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中村文則『逃亡者』を読む前に

松下大樹

#読書前感想文 という素敵企画に参加できていなかったので、大好きな作家の新刊を読む前に少しだけ。

中村文則さんの書く小説は、とにかくテーマが大きい。新刊が出る度にこれ以上はないだろうと思っていると、きちんと裏切ってくれる。教団、帝国、緊縛(!)……そして今回は信仰だ。毎度のことだが参考文献が多く、校正される方は大変なんだろうなと余計な心配をしてしまう。

好きな作品はたくさんあるけれど、なかでも一番好きなのがあとがきである。作品ごとに巻末に1ページだけ割いていて、「これは何冊目で〜」「デビュー何年で〜」など、物語を書き切った中村さんの一瞬の安堵がよく表れている。それを読むと、ああこんな素晴らしい作品を生み出したのも人間なんだなと安心する。

そして、あとがきに必ず登場する「共に生きましょう」の一言。テーマ的に「重そう」「暗そう」と感じる方も少なくないと思うが、絶望の先にある一筋の希望—これを示したくて中村さんは本を書いているのだと思う。その光に触れてみたくて、彼の本を好んで読んでいる。

さて。

今宵はどっぷり明るい闇に浸かります。

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