどん大きくなります。 これはブランコが持つ周波数と同じ周波数で漕いでいるためです。(漕ぎ始めも、その後も周波数は同じです。周波数はブランコのロープの長さだけで決まるからです)

また、よく知られているのは、声(音波)でガラスコップを割る事です。
ガラスコップの固有周波数と声の周波数が一致した場合、共振によりにコップの振動(振幅)が大きくなり歪みに耐えかねて割れるのです。
ガラスは硬い(弾力性がない)がゆえに、僅かな歪みでも割れてしまいます。

共振周波数は、その物に最大のエネルギーを与えます。
それ以上でも以下でも最大になりません。
ですので、機器の振動試験(振動で部品が外れたりしないか確認する試験)では、その機器の共振周波数を探す事から始めます。
それは、「周波数が高いほど厳しい条件という訳ではない」からです。

一般的に最大のエネルギーを与えようと考えたら、「電圧」にしろ「熱」にしろ「力」にしろ、できるだけ大きな値をかけたほうがいいわけです。
しかし波動のエネルギーは、それが成り立ちません。
最小周波数と最大周波数の間にエネルギーのピーク(共振周波数)が存在するのです。

更にこのエネルギーの印加は累積されます。
例えば、ある物体に100℃をかけたとします。何回かけたとしても100℃以上になる事はありません。 共振の場合、1の力を二回かけたら2、三回かけたら3のようにどんどん累積されます。(厳密にはロス分が差し引かれるので全て無駄なく累積されるわけではありません)

ですので、一発は弱い力なので問題にならないと安心していると、共振によって思わぬ力を受ける事があるので注意が必要です。

4、まとめ

伝達としての波動により、物質が移動せずともエネルギーだけが移動します。
情報伝達の場合はエネルギー伝達ではないと感じるかもしれませんが、
情報かパワー(エネルギー)かは、単に用途の区別にすぎません。
どちらもエネルギーであって、その大小が違うだけです。

また、波動によって様々な情報を知る事ができます。
それは古代の人も気づいていました。天体や自然現象に周期性を見出し、それを生活の知恵として利用していました。

共振の概念は、必ずしも最大値の所にベストパフォーマンスが存在するとは限らない事を教えてくれました。

物の動きは基本的に「往復運動」と「回転(公転)運動」しかありません。回転運動は往復運動とも言えるので、動きは全て往復運動に集約されます。往復運動は波動そのものです。 ですので、あらゆる物に波動が関係してくるのです。

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