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東海大四-東邦 2001年センバツ1回戦

東海大四は私が本格的に高校野球を見始めた1989年センバツで初戦突破している高校で、私にとっては苫小牧工と並んで「甲子園の原点」と位置付ける高校です。

1986年夏に伊良部秀輝(のちにロッテ、ヤンキースなど)を擁する尽誠学園(香川)を破って以降、今回取り上げる東邦戦を含め、甲子園出場6大会連続で初戦突破しており、校名が「東海大札幌」に変わった現在も記録は継続中。
つまり平成の甲子園では初戦敗退が一度もなく、初戦突破率の高さから私は勝手に「北海道の明徳義塾」と名付けました。

前年秋の神宮大会では、初戦の2回戦で東福岡に1-5で敗れています。ただし東福岡は準決勝で常総学院(茨城)に12-3、決勝で尽誠学園に8-0と圧勝で優勝しているため、スコアだけで考えれば「相手が悪かった」と言うこともできます。

12年ぶり5回目出場の東海大四のスタンドには、東海大仰星(現・東海大大阪仰星)の友情応援が入りました。東海大系列の横のつながりの強さは有名で、練習試合を優先的に組むのはもちろんのこと、東海大四の甲子園出場時は毎回のように東海大仰星が応援に入っています。遠路はるばる大応援団を送り込むことが難しい東海大四にとっては、とてもありがたいもの。

そして東海大系列といえば、系列校と情報を共有することも有名。例えば2004年夏の甲子園準決勝・駒大苫小牧-東海大甲府の試合前には、同じ北海道の東海大四が系列校の東海大甲府に対し、キャッチャー糸屋義典のクセなどの情報を提供しており、東海大甲府は試合に敗れたものの12安打8得点と情報を生かしています。

対戦相手の東邦は、愛知県大会は中京大中京に敗れ2位。東海大会では桑名西(三重3位)、静岡学園(静岡1位)にいずれもコールド勝ちし、準決勝では四日市工(三重1位)に6-7に敗れてベスト4という結果でした。この年の東海地区は3枠でしたが、同じくベスト4の中京大中京が準決勝で8回コールド負けだったためか、東邦が選ばれて2年ぶり24回目のセンバツ出場を決めています。

今大会は記念すべき21世紀最初の甲子園ということで、新たに「21世紀枠」が導入されました。これまでの一般枠と合わせ、今大会は34校が出場しています。
翌2002年センバツからは一般枠が2校削減され、21世紀枠2校と合わせて32校に戻りました。

東海大四は秋の公式戦のチーム打率が.403で、これは34校中3位。一方で東邦は秋の公式戦のチーム本塁打が18本で、こちらは34校中堂々のトップ。
過去の実績では優勝経験のある東邦が圧倒するものの、前述の通り東海大会4強でギリギリ選ばれた東邦は優勝候補ではありません。秋の公式戦も14勝4敗と、4敗もしております(東海大四は9勝1敗)。
強打のチーム同士の対戦で、当時大学生の私は戦力的にほぼ互角と考えており、白熱した試合になると楽しみにしていました。

ところが記念すべき21世紀最初の甲子園の開幕戦となったこのゲーム、東邦の先発投手は東海大会で3試合すべて完投した3年生エース・川畑春介ではなく、秋の公式戦わずか1試合、2イニングの登板しかない背番号16の2年生右腕・長峰健太でした。

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