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それ詐欺ですよね!?

ある先生(研究者)のブログに面白い記事があった。
「おめでとうございます! 貴方は著名人に選ばれました」というメールが海外から届いたそうだ。世界中で選ばれた2万人がリストに掲載され、冊子になり世界中の大きな図書館に保存されるというのだ。
リストに掲載される前に審査があるというので、審査に落ちないよう履歴書と研究業績を書いて提出したと書いてある。

え!、大丈夫? これ詐欺じゃないの。 と思いつつ先を読んだ。
しばらくして「おめでとうございます、掲載が決まりました」というメールが。
そのメッセージの後に、この様な内容が。
あなたの名前が掲載された著名人リストを特別価格で販売します、通常7万円のところ今なら4万円で購入できます。

おいおい、詐欺確定でしょう。
でも、このお方、特別価格にしても随分高いが名誉はお金にかえられない、このような事は人生に一度きりかもしれない、と購入を決めた。

ああ〜、ダメですよ。と思いつつ読み進めた。
しばらくすると、またメールがきた。
「あなたのために賞状を作ったので買いませんか」という内容だ。
賞状の方が本より他の人の目につきやすく自慢できるので、迷わず買った。

更にメールが届き、今度はトロフィーを作ったので買わないかという内容。
ガラス製の立派な物で、これも欲しかったが家族に反対されて断念した。

この時点で私は思った。
「・・・という詐欺に私は会いました。皆さん注意しましょう」という感じで締めくくるのであろうと。

しかし、予想を覆す内容が。
不思議なことに,海外の知らない会社より著名人に選ばれたので履歴書を送って欲しいとのメールがやたらと届くようになった。最近の私は研究成果を上げているので,ほうぼうより著名人として認められているのだろう。
忙しいがまた履歴書を書かなければいけない。

このお方は確信犯なのであろうか、私の笑いのツボに見事にはまった。
しかし、他の記事を見ると、笑いを取るようなものはなく全て真面目な記事だ。

この詐欺について検索して調べてみた。訴えられると困るので具体名はここでは言えない。この団体に対して怪しいという記事はあるものの、詐欺に遭ったというものは確認できなかった。

しかしそれは当然の事かもしれない。購入した人はこれを詐欺だとは感じていないのだから。 

確かに、冷静に考えればこれは詐欺だとは言えない。
業績を残した人をリスト化して賛え、その為のグッズ(賞状やトロフィー)を売る事は詐欺ではない。 

これは、価値観の問題なのだ。
その価値観を商売のネタにしている。名誉をネタにしているのだ。

これを詐欺というなら、ブランドバッグも詐欺になってしまう。
材料費、加工費、物流費を考えたら、数百万円するバッグなんてありえない。
でも詐欺で訴える人はいない。 これはブランド代なのだ。
ブランドと言う価値にお金を払っているのだ。

極論かもしれないけど怪しい壺も同じ。
幸せになれる壺は、単なる壺ではない。
売る人も、買う人も本気でそう思っているなら詐欺にならない。
売る人が騙すつもりであっても、本心なんて誰にもわからない。

私が詐欺と断言すれば、その人の価値観を否定する事になる。
この著名人リストの話は、私にとっては詐欺話に聞こえるが、そう思わない人もいる。
それは価値観の違いである。


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