【8.5】自分自身をいかに鍛えていくか(How to train yourself)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/85.html

■翻訳メモ
すべてが完全に新しくなったマネジメントに向かって飛躍を遂げたいと考えている組織の中には、とんでもなく甘い考えを持ったところがあります。これには心底、驚かされます。何の準備もなしに、何のトレーニングも予定せずに、そこに向かおうというのですから、それは土台、無理というものです。彼らは自社のビジネスにおいても、何も準備しないのか、疑ってしまいます。例えば、彼らの会社のITシステムが、従来の専用サービスからクラウド・システムに移行することになったとしたら、彼らはそこでも即興演奏を披露しようとするのでしょうか。通常は、その移行に関する専門領域について、自ら進んで情報を取りに行くはずですよね。「セルフマネジメント」、「ホールネス」、そして、「存在目的」に到達したいと思った時も同じです。そして、組織に当てはまることは、コーチ、コンサルタント、ファシリテーターにも当てはまります。例えば、新たなビジネス領域にチャレンジしたがっている人がいて、そのためには、当然、事前に学ぶことや、時には投資も必要なのに、そんなことも知らずにチャレンジしたいとだけ言っているとしたら、やはり驚かざるをないと思います。今回の場合もそれと同じです。法律関係の資格であっても、その資格を取るための勉強をしなければ、永遠にそのサービスを提供するまでには至りませんよね。新たなものを獲得するには事前に学習が必要だということです。実際にトレーニングを受けられる場所だって、たくさんあります。どの領域で力を発揮したいか、それによって選択もできます。性格だけで選んでしまうと強みを活かせない可能性もあります。実際に、学び、学び、学び、学ぶことが大切です。学んできた人は、もうこれで良いという、到達点を自分で決めることはありません。私がお勧めしたいのは、余裕のある時に前もって学んでおくというスタイルです。それをしておけば、組織での実践が始まったとき、次は組織から学べるようになるのです。ひとつの「学び」が次の「学び」を連れてくるというわけです。

このティールの領域は、立ちあがったばかりの、非常に新しい領域です。なので、どうやって学べばよいかということが確立されているわけではありません。それで言うと、間違いなくその学びの1つは、このビデオシリーズです。このシリーズは学ぶ価値があると思っています。もし、書籍から学びたいと思うのなら、図解版ではないオリジナル版のほうの私の本を手に入れてください。その本の最後に、<参考図書>として、優良な本を紹介しています。その多くは、特定の組織における、特別な事例を扱った本です。事例が載った本以外にも、組織開発にかんする本を紹介しています。ビデオ以外では、それらの本が参考になると思います。『ティール組織』の発刊以来、多くの人と会話してきましたが、そこに載せた本以外に目新しい本は出てきていないと思います。本以外には、トレーニングやワークショップから学ぶ方法があります。明らかに、そこには優良なものがたくさんあります。しかし、私は何か特定のものをお勧めしたいとは思いません。というのも、コーチやファシリテーターといったトレーナーになるためのトレーニングは、かなりの程度、内面と向き合う必要があるからです。だから、どれを受けたらいいと、一概には言えないのです。様々な方法がありますが、あなたの無意識の領域にグッと入り込んでいくようなものなら、受けてみる価値はあると思います。もし、個人を対象に、コーチングやファシリテーションを学びたいと思うのなら、1to1、もしくは、グループ・コーチングの手法を学べばいいと思います。ただこれは、ティールがどうこうというより、皆が身に付けておいた方がよいスキルです。そして、さらに、セルフマネジメント、ソシオクラシー、ホラクラシー、アジャイル、リーンなどには、それぞれに専用のトレーニングがあります。これらを受けるとしたら、きっといつか必要になる日が来るという先行投資的な観点が必要かもしれません。そして、最後に、大部分は見過ごされがちなのですが、私がお勧めしたい、最良のトレーニングがあります。それは、自分自身で探究することです。つまり、実際に現地に出向くことです。一般的な組織とは違う5つから10の組織を探して、出向き、研究の対象にさせてもらえませんか、とお願いすることです。そして、「意思決定はどうしているのですか?」「コンフリクトの解消はどのようにしているのですか?」「目標予算などはあるのでしょうか?」といった、オリジナル版のほうの、私の本の巻末にあるような質問を次々としていきます。あなたが実際の組織に出向いて調査・研究を進めるならば、それが最良の学習と言えるでしょう。本を読んだだけなら、4分の3はすぐに忘れてしまいますが、現地で体験したことは忘れません。現地に行っていると、次のような課題が湧いてくるようになります。ある組織があるやり方を採っていて、他の組織が同じことを別のやり方でやっているが、それはどちらが優れているのか、それとも業界が違えば、両方とも優れているのか、それとも、それは、組織固有のものに由来していて、そもそも優劣がないのかなど、そんなことが、湧いてくるようになります。これらの課題に直面することが、本当に強力なトレーニングとなって、あなたの力になります。これと同じくらい強力なのが、じつは「翻訳」です。私の本を他国の言語に訳した人たちは、皆、口を揃えて、翻訳は素晴らしいトレーニングコースを受講することに匹敵すると言います。なぜなら、翻訳しようとすると、ひとつひとつの言葉を丁寧に考えていかなければならないからです。フレデリックはここでこう言っているが、以前、彼は別のところではこう言っていた、これは互換性がありそうだ。少し前に戻って確認してみよう、といった具合にです。それを繰り返すことで、あなたのレベルは確実に上がっていきます。テキストを読むだけなら決して到達できないようなレベルにまで高まっていきます。ある意味、ティールは形而上的な組織のあり方です。それを言語に落とし込むのですから力がつかないはずがありません。このシリーズはまだまだ多言語に翻訳していく必要があります。どうしてもそれをする必要があると思っています-本には、するつもりはないのですが。あなたが本当にティールを深く知りたいと思うなら、このビデオシリーズの翻訳を手伝うことも可能です。ビデオにあなたの母国語の字幕が付くと、実際にコンテンツを深く掘り下げることができ、きっと、英語ネイティブと同じレベルで、私のメッセージを受け取ることができると思うのです。繰り返しになりますが、このビデオシリーズを翻訳することは、本当に強力な学習になります。

私が最後にお伝えしたいのは、あなたの居場所は、あなた自身が見つけてくださいということに尽きます。何も学ぶことなしに、自らを変えようなんて、そんな甘い考えでは通用しません。自分を甘やかしてはいけません。それと、もう一つ。自分が完璧になる日を待ってもいけません。人間は決してそうにはならないからです。歴史上、かつて、完璧な人間が現れたことは一度たりともありません。私自身も完璧には程遠い人間です。その代わり、あなたの目の前には、本があり、ワークショップがあります。これらのビデオだってあります。組織の調査に出かけることもできたら、翻訳もできます。あなたの幸運を祈っています。あなたが、あなたの中の最高のあなたと出会えますように。そして、それが「源」となって、あなたがあなたの組織に、力をもたらしますように。

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

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