【4.2.14】移行のための儀式(Rituals for the transition)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/4214.html

■翻訳メモ
今回は少し特別なビデオになります。というのも、いつもと違って、新しいマネジメントのスタイルを獲得する旅を続けている組織の話ではないからです。組織が移行プロセスにいることを仮定して、実際にそこで行うことをお話しします。今回は儀式のことを話します。

おそらく多くの組織では、「セルフマネジメント」への移行は非常に緩やかにゆっくりと進むと思います。しかし、そのような組織でも、あるものから別のものへと構造を急に切り替えるタイミングを、1回か2回、多くて3回くらいは経験するはずです。リーダーが役割を手放したり、役員会が解散したりといった重要な局面のことを指します。つまり、これらの瞬間が儀式を必要とするのです。組織に何が起こっているかを理解する上で貴重な瞬間であり、また、そこには素晴らしい体験が詰まっているものです。儀式を行うことは、一連の変革の後押しに必ず力を与えてくれます。では、その儀式のことで、私が大事にしていることをお話しします。

まず1つ目は、過去をシンプルに振り返るということです。それにより、過去の何が良かったのかを認識でき、変えるものと変える必要のないものとに分けられるようになります。そして、変える必要のないものはそのまま継続が可能になります。組織が過去営んできたことをリスペクトでき、守るべきものに目が行くようになります。

次の大事なことは、長年に渡ってヒエラルキー組織を率い、団結に導いてきたリーダーたちに感謝の気持ちを表すことです。そして、リーダーたちが頭を悩ましている時でも、着実に事業を前に進めてくれていた現場のチームの人たちへも同様に感謝を表します。それは、あなたが作ろうとしている未来の展望の表現につながり、それをさらに深く追い求める瞬間でもあります。言うまでもなく、その未来とは組織のパーパスを振り返ることで得られる未来です。なぜ、今、「セルフマネジメント」と呼ばれる、そのクレイジーなことへの移行ができているのか心から感謝の意を述べます。それは、あなたがその日までに、組織のカルチャーを耕してきたことが実を結ぶ瞬間です。これは以前のビデオでも話しましたが、組織の持つ信念は、すでにこの時点で、無意識のレベルにおいて、ヒエラルキーに「No」を突き付けているはずです。その一方で、この儀式を通して獲得する新しい信念は、美しく、さらに生命を肯定したものになるはずです。その新たな信念は、組織に対して、真の深い思いやりと本物の強さを授けてくれるものなのです。そして、その儀式は、企業のオーナーや経営者への感謝を伝え、この移行を祝う瞬間でもあります。なぜなら、多くの人が危険だという変革を受け入れ、組織のビジョンを信じ、チームに委ねてくれたのはすべて彼らの功績なのですから。それなしでは「セルフマネジメント」は成り立ちようがなかったはずです。

そして、私がかけるこの儀式への願いは、全員が自分自身に対して、最善を尽くすという、ある種のコミットメントを取り付けることにあります。組織の全員が、組織は助け合いによって成り立つという意志をコミットメントとして表します。それをしておけば、取り組みが困難にぶち当たった際、後にメンバーの成長となって帰ってくるのです。そして、自分と自分たちにとって最良のあり方を求めるという意志はさらに強くコミットされてゆきます。それゆえ、このコミットメントという行為は、深遠で美しいものです。また、同様にその儀式自体も美しいものとなってゆくのです。

しかし、非常に興味深いことに、多く組織は、意識してはこの儀式を行っていないのです。それは、あたかも、私たちが儀式の力を信じられなくなったかのごときです。ずっと昔から、人類は人生の節目には、印として残る儀式を行ってきました。今がその、儀式が持つ力を再認識する時だと思います。測れるものだけがすべてではないのです。儀式は、私たちがお互いに感じる「つながり」や、「皆の成長」、「皆の健康」に対して、大きな力を持っています。そして、同様に、過去に対しては、「たたえて閉じる」、未来に対しては、「心と意志を開く」という、新たな道を示してくれるものなのです。たとえそれが普段の考え方からは外れていると感じても、儀式は必ずやった方がよいのです。

一連の儀式の実施は、それに慣れた外部コンサルタントに任せても良いと思います。普段のメンバーが儀式を行うと、違和感を抱く人がいるかもしれません。そのため、このやり方のほうがやりやすいかもしれません。もう一度言いますが、儀式は人間にとって「自然な行い」です。多くの人はその瞬間に立ち会えたことに喜びを感じるはずです。そして、彼らは、過去に対して、尊敬の念をもって、一旦それを収めることができ、そして、新たな未来に向かって豊かな精神とともに歩みを始めるようになるものなのです。


■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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