【7.8】「存在目的」に対するアイデア(Some ideas: evolutionary purpose)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/78.html

■翻訳メモ
今回は、組織全体ではなく、組織の一部であるチームに対しての、そのチームの「存在目的」に耳を傾ける時の注意点を話そうと思います。組織の残りの部分は、従来のまま、つまり、計画に対する進捗管理モードを継続しているというのが前提です。ただ、そうであっても、チームの「存在目的」に耳を傾け、自身の感覚と、その「存在目的」から引き出された反応に従って、あなたが動こうとしている場合を想定しています。もしあなたのチームが、組織の中でも、比較的独立性の高い性質を有しているのなら、きっと遠くまで行ける、つまり、高いレベルでティールに近づくことができるはずです。もちろん、あなたのチームは他の部署ともかかわりを持っているはずですから、たとえば、古い体質を保持した営業本部から、売上計画や予算計画の提出を求められることがあると思います。その時は、獣に餌をやるように、それらのものを彼らにくれてやってください。それでも、ティールとあなたの結びつきは何も変わりませんから。工事などで相見積もりを取るのが組織の慣習なら、あなたもそれに従ってください。とにかく、あなたが企んで計画していることは、今までに誰もなしえたことのないようなものです。それを片時も忘れることなく、みんながすることと同じことを淡々とこなしていってください。それらの処理のために使う、無駄とも思える時間を、彼らに習って、彼らと同じように費やしてください。あなたと彼らとの違いは、あなたは外の世界に働きかける計画を持っているというところです。あなたはひたすら、「響き合うもの」を求めながら、しかも日々の業務をこなしていけばいいのです。

もし、あなたのチームが、組織の内部に深く組み込まれてしまっている場合、そして、あなた自身も、戦略的計画や中間計画、盛りつけがされた予算や指標の類、そしてKPIなどといった予測制御のパラダイムから抜け出せそうにない場合、それはあなたのチームにとってかなりハードな状況で、打破するのに相当なエネルギーが必要な状況だといえます。あなたが、古いシステムの信望者という仮の姿に身をやつし、その中でメンバーの反応を感知し続けることはとても大変だと思います。私がアドバイスできるとしたら、2つのパラダイムが完全に同時進行したパラレルワールドの住人に、あなたがなりきること以外、考えられません。その状況で、計画や予測制御の世界と完全に決別することは不可能だと思います。しかし、それでも、あなたは依然として、ティールを保持し続けているはずです。あなたは常にシステムのフィードバックを感じとろうとしているはずです。何が正しい判断なのか、自らの心の声を聞こうとしつづけているはずです。たとえ、今、あなたが見ている世界が、過去に教えられてきた世界とはまったく違ったとしても、今、あなたが何をすべきかは、感知した世界が教えてくれることでしょう。そして、そこで聞いた声は、あなたが過去に作り上げてきた何かを、超える時に力を貸してくれるはずです。ただし、計画やKPI、進捗管理といった異なった方向に進ませようとする声にでくわすこともあるかもしれません。その時は、一歩下がって、心の声に耳を澄ませてしてください。感覚を大切にして、あなたにとっての「正しさ」を感じとってください。そして、その感覚に従い、あなたが「正しい」と思うことを実行してください。誰にも何も、断りを入れる必要はありません。そして、結果が出て、誰も文句を言う人がいなくなってから、組織に承認を求めるようにしてください。

その時は、こう言います。

「組織で働く人間として、先に承認を取るべきでした。たとえ、ばかげていると感じていたとしても、きちんと計画を立てるべきでした。また、そうでなくても、もっと別のやり方もあったであろうと思います。これからは組織の慣習に敬意を払って、きちんと計画を立ててから実施したいと思います」と。

毎回、この弁明が必要かどうか、それはあなたにしか分からないことですが。

問題は、これをあなた一人で行うのか、あなたのチームの何人かのメンバーと一緒に行うのか、それともあなたのチーム全員で行うのかということです。しかし、どうやるのが一番良いのかというデータはまだ揃っていません。しかし、これだけは言えるのは、言われたことを言われたとおりにやるタイプや、物事は自己犠牲の上に成り立つと信じているタイプの人は間違いなく苦労するはずです。つまり、先にやって後で許しを求めることができない人たちということです。私は、人を選ぶという行為はできるだけしたくないタイプです。しかし、その一方で、そのような特徴を持った人は会話に加わって欲しくないというのも本音です。メンバー構成さえうまくいけば、自然な階層の中から立ち現れてくるものに、きっと出会えるはずです。メンバーの構成には、まず、会話に積極的に参加したいという人がいると思います。そして、決定の場にいたいという人もいると思います。中には、できるだけ会話に加わりたくないという人もいて、きっと、そういう人は、誰かが決めてくれるのを待っている人なのでしょう。そういう人は他人の決めたことにもコミットできるタイプです。しかし、普通、人は、他人の決めたことに、何らかの違和感を覚えるはずです。その違和感も人によって様々です。たとえば、それらの中には、組織への忠誠心といったものがあります。計画から逸脱することを非常に怖がる人もいます。また、厄介な場所に投げ込まれてしまったと、そのことに囚われてしまう人もいます。いずれの場合も、私たちは、そういった違和感を尊重する必要があります。

そういったパラレルワールドで生きているのは誰かということをあなたに問いたいと思います。そして、計画の進捗に常に囚われているのも誰か、これも合わせて問いたいと思います。最後に、「素晴らしい冒険」を願っている私の祝福が、常にあなたの行動の横に在ることを忘れないでください。

■お願い
動画の最後にもあるとおり、この取り組みはすべてギフトエコノミーによって成り立っています。
この取り組みを支援されたい方は、以下のリンクからLalouxへのご支援をお願い致します。
https://thejourney.reinventingorganizations.com/in-the-gift.html

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。