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贅沢の定義

「あなたにとって贅沢とは何ですか?」
その回答は世代によってある程度傾向があるそうです。
大学生くらいの若い世代に聞くと、「お金のことを気にせず欲しいものをいっぱい買うこと」という答えが圧倒多数。
働き盛りの世代に聞くと「ゆったりと流れる時間」「自分の時間」のような回答をする人が多いようです。


贅沢の定義と反対語

贅沢の定義とは何でしょうか?
金銭的な贅沢、時間的な贅沢、質的・価値観的な贅沢。
贅沢の意味を辞書で引くと「必要な程度をこえて、物事に金銭や物などを使うこと」と書かれています。
贅沢の反対語は「質素」だそうです。
しかし、質素という言葉は金銭的に贅沢をしないという意味であり、時間的な贅沢の反対語としては適していません。
贅沢の反対の意味になりそうな言葉を少し考えてみたところ、
「貧乏、欠落、不足、欠如、不十分、飢え、簡素、けち、忙殺、清貧」
などが思い浮かびました。

フランス語の「luxe」

フランス語のluxeは、<de luxe>という形容詞的用法でよくもちいられ、ブランドバッグや高級ホテル、クルーズの旅など、いわゆる「贅沢」を指しつつ、どこか「優雅さ」も感じさせるものや事象を指すそうです。
luxeはどこかエロティックでなまめかしさを感じさせる、感覚的で、幅のある言葉です。

逆に、wealthという英語の方から考えてみると、これに対応するフランス語はrichesseで、これはluxeよりずっと感覚性に乏しく、むしろ即物的な「豊かさ」を表します。
日本語の「富」や「金」に近い言葉です。
richesseには、luxeにあるような艶っぽさや優雅さはありません。

ゾンバルト「恋愛と贅沢と資本主義」

ゾンバルト「恋愛と贅沢と資本主義」で贅沢は「必需品を上まわるものにかける出費のこと」と書かれています。
つまり必需品がなにか分かれば、贅沢という概念が分かるというわけです。
しかし必需品をはっきりさせるというのは、簡単なようで実は難しいことです。
なぜなら「これは必需品だと思う」という主観的な価値判断は人によって違うからです。

贅沢には量の面での贅沢と、質の面での贅沢があります。
例えばタバコに火をつけるときいっぺんに三本のマッチに火をつける行為は、量的な贅沢です。
質的な意味での贅沢は、いつもより高級なタバコを購入するといったような、より優れた財貨の消費のことをさします。

ゾンバルト曰く、個人的な奢侈(贅沢のこと)は全て、まず感覚的な喜びを楽しむことから起こったと言います。
目、耳、鼻、味などの刺激はつねに、なんらかの種類の日用品の中にすがたを現します。
そしてこれら日用品が奢侈支出のもとになります。

贅沢=性愛?

さらにゾンバルトは、感覚の刺激を繊細にし、増加させたいという欲望はすべて、もとを正せば我々の「性生活」にもとづいており、感覚の喜びと性愛はまったく同じものであるとまで断言します。

奢侈には他人よりも抜きん出ようとする野心、はなやかさを求める気持ち、うぬぼれ、権力欲があります。
しかし同じ贅沢でも、個人的な唯物的な贅沢をしようとなると、感覚の楽しみが煽られなくてはならない。だから性の楽しみが生活の形成にあたって決定的な影響を及ぼすとゾンバルトは言います。

ゾンバルトの主張は少々飛躍しており、説得力に欠けるところがあります。

贅沢とは使い古した服である

ココ・シャネルは「贅沢とは使い古した服」だと言いました。
事実、シャネルはいつも同じ一着のスーツを十年以上も着ていました。

古いものには歴史のオーラのようなものがあります。
歴史のない新品よりアンティークの方が往々にして価値があります。

服や骨董品に限らず、街並みや自然でもそうです。
樹齢を重ねた大木をみるとき、わたしたちはその威厳ある姿にうたれずにはいられません。


参考文献

  • 山田 登世子 著「贅沢の条件」

  • W・ゾンバルト 著、金森誠也 訳「恋愛と贅沢と資本主義」

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