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薪ストーブの季節になりました。

つい先日まで、あったかい秋だなぁ、なんて会話をしていた記憶があるのだが、今朝は、山からの風花に始まり、雲がかかって初雪の様相になってきた。しかしながら、雪はすぐに止んでしまい、雲間から日差しも出てきて、道路が濡れる前に乾いてしまった。まだスタッドレスに履き替えていない軽トラでの外出も問題なさそう。

今日は、お店の営業日で朝から準備をしているのだが、室内の温度が14度ではお客様に申し訳ないので、薪ストーブに薪をくべて開店前に店内をぬくぬくにする。

薪ストーブをつけるという事と簡単に言うが、実はこれがとても興味深い世界である。昨今では、都会では薪ストーブをつけるという習慣は皆無だし、灯油ストーブさえ使えない地域、建物が増えている。エアコンのスイッチ一つで暖房にするとか、電気で床暖房にするといった便利な時代になってきた。

この薪ストーブとまともに付き合おうとすると、いろいろな事を学ばないといけない。いや、いけないというか、私の感覚では、いろいろなことを学ばせてもらうことができるので興味深い。自然の原理とか現象をよく理解してうまく付き合ってゆくという事は、生きてゆく上での大事なことだと思うし、それらを会得するすると人生の楽しみが格段に増えてくる。

いい音おやじとしての真空管アンプも、ある意味で、自然の原理、現象を利用した音楽の増幅と考えれば、これまた人生の楽しみである。

薪ストーブとは、要するに木を燃やすことによる熱を暖房とするという簡単な事のように思えるが、実はそんなに簡単ではない。
どのようなストーブを使えば効率的に熱を蓄えることができるか、空気の吸気と煙突からの排気をどのようにすればよいかといった、導入時点での知識から、木の種類によって燃え方が異なることを学び、どのような木が薪に適しているかとか、火をつけるにはどのような薪の組み合わせが良いのか?
などなど、とっても奥が深い。薪を準備するという事も、1年がかりで、原木を入手して、チェーンソーで輪切りにして、斧で薪を作り、そして次の冬まで乾燥させるという一連作業があって、はじめて薪ストーブに火がともる。そして、家の中に蓄えた熱をできるだけ長い時間温存し、外に逃がさないようにするためには、断熱という知識も必要になる。勿論、火事にならない様な施工をするという知識も大事!

もう何十年と薪ストーブと付き合ってきているが、まだまだ、自然の原理をうまく使いこなすマスターになるのはほど遠いと思っている。

私のチャレンジは、マッチ一本で種火を作りそれをうまく利用して太い薪まで燃やすことができるかという事。そして、温まったストーブにどのように木を足してゆくことによって、一番効率的に室内の温かさを長時間キープすることができるか?という事である。

誰も教えてくれないけど、自分でいろいろ試してみて、自分の家とストーブに合った使い方を極めるというのが楽しい。

なんだか、音楽と同じで、自分の作った真空管アンプや、スピーカーを使って、自分の感覚で究極の良い音を追求する精神と似ているように思う。

世の中には、お金を出せば目の前まで快適をデリバリーしてくれるシステムがたくさんあるが、私の場合、面倒くさいことを楽しむという発想で、できるだけ自分の力で自然現象を利用させてもらうという事を人生の楽しみとして日々生活を送っている。

私にとって、薪ストーブと付き合うことができるというもの、真空管アンプと付き合うのと同じように、人生を幸せにしてくれる大事な手段なのでる。