【8.2 】ティールに向かうクライアントを見つけ出すには(How to find clients willing to reinvent themselves)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/82.html

■翻訳メモ
今回はこの分野で活躍したいと思っているコーチ、コンサルタント、ファシリテーターに向けてお話したいと思います。では、まず、その人たちからよく受ける質問を共有したいと思います。彼らは皆、新しいマネジメントの形式に飛躍することを、真剣に、そして大胆に望んでいる組織をサポートしたいと考えています。そして、そのために、どうすればそういうクライアントと出会えるのか、聞いてきます。なにしろ、彼らのクライアントは伝統的形態の組織ばかりということで、彼らとしても、もうそういうクライアントは担当したくないと言うのです。もし私が彼らに共感できるとしたら、それは、彼らの欲求不満を掻き立てているティールへの「あこがれ」という部分に対してだけでしょう。いい意味で、その視線を持ち続けている限り、そこへ向かうための可能性は必ず開けてくるからです。現在、彼らがプレーしているリーグは、彼らがプレーしたいリーグではないということですが、実は、彼らの言葉のその裏側に、価値に転嫁できる考えやアイデアが潜んでいるのです。

希望するクライアントに巡り合うためには、自分なら何が提供できるか、その特定領域を極めることが重要です-それは、私の本を読んだだけではできませんよ。専門分野を持とうと思ったら、私が今から言うことをしっかりと理解しなければなりません。

まず、企業経営のすべての領域において、広く浅く知識を有する必要はありません。しかし、その分、専門分野については誰よりも詳しくなる必要があります。そのためには、自分を駆り立てる「何か」の存在に気付くことが重要です。その領域を選んだ「熱源」が何なのか知る必要があるということです。そして、それが分かるまで、人に聞いてもらったり、紙に書き出したりしていきます。ティールに興味をもったきっかけや、自分の情熱を刺激するもの、本当にやりたいこと、何が自らを奮い立たせているのかなどを、人に話したり、書き出したりしていきます。表面は威張っていても裏では不安にさいなまれている、古い組織の典型的なCEOを頭に浮かべながら、話したり、書いたり、というのもいいと思います。それによって、組織のトップに対する「おもいやり」が醸成されていくというものです。組織を支援するのに「おもいやり」など必要ないという人もいます。しかし、きっぱり、私はその意見を否定します。人類すべてでなくても、少なくとも自分の周りにいる人だけでも、仮にあらゆる困難を経たとしても、その人の人生が良くなっていくよう願うのは人として当然のことです。

ヘルスケア業界の場合、一般的には、医師と看護師との間は厳密な階層によって隔てられています。また、この業界における専門職は、自殺率が高いことでも知られています。あくまで可能性としてですが、自分の情熱などを書き出す習慣がもっと広まれば、救える命もあるのかもしれません。あるいは、教える人たちの側に、なにか大きな欠陥があるのかもしれません。もし、教える側が、書き出したり、話したりなどして、自分の情熱の湧き上がってくる場所を特定できていたら、たいへんな思いをしている人へ、身の置き場を示してあげたりできるかもしれません。あるいは、彼らの心の傷をいやしてあげることもできるかもしれません。そして、その傷に寄り添い、話を聞いてあげるなど・・・、私は、まさに、コーチ、コンサルタント、ファシリテーターは、そういう風になってもらいたいと思っているのです。きっと傷んでいる人も、そういう人となら一緒に働きたいと思ってくれるはずです。私の個人的な見解をもってしても、まさしくこれこそが、ティールを広めるための最良の方法だと思うのです。

あなたにとって何が重要かという会話は、実際にクライアントとやってみないことには何も始まりません。しかし、クライアントによっては、詳細をしゃべってしまうことにリスクを感じてしまう人もいるのです。多くのコーチ、コンサルタント、ファシリテーターにとっても同じで、やはりリスクは避けようとします。彼らも生活が懸かっている以上、毎月、月末に振り込みをしてくれるクライアントを大事にしたい気持ちはいたしかたないものです。おかしな状況を作って、そこで契約終了というのは避けようとする心情が働きます。彼らにとっての、このような痛ましい状況は、常にクライアントとの間で起こっているのです。私が「オレンジ・プラス」と呼んでいる状況がこの状況です。コーチ、コンサルタント、ファシリテーターは、基本的に、自らは望んでいないことであっても、クライアントのニーズに合わせてしまう傾向があります。しかし、クライアントが往々にして持っている、「とにかく結果さえ手に入ればなんでもいい」という考え方は、まさに、「オレンジ」のパースペクティブなのです。とは言っても、人材育成に着手し、対話を通して従業員のパフォーマンスを高めようとしたり、彼らの視座を上げようとしたりするだけ、ただの「オレンジ」にくらべて、多少はましという意味で、「オレンジ・プラス」と呼んでいます。

ここからは、実際のアドバイスです。

クライアントを獲得するためのwebサイトにはたくさんの情報を載せなければなりませんが、そういったボリュームが差別化の邪魔をしてくるため、特徴を伝えるのは本当に難しいものです。そのサイトには、エビデンスとなる事実をベースに書くのは当然ですが、それに加えて、自らの心を動かすものの存在についても書けるなら書いた方がよいでしょう。もしくは、それが簡易なものであってもいいので、2つのウェブサイトを持つという方法もあります。外部に対して複数の顔を発信するということです。この方法はいろんな可能性を広げてくれる方法でもあります。2つを同時に作るのに時間がない場合、あなたが情熱を注いでいる特定のプロジェクトの紹介など、具体的なものの掲載を優先します。クライアントがあなたを見つけるという行為を引き出すには、あなたの書いたものがなんらかの「共鳴」を引き起こす必要があるということです。

もう1つは、あなたの専門性や情熱について、常に誰かに話すことです。どこに行ってもそれについて話し、友人や同僚と会っても常に話し続けることです。いつでも話しているというシンプルすぎる事実は、あなたが本当に情熱を注いでいることの証明になります。周りからすると、突然あなたに後光がさし始めたのかとくらいに感じることでしょう。あなたに共感した彼らは、あなたの言葉を広めてくれます。誰か苦しんでいる人に会った時、彼らはあなたの言葉を使って話してくれます。あなたは彼らにとって、まさに模倣すべき人物になったというわけです。こういう風にして、実践しながら、周りの支持を集める方法があります。

そして最後の方法は、シンプルにあなたの専門領域の人たちと交流を持つことです。トレーニングに参加したり、その運営をサポートしたり、グループ交換会に参加したり、という風に、できるだけ積極的にかかわっていくのです。そのようにしていけば、一緒にプロジェクトを企画したり、ネットワークに参加したりという状況が生まれてきます―それだけでも、最初から比べれば大きな飛躍だと思いませんか?コーチやコンサルタントというのは、個人競技ではなく団体競技だと思った方がよいと思います。そこには新たな出会いが重要なのです。そしてその出会いは、あなたを支えてくれるはずです―もっとも、あなたの交流方法が正しければという条件は付きますが。そうすれば、あなたは適度な仕事量が分ってきて、どんなトレーニングが必要かも分かるようになってきます。そういう過程を経て、世界を変えるために支援すべきものが何なのか明確になってくるのです。この流れが軌道に乗ると、クライアントは向こうからやってくるようになります。

■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。