【4.1.3】発達段階に応じた伝え方(How to talk about self-management from all stages)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/413.html

■翻訳メモ
私は、組織の全員がティールの視点まで成長しなければ、「セルフマネジメント」はうまく機能しないのではないかという質問を頻繁に受けることがあります。しかし、その答えは「ノー」です。幸いなことに、世の中に「セルフマネジメント」を実践している組織がたくさんありますが、中には、何十年と続いている組織もあります。そこで働いている人たちは、じつに世界をさまざまな角度から見ています。今回は、成人発達と意識のステージについてお話しする、めったにない回になると思います。また、ティール組織の本で扱っているさまざまなステージや色については、すでにご存知だという前提で話していきますが、それらにアレルギーがある方は、このビデオをスキップしてもらっても結構です。

まず、1つ誤解を解いておきましょう。その誤解とは、「セルフマネジメント」では、誰もが自力で何とかしなければならず、誰もが常に自分に責任を持ち、常にイニシアチブを取らなければならないというものです。しかし、実際、「セルフマネジメント」に取り組んでいる組織でも、多くの人が日常のルーチンワークをこなしています。コンピューターのオペレーターを例にとると、彼らは、コンピューターが古くなったからといって率先して新しいものを買わないといけない、というわけではありません。自らの意思で買い替えができるのなら、それは本当にすごいことです。意思決定権を手に入れたということですから。しかし、その力を手に入れることを選ぶ人もいれば、そういうことは他の人に任せておけばいいという人もいます。「私はルーチンワークが比較的好きで、そういう仕事に満足しています」という人は、それでいいと思います。そういうこともあって、この誤解を解きたいと思ったのです。

ここで、私たちが世界を見る際に持つさまざまな視点と、それに対し、「セルフマネジメント」がいかに適合するかについてみていきましょう。

例えば、ある組織が「セルフマネジメント」に切り替えたとします。かなり急な変更であったかもしれませんが、最終的には、誰もがその新しいシステムで働くことは可能になります。

まず、伝統的なアンバーの組織で説明しましょう。アンバーは、構造、予測可能性、制御などとの親和性が高い組織です。しかし、「セルフマネジメント」の世界では、これらのすべてが包含されています。アンバーの組織にいる人たちが「セルフマネジメント」の組織で働くためには、そのことを理解することがとても重要です。この新しいシステムは、カオスではありません。旧システムと同じように多くの構造やゲームのルールがあるのです。ただ、ルールの設定が新しくなっただけなのです。つまり、新システムでの意思決定のやり方はこのようになります、というものであったり、新システムでは誰がどのような役割を持ち、誰がどのような役割を割り当てられるか、それらを説明したりしたものがあるというわけです。そして、もし対立が生じた場合でも、対処方は決まっているといった具合にです。ですので、私はよく、新しい構造、慣行、プロセスを明確にするように勧めています。おそらく、「セルフマネジメント」に馴染めないという人は、構造的な仕組みが分からなくなったときに、それが嫌になるのではないでしょうか。特に、伝統的なアンバーの視点を持った人たちは、とてもナーバスになって、迷ってしまう傾向があります。もしあなたが彼らに説明するとしたら・・・、以前のシステムにもルールがあり、今の新しいシステムにもルールがある、ということを伝えてあげてください。そして、それらは、同じく「明瞭である」ということです。そう考えれば、新しいシステムへの切り替えといっても、比較的簡単なことが分かってもらえると思います。

次に、オレンジの組織をみていきましょう。彼らは、シンプルに競争したい人たちの集まりです。つまり、ゲームに勝ちつのが目的なのです。ですので、「セルフマネジメント」を説明する際は、「これが新しいルールだ。さあ、楽しくゲームをして勝とう」と伝えればいいのです。「セルフマネジメント」の組織に関して、モーニング・スターのクリス・ルーファー氏が興味深いことを言っています。彼によると、「セルフマネジメント」には、評価を得るための健全な競争が存在しうるということです。仲間から認められるというのは、その人の能力であり、組織にとっても役立つことでもあります。アドバイス・プロセスにおいて、または、相談を受けた時に、待ち前のスキルを活かして人助けすれば、それは評価に値します。そして、承認を得たいがために競争する人もいますが、その種の競争は健全な競争であると言えます。日常的に起こるすべての協力に次ぐ、ポジティブな形が競争なのです。

次はグリーンですが・・・、グリーンの視点から世界を見る人たちにとって、「セルフマネジメント」は実に素晴らしいものに映ります。それは、「セルフマネジメント」が、皆が力を持てる、つまり、パワー・オーバーではなく、パワー・ウィズを保証するシステムだからです。そして、アドバイス・プロセスを通じて、すべての人の声に耳を傾け、すべての声を大切にし、もはやヒエラルキーのランクで人を区別しないことを保証するシステムだからです。これらの観点は、グリーンの視点から見た場合、本当に重要なことです。彼らにとっては、「セルフマネジメント」は、非常に理にかなったシステムといえるのです。

幸運なことに、誰もが「セルフマネジメント」のシステムの中で働くことが可能です。どのような方法で世界を見ようとも、それは意味のあることです。それが私の見解です。

しかし、誰もが「セルフマネジメント」を設計したり、作り上げたりできるわけではありません。CEOが創設者の場合、多くの人は伝統的なヒエラルキーを選びます。逆に、そのようなリーダーから「セルフマネジメント」システムに招き入れられた場合は、そこが活躍の場になる可能性があります。これらのことは、あらゆる種類の「セルフマネジメント」で、適用可能だと実感しています。つまり、明確な構造と明確な実践があれば、メンバーは生き生きと働けるようになり、組織自体も活性化してくるのです。つまり、「セルフマネジメント」は、どんな発達段階にいる人にとっても、きちんと機能するものなのです。


■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。