【7.5】抵抗勢力を抑え込むためには(How to minimize resistance)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/75.html

■翻訳メモ
今回のビデオは、今まで視てもらったほかのビデオとは少し異なります。私が直接訪問して現地で交わした会話が基本になっていない点に違いがあります。体験が前提となっていない代わりに、私の内側にある深い想いを語ることが中心になります。抵抗勢力が示してくる様々な抵抗に対して、それをいかに最小限に食い止めるかというのが今回のテーマです。

明らかに今までに経験してきた改革とはまったく異なった方法でスタートするわけですから、あなたのチーム以外の人、もしくは、あなたのチームであっても、その中の一定数の人は、敏感に反応を示すはずです。したがって、ここでのあなたの課題は、抵抗を最小限に抑えることのできる、限りなくシンプルな方法を採用して、それを実践することです。例えば、こういう表現をするとイメージしやすいでしょうか。熱したナイフでバターを切るがごとく、いともたやすく、もしくは、一日に何回かトイレに行くと思いますが、そのようにそれが当たり前といったように、つまり、抵抗があったのかどうか、それを感じることなく経過できればそれが一番よいということです。あとになって気付くといった、そんな感覚です。そのためには、周囲に対するあなたの「姿勢」が肝心です。あなたが気付いているかどうかは分かりませんが、発言する前に周りがどのように反応するかであったり、電子メールを返答する際にはどのような文章がふさわしいかであったり、会議を開催する際には誰を招集したらよいのかなど、私たちは行動に移る前に、多くの時間を検討に費やしています。しかし、その行動の結果、どこにどんな影響が出るかということについては、意外と考えが及んでいないものです。何が言いたいのかというと、実際に何かが変更になった時など、その変更自体が、それに反対を唱える人たちの憤懣の対象に必ずしもなっているわけではないということです。彼らが対象として捉えているのは、あなたの「姿勢」も含めた、一連のその改革を取り巻くすべてのことなのです。改革を始めるのなら、まずあなたが「姿勢」を正すところがスタートラインです。それでないと、どんないい仕組みを導入していっても、それらが機能するところまでには至らないのです。

うまくいかないパターンには以下のようなものがあります。まず、「怒り」や「痛み」を成長の原動力として現在の地位に至ったリーダーは苦労することがあります。特にそういう人は、今までの自分がたどってきた過程を正当化する傾向があります。それが、「もう待てない」や「だったら辞めてやる」という幼稚ともとれる言葉によって表に出てきます。その言葉の背景に「怒り」や解消されていない「痛み」あると関係者に気付かれた時、多くの抵抗勢力が発生します。

次のうまくいかないパターンは、「優越性」が問題になってきます。あなたがティールを理解しているという立場で、それを理解していないそれ以外の人たちに対して、進化を促してやるという態度をとると、これも確実に失敗します。彼らはあなたの言葉に従って実行するでしょう。すると、ティールの側に来ることができる人がいる一方で、行けない人も出てきます。あなたは言葉に出さないとは思いますが、それでもあなたの態度から、ティールの側に来ることのできた人であってさえも、あなたとの間に大きな溝があると感じるようになるのです。

もう一つのうまくいかないパターンは、納得してもらいたい、もしくは、受け入れてもらいたいという態度そのものが問題になってきます。もしあなたが、ティールへの道のりは困難を極めることを知って、「私を信じてください」とか、「私に説明するチャンスをください」という言葉を使い、仲間に接し続けたら、これもやはり失敗の方向に向かいます。この場合、あなたの持つ「劣等感」や「自信のなさ」が見透かされてしまい、誰もついてこなくなるからです。

抵抗を最小限に抑えるのに最も効果的なのは、そのコミットメントがあなたの内にある「正直さ」から醸し出されている場合です。その内なる源泉こそが「理にかなった場所」と呼ぶにふさわしい場所なのです。これがまさに私の理想としているものです。それは「内なる強さ」と「内なる静けさ」が結びついたところにあります。また、それは、何ら「後ろめたさ」のない「潔白」を示した場所でもあるのです。ティールを具現化するのは簡単ではないと言ってしまうのはあまりにも安易です。例えそう思ったとしても、それを実践する以外にそこに近づいていける方法はないのです。それにはまず、チームメイトとパートナーとコーチと一緒に対話から始めてください。その対話の場で、あなたは、あなたの行動が批判にさらされていると感じるくらいの「つらさ」を体験し、そのままその場所にとどまっていてよいのかどうかを真剣に考える経験をします。

その場所では、「愛」と「思いやり」があなたを苦しめることになります。古いシステムへの「愛」と「思いやり」が、あなたがやろうとしていることに対する葛藤となってやってくるということです。その古いシステムに残ったままの「仲間」も対象になってきます。なにが真実かと言えば、誰も「悪くしたい」とは思っていないということです。現在の、組織が持っている世界観は、組織の営みの歴史とそれによって生まれたトラウマによって不規則な成り立ちを示しています。あなたは今、その世界観の外からその世界を眺めています。今までとは全く異なって見えるはずです。そして、また、あなたの中には、新しい世界を試してみたいという想いしかないはずです。

あなたができる最も強力なスタンスは、自覚した自分を受け入れて、その「目覚め」を完全に認めることです。つまり、「私は分かりました。あなたにも伝わりましたか?こうやったら分かるかもしれません。私は長い間、今の瞬間を望んできました。今回、私はこれをやるつもりです。これが私がやろうとしている方法です。きっとうまくいくと思います。私は誰にも許可は求めていません。私は誰かに許しを求める必要はないと思っているのです。あなたの考えを聞かせてください。私はこうやってやるつもりです」と。

今から述べる事実を知れば、きっとあなたは驚くはずです。どんなことかというと、通常、人はそれぞれが異なった道を歩んでいます。もし彼らが誰かに「判断された」と感じなければ、なんらかの攻撃を受けたとしても、それを「攻撃」として感知し得ないものなのです。もし彼らが、あなたがあなた自身に向けている「愛」と「思いやり」を、彼らの方にも向けてもらっていると感じた場合、そうでない時に生じる複雑な感情を、あなたとの間に割り込ませてくることはないでしょう。この方法が最も抵抗を小さくする方法なのです。

これがまさに私が望むかたちです。あなたの「あり方」とは、真実の「愛」と「思いやり」の中にある「内面的な強さ」に起因します。旅を続けるうちに、あなたは、より伝統的なシステムの中にいるすべての人に対しても、「思いやり」を持って接し、「愛し」続けるようになっていくことでしょう。彼らは彼らのやり方で、あなたはあなたのやり方で、それぞれに成長して、そして、そのそれぞれに、完全に共存できるようになっていきます。

■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。