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北海-砂川北 1994年夏の甲子園2回戦

「2時間の兄弟げんかをしようじゃないか」

砂川北の佐藤茂富監督が両チームのナインに呼びかけた有名なセリフです。

1994年夏の甲子園に出場した北北海道代表・砂川北は、初戦で江の川(現・石見智翠館=島根)を6-5で破り、同校の甲子園初勝利を成し遂げます。
一方南北海道代表・北海は、初戦で優勝候補の宇和島東(愛媛)を6-2で破りました。この試合については、前著「高校野球北海道勢 平成の甲子園名勝負22選」に収録しております。

北海道代表の2校は、同じ宿舎に泊まるのが通例です(高野連に割り当てられます)。
佐藤監督と北海の大西昌美監督は旧知の仲。東京出身ながら1985年に北海の監督に抜擢され、右も左も分からない大西監督に手を差し伸べたのが、佐藤監督でした。

以来、両校は年に2回ほど練習試合をするようになります。
当然選手たちもみな顔見知り。本館と別館に分かれてはいましたが、甲子園では宿舎も同じなので、一緒に風呂に入ったり食事をしたり、仲良く過ごしてきました。

ところが、思わぬところから横やりが入れられる形になります。
2回戦のクジ引きが残り3枚になり、砂川北の青柳努主将が引いたクジは北海を引き当ててしまったのです。
「まずい。やっちゃった」と思わず北海の大矢塁主将と目が合ってしまいましたが、後の祭り。
ということで2回戦が、砂川北-北海というカードになりました。これは史上初であり、2024年センバツ終了時点では唯一の北海道勢同士の甲子園での対戦となっています。

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