【8.4】あなたがこだわる結果とは?(What outcomes are you attached to?)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/84.html

■翻訳メモ
「あなたの考える、組織の“あるべき姿”とはどのようなものですか?」という質問は、強く響く質問だと思います。コーチ、コンサルタント、そして、ファシリテーターという職業の人は、組織がティールに向かって歩んで欲しいと、あるいは、ホラクラシーといった仕組みや彼らが独自に開発したメソッドを導入したいと、心底望んでいるものです。そして彼らは、組織が「セルフマネジメント」に至った際の姿がどのようなものであるか、そのイメージも持ち合わせているものです。しかし、本来、その「姿」というものは、組織の持つ「ホールネス」から生成されてくるものでなくてはなりません。それでも、彼らは、自分の描く「結果」のイメージに固執する傾向があります。私は、そういう固定化されたイメージは持たないほうが良いと思っています。もしこれがあなたの人生だったとして、こうにしかならない人生であると決めてかかってしまうと、人生は、つまらなくなってしまうのではないでしょうか。それと同じで、もしあなたが、担当する組織になってもらいたいという姿をあらかじめ想像しているのなら、それは組織で働く人々の人生をも、つまらないものにしてしまうことと何ら変わりはないのです。これが私の考えです。

これは私についてのことではありません。あなたにかかわったことでもありません。それは、組織の中の人々と、その組織自体についての問題です。私にとって、興味の対象となりえるのは、組織の真実の声を聴くということにほかなりません。つまり、この組織はどこに行こうとしているのか、そこが重要なポイントなのです。そして、その向かう先がどこであったとしても、それをサポートする人は、常にその役割を果たすのにふさわしい人物であり続ける必要があります。面白いことに、組織の持つ真実の声に耳を傾けるよう、組織の人たちを支援すると、その組織の旅に共感できるかどうか、そしてサポートし続けることができるかどうか、あるいはそれさえしたくないのか、全部わかってしまうものなのです。中には、素晴らしい旅とは感じながらも、同行はしないほうが良いという判断に至るケースもあります。そういう時は、とどまらなくても大丈夫なのか?と心配されるかもしれませんが、大丈夫です。あなたが組織に贈る最大のギフトは、あなたの「誠実さ」であり、あなたの本心をオープンにすることです。その組織のことを深く思えば思うほど、自分がそこにいることが、必ずしも彼らにとってのベストにはならない時があることを知らなければなりません。

たとえば、彼らが、彼らの組織の一部に限って生産性を高めたいと考えていたとします。そして、さらにコストも削減したいと思っていたとします。つまり、もし彼らが、あなたがすでに信じていない方法でもってティールになりたいと考えているなら、それはあなたにとって、まったくやりたくない方法であるはずです。彼らと会話を持って、あなたが生産性の向上についてどう思っているのか正直に話すのが、あなたの示すべき「誠実さ」です。「それは私の考えとは違います。私にできるのはこういうやりかたです。私はあなたの考えに共感できませんでした。ですので、ここで降ろさせていただきます。もし、いつか、私の言ったことを思い出してもらえたら・・・、こちらが私の電話番号です。その時になったら、お電話ください」と、そう言います。

何が、あなたをして、あなたたらしめているのか、それを明らかにすることは本当に素晴らしい行為です。その組織と共に何をしたいのか、何だったらしたくないのか、どこで仕事したいのか、どこでなら仕事したくないのか。彼らが正しいのか、間違っているのか、といったことは答えではありません。

私を例にとれば、効率を気にする組織に時間をかけるつもりはない、というのがはっきりしています。私はリーダーがすでにティールを手に入れている組織と、話をしたいと思っています。そういうことなので、オレンジやグリーンの組織とは、時間を共に過ごしたいと、まったく思わなくなりました。しかし、それらの組織も支援は必要としています。だから、コーチ、コンサルタントやファシリテーターには仕事があるのです。しかし、それは、必ずしもあなたの場所というわけではありません。ミレニアル世代と呼ばれるような若い世代と一緒に仕事をするのが好きな人もいます。新進気鋭と呼ばれる人たちで、10年や15年のビジネスキャリアで、大規模な組織の経営を任されるといった驚くべき才能を持った人と働く人もいます。あるいは、高齢者施設で、また、あるいは、非営利団体を専門としている人がいます。いずれにしても、コーチ、コンサルタント、そして、ファシリテーターは企業と共に仕事をするのが仕事です。答えに、正しい、間違いといったものはありません。それゆえ、「何に共感できるのか」というのが重要です。あえて私に言えることがあるとしたら、すべてはあなた自身の問題ということです。組織が「セルフマネジメント」や「ティール」になるのをサポートしたいと思うのなら、あなたはどんな結果にも執着してはいけません。あなたが彼らにできる最高のギフトといったら、彼らの中から響き、湧き上がってくる声の、最も高いトーンのものを彼らに知らせてあげることです。あなたはその声とあなたのやりたいこととの間に何があるか感じとることができるはずです。つまり、共感できるかどうかということです。しばらく一緒に旅ができそうか?と自問自答してみて、もしそうでなくっても、それは一向にかまわないのです。

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。