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−千歳緑− あちらのお客様からです@ラキピ 【いろどり旅行記#01北海道】

いろどり旅行記#01。
お届けする都道府県の順番はぼくの気分と言いつつ、やっぱり最初は北海道。


ただ、ぼくが北海道を訪れた時の動機はやや不純で、
「津軽海峡フェリーに乗って、「ごらんあれが竜飛岬北のはずれ」と指差したかったから」。

ああ 津軽海峡冬景色

そうして本来の目的を無事に果たして降り立ったのが函館港だったのである。

時刻は18時すぎ。
季節はもちろん冬。


凍えながら晩ごはんを求めて行き着いたのが、噂の函館名物「ラッキーピエロ」。

函館出身の知人から、「とにかく不思議だけど函館の人に愛されている店」と聞いていた。

まず外観からしてめちゃくちゃ不思議。
雪の夜に燦然とそびえる原色モリモリの店舗。
店頭に仁王立ちするピエロの人形。

あまりの異様な外観に、ひとりで店に入るのがやや躊躇われたが、ここで引き返すと函館にやってきた意味がなくなってしまうので、勇気を出してビビッドな緑のドアを開けた。(自動ドアだったかもしれない。)


店内にはたくさんのお客さんと、たくさんの謎の人形たちがいた。
そんな空間で何食わぬ顔でハンバーガーやら何やらを食っている人たちを見て、「これがラッキーピエロか」と思った。
ともかく、この不思議さを受け入れること、キョロキョロしないことが重要だと悟った。

ぼくは至って平静を装いながら、一番人気と謳われていたチャイニーズチキンバーガーとポテトを発注。

賑やかすぎる店内の装飾を気にしてしまうとチャイニーズチキンバーガーどころではなくなってしまうので、とにかく目の前のチャイニーズチキンバーガーに集中した。
そんな努力も功を奏し、一番人気なだけあって美味しかった。


ポテトをつまみながらチャイニーズチキンバーガーの余韻に浸っていると、何やら横のテーブルで店員さんとお客さんとのやりとりが行なわれていた。

「あちらのお客様から……」
「えっ!?本当に?いやいやいいのに……ありがとう〜!」
「いいのいいの、お誕生日おめでとう!」

都市伝説だと思っていた「あちらのお客様からです」が、ラッキーピエロ函館港北大前店で現実になっていた。

ラッキーピエロという異空間も、「あちらのお客様からです」という都市伝説も、函館の人にとっては至って普通な日常なのだ。


「函館の日常」という異空間から出たぼくは、道路脇にたなびく北海道名物「交通安全」の旗を見て、やはりここが北海道であるという非日常を実感したのでした。

北海道名物、交通安全の旗



【千歳緑】ちとせみどり
松の葉のような深い緑。
北海道といえば大地の緑色。数ある緑色の中から、北海道の地名にもある「千歳」をチョイス。



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