noteが上場するらしいのでnoteの決算についてnoteに書いてみた

みなさまお久しぶりです。
だいぶ久しぶりにnoteを更新していきます。
というのもnoteの上場が決まったというニュースが入ってきたからです。

これは決算系noterとしては書いていかざるを得ないなと思った次第です。

想定発行価格は300円で時価総額は44億円ほどの想定となっているようで、前回資金調達をした際の評価額が338億円だったこともあり大幅なダウンラウンド上場だという事でも話題となっています。

ちなみに直近の2022年8月時点の財務状況を見てみると、現預金が23.8億円、近々現金化されると考えられる売掛金が1.3億円、未収入金が7.6億円ほどで計32.8億円ほどあります。
一方で負債は全てでも14億円となっていて、その内約10億円が預り金(クリエイターの売り上げでnote内に残っている部分だと考えられる)ですのですぐに支払いが必要になるものではなさそうですので、財務的な余力はまだあるようには見えます。
これだけのダウンラウンドでの上場となると急いだような印象は受けますね。

さて、そんなnoteについて今回はみていきましょう。

それではまずはnoteのサービスついて改めてみていきます。

noteのミッションは「だれもが創作を始められ続けられるようにする」です。

そのために展開しているのがメディアプラットフォームのnoteとなっていて、テキストが中心で使われていますが、短文のつぶやきや、音声、動画などのコンテンツも提供できるサービスとなってます。

現在のnoteの累計会員登録者数は550万人、累計のユニーククリエイター数は103万人となっていて、公開されたコンテンツ数は2782万件という規模まで成長しています。

また、サービスの特徴として①広告がない②ランキングがないという事があります。

広告モデルの場合はPV数によって収益を得られるため、PV稼ぎのための炎上行為やタイトル詐欺のような記事も増えてしまいます。
また、ランキングがある場合は、ランキングからコンテンツが選ばれ上位のクリエイターへの人気の偏りがどんどん大きくなっていきます。
なのでPVだけを目的としたコンテンツを減らし、ランキングだけで選ばれることなく最適なコンテンツが最適な読者に届けられるようにサービスが作られているという事です。

そういった特徴もあってか公共機関や法人の利用も多く、例えば自治体でも105の自治体が利用しています。
炎上系のコンテンツがあまりに多いプラットフォームは利用したくないような顧客も利用してくれるという事ですね。

また、利用頻度は人それぞれでしょうが、日本人のTwitterのフォロワー上位1万人のうち1000人がTwitter連携をしてnoteに登録しているとしています。
ある種ランキングがない分届いてほしくない顧客に届きにくいので、集客が自分でできるクリエイターがコンテンツを作りやすいという側面もあるかもしれません。

また、個人向けのnoteを展開しているほかに法人向けにnote proも提供しています。
こちらはnoteの基盤を利用してオウンドメディアやホームページの構築・運用ができるサービスとなっていて料金は月額5万円となっています。

企業側としては維持コストが月額利用料以外にかからない他に、noteからの集客が見込めるため、SEO対策のコストを削減できます。
また、ユーザーは「noteでコメントする」といった行為にも慣れているため顧客とのコミュニケーションが難しい法人アカウントでも顧客に反応してもらいやすいというメリットはありそうです。

基本的にpro版はnoteからの集客をメインとした導入になるでしょうからnoteのメディアとしての価値が高まれば高まるほどこちらのpro版のサービスも拡大していくと考えられます。
現在は564社に利用されていてARRは3.4億円となっています。

noteの収益モデルとしては個人からのダイレクト課金が中心となっていますが、課金方法としてはコンテンツのばら売りのほかに、マガジンなど定期的なコンテンツの月額課金、クリエイターが作成したコミュニティーに参加するためのメンバーシップ会費などサブスクリプション型の収益もあります。

pro版に関しては先ほど書いたように月5万円のサブスクリプションモデルとなっています。

それでは続いて業績を見ていきましょう。

ここ数年の推移をみていくと売り上げは右肩上がりで拡大を続ける一方で、経常損失・純損失も拡大が続いています。
まだまだ投資段階だという事でしょう。

ちなみに直近だと売上高は17.3億円、粗利が15.5億円に対して販管費が20.7億円で営業損失は5.1億円となっています。

売上の主な内訳としてはnoteが13.5億円、note proが2.3億円となっていて、noteでは単発取引が10.2億円、継続取引が3.3億円となっていて、単発の取引が中心だと分かります。

ちなみにサブスクリプション型のストック収益比率は直近の四半期では35.6%となっています。

また、流通総額は直近の2022年6~8月の四半期で28.5億円、月間の購読者数は35.7万人、1人当たりの単価は2650円となっていて、テイクレートに関しては17.5%となっています。

ちなみに販管費の内訳をみていくと前期は売上18.8億円に対して人件費は7.4億円で人件費率は39%と高水準です。
そして支払手数料が4.9億円と非常に多額になっています。

取引先の情報を見てみるとGMOペイメントゲートウェイの残高が大きいですから、この手数料の大半はコンテンツの決済手数料だと考えられます。
となると手数料を除いた前期の売り上げは14億円ほどだと考えられ実際の売り上げ規模はだいぶ小さくなりそうです。

テイクレートに関しても手数料負担が大きく、実質的には先ほどの開示の17.5%より低水準にいるでしょう。

また、主要な販管費に広告費が入っていいないのも1つの特徴です。
こういった成長企業の場合は多額の広告費で赤字になっているというケースも多いですが、支払手数料と人件費の負担によって、売り上げ規模に対して大きな赤字となっていますので、まだまだ相当取引量を拡大させていかないと黒字化は遠そうです。

ですが個人的には単発売り上げの取引量を拡大させていくのは難しい側面もあると考えています。

というのも事業上のリスクを見てみると特定のカテゴリ収益への依存を上げていて、特定のカテゴリとは競馬などの公営競技やビジネス・投資・ITといったユーザーの経済的利益に直結しやすい分野のことです。

つまるところ大半のユーザーがお金を出すのはそれ以上の経済的な便益が得られると考えられる時だという事です。

面白いとかクリエイターを応援したいなどという理由で課金されるケースは少ないのでしょうし、そういった課金はnote以外のコンテンツに対して行われやすいというのが現状でしょう。

競馬などは毎週のように新しいコンテンツが提供できますが、経済的便益の期待できるコンテンツはHow to系になりやすいです。
そしてHow to系で長期的にコンテンツを提供できるクリエイターはほぼいません。
自分のノウハウを何度か提供したら、コンテンツがなくなってしまうからです。

となると売り上げを立てられるクリエイター側の入れ替わりが激しく、長期的に収益に貢献できるクリエイターが積みあがっていきにくいという課題があるのではないでしょうか。

となるとむしろこれから業績を伸ばすために重要なのはpro版だと考えられます。

当初に書いたようにpro版では集客を目的とした導入になるため、noteのプラットフォームとしての価値が増加するとそれだけ成長しやすいサービスとなっていきます。

収益を大きく上げられなくてもファンのいるコンテンツを作っているクリエイターが積みあがっていけば、結果としてpro版での収益にはつながっていきます。

なのでnoteの立てている成長イメージを見てもnoteが比例的な成長なのに対して、proでは指数関数的な成長を描いています。
メディアとしての価値がどこかで閾値を超えたときに大きな成長ができるという見通しなのでしょう。

なので現状はpro版でのメリットを十分に確保できるだけのプラットフォームとしての価値を増加させる必要がある時期にいるのだと考えています。

今後もどれだけメディアとして成長していくことが出来るかに注目です。

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