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アルコール依存症で亡くなった親友 #23 人は自分の背景でしか物事を見られない

多くの人は
自分の背景を他人に敷いて
こうであろうと想定する。
それが悪いことだというわけではなくて
そういうものなのだと思う。
それを前提に動いたほうが
僕も傷つかないし
人を傷つけなくて済む


僕は快楽を求めてお酒を飲んでいた

お酒に対して僕は、ごく一般的な体質です。
飲んだら赤くなって飲みすぎたら具合が悪くなって
飲みすぎるとしばらくは飲みたくなくなるので
過度な飲酒を続けることはできません。

僕がお酒を飲む理由は
飲んだ時のふわっと感という快楽を求めて
飲んでいました。
お酒の味が好きで飲んでいました。
飲むと楽しいから飲んでいました。

自分がそうだから親友も快楽を求めてお酒を飲むのだと思っていた

僕は自分がそうだから
春樹君も快楽を求めて
お酒を飲むのだと思っていました。

長い年月そばにいたのに
アルコール依存症という病気であることを知っていたのに
お酒を飲んでしまうのは
快楽を求めて飲んでいるのだと思っていました。

僕も人には理解されない悩みを抱えていた

僕自身も
自分の周囲という限られた世界では
似たような人があまりいなくて
理解されない悩みを抱えていたので
春樹君に、なんでお酒やめられないの?みたいなことは
言いませんでした。
僕はアルコール依存症ではないから
春樹君の気持ちをそのまま理解することはできないけど
やめられない理由があるのだと思って
お酒を飲むことを否定する発言はしなかった。
やめてほしいとは思った、体が心配だったから。

普通の人とはお酒を飲む理由が違うアルコール依存症

考えることをやめたくて飲んでいたのもあると思うけど
アルコール離脱症によって
飲んでいる時が正常なのだと脳が認識してしまうようになって
お酒が切れると脳が正常に働かなくなって
手が震えたり、大量に汗をかいたり、ご飯が食べられなくて
それを止めるために飲んでいたのもあると思います。
僕はそれを知らずに
お酒を飲んだ時の快楽を求めて
飲んでいるのだと、ずっと思っていた。
自分がそうだから。

悪意なく疲れている人を傷つける健康な人

僕は、健康な人に元気な自分を前提に
否定の言葉をかけられた時に
悲しいと思った。
別にその人は意地悪な人というわけではなく
普通の人です。
知人程度の関係で僕の事情も知らないので
仕方ないことだと思う。

日本全体ではなく、自分の日常という限られた世界では
自分と似たような人があまりいない
理解されない病気に悩まされることも
珍しくはないと思う。

理解されない病気を体験したら他人に対しても否定しなくなる

当たり前に健康な人も「理解されない病気」を
実体験して病気の自分を受け入れた時に
きっと他の病気の人に対しても
「なんでできないの?」なんて言わなくなると思う。

人は自分や大切な人の身に起きて実体験したことしか
理解できないものだと思う。僕も。

健康な人は元気な自分を基準に物事を見るから
事情を知らない相手には
怠慢に見えてしまうこともあります。
それは仕方ないことだから、
病気だからできない自分を受け入れて
世界が違う人には挨拶のみに留めて
似たような人と共有していけばいいのかもしれない。
そして「理解されない悩み」を体験している僕は
事情を知らないのであっても
個人の自由なことには何も言わない。
不思議に思うことはあっても
わざわざ否定の言葉を口にしなきゃいけない理由がないので。

生きるために依存症を発症すると僕は思う

僕はアルコール依存症ではないけど
悩みに関しては春樹君と似ていた。
だから僕の背景を敷いて、
お酒やめなさいとは言えなかった。
体が心配だからやめようよとは言ったけど
やめなさいとは言えなかった。

依存症とは寿命を縮めるものでもあるけど
耐えがたく逃れられない状況に置かれた時に
なんとか生き延びる手段でもあったのではないかと思う。
それは僕の背景。
春樹君がどうかはわからない。

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