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旭川工-龍谷大平安 2012年夏の甲子園1回戦

2010年10月8日、私は札幌円山球場にいました。
またまた円山球場から物語は始まります。
よく掘り出し物が見つかるので、私は秋の全道大会の準々決勝が大好きなのです。
カードは札幌第一vs旭川工。札幌麻生球場でも同時に試合が行われていますが、円山を選んだのは単なる偶然です。たいていは、面白そうなカードがあるほうを選びます。

旭川工は1年生エースの左腕・官野峻稀が先発。直球の球速は120キロ台ですが、縦スライダー・スクリュー・チェンジアップに加えてたまにナックルボールまで投げる技巧派左腕です。
この試合では先発しながら2回4失点で降板となってしまいましたが、1年生が多数並ぶ打線が札幌第一のエース左腕・西島隆成に襲いかかります。
6-13で旭川工が7回コールド負けとなりますが、シャープなライナー性の打球を飛ばす打線は8安打6得点と力を見せました。

翌2011年秋も旭川支部予選を突破した旭川工。
サラッと書いてしまいましたが、旭川支部は有力校が多くて弱小校が少なく、秋の全道大会に進めるのは2校だけなので支部予選を突破するのもなかなか骨が折れる支部です。
この時の旭川工は支部予選初戦で旭川大高に勝ち、旭川農に勝ち、決勝では笠井崇正(のちにDeNA)を擁する旭川西に勝っています。エースを温存しても勝ち上がれるような楽な相手はひとつもありません。

そして全道大会では1回戦で札幌龍谷学園を相手に16安打7得点、2回戦で夏の代表校・白樺学園を相手に12安打8得点と、打撃が好調な状態で勝ち上がりました。
私は今度は麻生球場に足を運び、準々決勝の北照-旭川工の試合を観戦しました。

エース・官野を始め前年の主力が多数残っている旭川工は、1年半後にセンバツで8強に進む原動力となる北照の左腕エース・大串和弥を攻め立て、前年以上に鋭いライナー性の打球を外野にビュンビュン飛ばしました。
ただし2イニング連続でライナー併殺に打ち取られるなどの不運もあり、12安打で2得点と打線がつながらず、試合も2-6で敗れました。
それでも、この打線なら全国でも十分に通用するとの思いを強くしました。

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