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評価面談が嫌いな上司

書籍『ヒューマノクラシー』の章立てに沿って、官僚主義的なエピソードや、本の記載内容の背景などを紹介しています。

第1章 人の力、組織の力 (序文)P.37 
問題は上司ではない。上司もあなたと同様にがんじがらめなのだ。問題は組織にある。

多くの人がやる気をそがれるような慎重すぎる組織で働いているという文脈で登場するのが上の言葉です。確かに、階層構造のはっきりした組織では、上司の上に上司がいるのが通常で、上司とはいえ、そこに自由度がない場合がほとんどです。私は、昔、評価面談の際に、上司(課長)に、無理やりやったことをでっちあげるようなことをしなければいけなし、いつも頭を悩ます。そもそも評価面談の存在自体、とてもおっくうに感じる、と言ったことがあります。すると、上司も、「俺にとっても、おっくうだよ。やんなきゃしょうがないからやるんだよ」と返してきたのでびっくりしたことがあります。いや、アンタがそれを言っちゃダメでしょう、と突っ込みを入れたくなるような会話です。
 
評価面談の構図は、上司と部下が向き合って、期中の実績などについてすり合わせを行うものですから、時には、上司は何もわかってくれないなどと、対立が生まれることがあります。しかし、「上司もあなたと同様にがんじがらめなのだ」と書いてあるように、上司と部下は決して対立関係ではないということは理解する必要があります。もちろん、一般に「優秀」と言われる上司は、評価面談のことを、「俺もおっくうだ」なんて告白することはありません。管理職の「あるべき姿」という、そのポジションに求められた固い仮面を脱ぐことはないのですから。でも内心は、まず、皆、同じことを思っています。「人を評価することが大好き」とか、「部下との面談を生きがいに感じています」など、誰の口からも一度も聞いたことはありません。
 
管理職としてセットでついてくる仕事をこなしていかなければならない管理職は「つらい」のですが、立場上、建前を貫き通さないといけないのはもっと「つらい」ものです。そう、「問題は上司ではない」のです。

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小林範之
最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。