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先生との出逢い

師匠との出逢い

私の師匠は能楽界では言わずと知れた方、大倉源次郎先生です。
「源次郎先生が大濠にいらっしゃるから来い」と父に言われ、高校卒業前の自分は恥ずかしながら真っ当な性格では無く、調子に乗っていました。

大濠公園能楽堂にバイクで行き、服装もちゃんとした格好をしていない状態で師匠と会いました。
先生の開口一番は「おぉ、大きくなったな。今からお昼食べるから一緒に来なさい。」でした。
しかも父とは別で。

この人しかいない

そんな調子に乗りきっている私を見た先生は、見た目などには何も言わず

「今日の舞台、ちゃんと観とくんやで」

の一言でした。
そのまま楽屋には入らず舞台を拝見する事になりました。
その時の印象は鮮烈に覚えています。

自分には到底出せない鼓の調子

舞台上での所作の美しさ

終演後に先生にもう一度お会いして、弟子入りしたいと志願しました。
先生からは「高校を卒業して、9月から来なさい。それまでにやり残した事、全部やって来なさい。」と言われました。
父はこのまま九州でやってくれれば良いと思っていたと思います。
でもしょうがない。
先生に出会ってしまったんだから。

18歳で上京し、何も知らない自分は大倉家の先輩である、田邊恭資先輩、大山容子先輩に色々と教えて頂きながら(大迷惑をお掛けしながら)能楽師の道を歩み始めました。

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