【4.2.13】新しい構造を可視化すること(Making the new structure visible)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/4213.html

■翻訳メモ
「セルフマネジメント」にかんする誤解の最たるものは、セルフマネジメント組織には構造がないという思い込みです。あなたが所属する組織にもこのように思っている人が一定数いるはずです。ただこれは実際に経験しなければなかなか分からないことです。古いヒエラルキーの層を取り除くということは、構造がなくなり、役割がなくなるというわけではありません。そういう意味では、新しい構造は可能な限り目に見える形にすることです。それが非常に重要です。「セルフマネジメント」での働き方は構造の上に成り立っていることを、メンバーが理解できていなければなりません。そのことを強調するのはばかげていると思いますか?しかし、これは、すごく実効性があって、トラブル回避にも役立つのです。今回私がお伝えしたいのは、構造をできるだけ見えるようにしておきましょうということなのです。

まず、チームを単位にして考えてみます。多くの人は、チームの中での役割を明確にすることは重要だと言います。しかし、その役割の定義はきちんとできていますか?そして、誰が担当しているか共有できていますか?もしチームが一ヶ所で仕事をしている環境なら、模造紙やホワイトボードは最大限に活用できます。マグネットなどを使っても良いでしょう。少なくとも職場の壁は最大限に活用すべきです。メンバーの目には、毎日、自ずとその情報が飛び込んできます。今はチームを単位に説明しましたが、もっと大きな単位で考えた方がよい場合は、チームを超えた大きな構造で理解できる必要があります。それでは、最近広がってきた手法ですが、いくつかやり方を紹介していこうと思います。

1つ目は、円を描いていく方法です。ある本の中で紹介された有名な方法ですが、円の内と外とを使って視覚化していきます。円の線はチームの内と外との境界線を意味します。チームが外の世界に直接的に接していることが分かると思います。次に、円のさらに内側に、サポート部門を示す円を描きます。「セルフマネジメント」では、サポート部門をできるだけ小さくして、外に接するチームがすべての業務をクライアントに直接行うことを目指しています。しかし、これはいっぺんに実行できるものではありません。中には、一つのサポート部門が世界中のチームを担当している場合があります。

別の方法ですが、入れ子状の円を使って表現する手法があります。一番外側には組織全体のパーパスを書いた大きな円を描きます。そして、その中に入れ子状に円を描いていくイメージですが、これには専用のソフトがあります。しかし、チームが一つの場所で働いているならソフトではなく壁を使った方が実践的です。私は大きなボードが廊下などのいつも人の目にとまる場所に設置されていることが望ましいと思っています。こういう情報共有の場がないと、いつ情報が更新されたか確認する機会を失いかねません。チームが同じ場所にいない場合は、なんらかの電子的な方法で解決を図ります。

次は、手書きの貼り紙などではなく、いかに美しく、そして、いかに注目を引き付けることができるかという観点でお話します。実は、これを実行できるソフトが最近どんどん増えてきています。その一つに、ホラクラシー・ワンが開発した「グラスフログ」というソフトがあります。ほかにも「ホーリースピリット」、「マップ」、「ピアー」などのソフトがあります。私が知っている以外にも、もっとあるはずです。これらのソフトは全部、入れ子状の円を描くことが可能です。これらのソフトウェアの利点は、組織図など手書きするのに比べて、情報をより深い認知領域まで届けられることです。また、ソフトには、チームごとの目的を記述できる場所もあります。さまざまな役割の説明を詳細に記入することもできます。中には、互いの役割がどのようにリンクしているか可視化できるものもあります。最終的にはそれらを使いこなせるか否かはその組織次第にはなってきますが、いかようにも活用は可能なものです。

ソフトの導入に成功して、業務の可視化ができた次は、それをいかに最新の状態に保つかというアップデートのプロセスが問題になってきます。それはどんな高度な技術を導入したとしても切実な問題です。アップデートの方法について、私が見てきた2つの事例を紹介します。アップデートの担当は、1人でもいいですし、複数のチームの人たちからなる自主的なタスクフォースのようなものでもどちらでもいいと思います。その人たちが責任を持って最新の状態に保ちます。もうひとつは、組織の新陳代謝のペースに組み込む方法です。月に1度、あるいは2カ月に1度、組織図に目を通し、その役が依然適任なのかを検討し、運用を確認する専用の会議を開きます。そして、会議で決定が下され次第、その役割は更新されます。ソフトウェアの内容や、壁に貼ってある大きな図表も更新されます。

繰り返しになりますが、なぜこの可視化という、取るに足らないようなテーマで1本のビデオを作ったかをよく考えてみてください。つまり、常に誤解があるという厳然たる事実があるからです。構造も役割もなく、メンバーはそれぞれ自由にやりたいことをやれるという誤解を打ち消すために、「セルフマネジメント」を正しく理解する必要があるのです。それを避けるために役割表を壁に貼ったり、サーバー空間で共有したりするのです。


■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。