希望塾と千本ノック

2009年だから12年前になる。

東京タイプディレクターズクラブ(TOKYO TDC) 主催のデザイン塾、希望塾に通った。
当時は大阪に住んでおり毎週土曜日、銀座のgggギャラリーの会場に、新幹線で日帰りで通いつづけた。
講師陣とテーマが多彩で、好奇心がいろいろなベクトルに向いた8週間だった。

1)祖父江 慎「ニッポン文字の形、今とか昔とか」
2) 菊地敦己「情報構造とその表現」
3) 工藤強勝「ブック・エディトリアルデザインのメソッドとコンセプシオン」
4) 寄藤文平「デザイン・イラストレイテッド」
5) 工藤青石「何のためのデザインなのか?」
6) 町口 覚「自覚して挑むということ」
7) 後藤繁雄「コンテンポラリーアートとデザインの横断領域」
8) 大日本タイポ組合「じゆうじかん ~字で遊んだり、字を感じたり~」

錚々たるメンバーとテーマだった。

この中で、森山大道さんの写真集出版をされている町口覚さんの講義の一言を強烈に覚えている。
「出逢いの千本ノックを打て!」
この人と仕事がしたい。この人と話がしたい。この人のことをもっと知りたい。この人に影響を受けたい。
そう思う出逢いの千本ノックを打ち続けろ。
そうすれば見識も広がり、度胸もつく、そして面白いコトができる。
そういう内容だったと解釈している。

この教えは、自身の仕事にいかされているに限らず、趣味の分野でも多分にいかされていて、ありがたい教えをいただいた。

この塾では自分が選んだ講師に一分間プレゼンテーションができた。

私は御著を愛読している後藤繁雄さんを選ばせていただいた。
事務局の方に無理を言い、一分間の野点茶会を会場で開いた。
「ゲリラ茶会 ーあるいは、ノマドな時間ー」
と名づけたひとときの提案をした。
後藤さんは美味しく飲んでいただいた、、、と思う。

絨毯、古い染付に自絵付けした茶碗、輪島塗に自分で蒔絵した棗、自作の茶杓、和三盆の干菓子、ガラスの菓子器、ティファール、白いウラ・プロコッペの湯器、茶筌、、、と大きな荷物をガチャガチャ言わせて、大阪から銀座の会場に運ぶ自身に悦に入っていた。奇妙な微笑みを銀座の街やそこかしこに振り撒いていたことだろう。

その足で友人のデザイナー夫妻宅に押しかけて茶を振る舞った。それがその夫妻との茶会の記念すべき第一回となった。茶会は茶事になり、いまも続いている。目下現在はオンライン茶会になってしまっているが。

町口さんの教え、この状況下でも、改めてチャレンジしよう!出逢いの千本ノック。
一方的なノックではなく、打つ側も受ける側も笑顔になれる、社会も笑顔になれる面白いコトを生み出すために。

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