「キモい」はその効果範囲を自分で指定出来ない。

女子高生にキモイと言われ髪を引っ張り暴行した35歳の男が逮捕された。この事件について、「キモイ」という言葉は危険だから使うべきではないという意見に対し、いやキモイという言葉は使ってもいいんだよという意見が多いのだが、ほんとに無責任だなと思う。

・ネットでキモイキモイ言っている人達は現実の女性を救えないし救わない

今回の件に限らずよく考えて欲しいのだが、誰にも助けてもらえない状況では自分の発した言葉によって起きた出来事の責任は全て自分で取らなければいけない。(この責任という単語は女性を非難している訳ではない)
なぜなら誰も助けてくれないからである。今回の事件はなんと助けに入ってくれた50代男性が居てもなお髪を掴まれて暴行を受けてしまっている。この50代男性がもし現場に居なかったら?居ても助けてくれず逃げてしまったら?女子高生は髪の毛を掴まれただけで済んだのだろうか?もっと酷い暴力を受けていてもおかしくはない。
女子高生は頭や腕に全治一週間のけがという事らしいのだが、暴力を振るった男は手加減してくれていた可能性が高い。男が本気で殴る蹴るの暴行を加えていたら全治一週間では済まなかったかもしれない。今回はたまたまこれだけで済んだが、もしかしたら女子高生は致命的なダメージを負わされていたかもしれない。非常に危険な状態だったわけで、その危機に対して女性は基本一人で立ち向かわなければいけない。

誰もスーパーマンになって空を飛んで助けに行ってあげられない。とくにネットでキモイについてひたすら論争してたり(俺もだが)、ツイッターやyoutube配信でキモイキモイ言ってるだけのやつには無理。
女の子は基本一人で戦わなければいけないし、仮に最速のタイミングで通報したとしても警察官が来てくれるまでの5分~10分の間、(この時間も希望的観測だが)女性は一人でトラブルに対処しなければいけない。このトラブルに対して危険度を1%でも下げて欲しくて「キモイ」という言葉は避けたほうがいいですよ、とずーっと言ってるのにそれに対して「いやキモイだろ」とか「セカンド・レイプ」とか「トーン・ポリシング」とか「マン・スプレイニング」とか言われ続けている。お前はネットで悪口言ってスッキリしてればいいのかもしれないが、夜に外を歩いている女性は目の前のキモイ男を罵倒してスッキリ~で終われないんだよ、自分の取ったリアクションに対する相手の反応は自分で受けなきゃいけない、物理的に接触出来る距離でだ。

「キモい」はその効果範囲を自分で指定出来ない。キモイと言い続けたいし言わせ続けたい人達にとってキモイとは防衛手段であってオブラートに包まれた表現らしいのだが、そんな理論は貴方達の界隈の外では通用しない。
キモイという言葉は3文字にあらゆる意味を内包している。容姿、言動挙動、人格、行動など、気に入らない全てのものに適用出来る、強い言葉なのだ。あらゆるものに適用出来る言葉なのでどう受け取るかは相手次第、今回の事件でいえば加害者がどのように受け取るかは発言者にはコントロール出来ない。女子高生は相手の行動や言動に対して発言しているつもりでも、加害者は容姿や人格、もしかしたら自分の35年の人生を全否定されたような気持ちになったかも知れない。夜10時に未成年に声を掛けるという加害行為を行っている危険な男相手に強い言葉を使うのはリスクを高めてしまう行為であると言うしかない。
俺はキモイという言葉はキモイと言った瞬間に相手が気絶するとか、助けてくれる第三者が召喚されるとか、本当の意味で自分を守ってくれるような魔法の呪文にならない限り使うべきではないと思うし、成人男性である俺自身も危険なのでまずキモイという単語は使用しないと思う。でも使いたい人は使えばいいとも思う、とても危険だけど。

今後も暴力の危機に晒される女性達にキモイという言葉を使わせたいのならなんらかの方法で守ってあげなきゃいけないとおもう。具体的にはツイッターとかネットでキモイキモイ言ってる人達が集団になって夜警でもしたらいいんじゃないですか?。


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