見出し画像

カナダのバンクーバでソフトウェアエンジニアになれたので振り返りをする


新卒から2年半、日本でエンジニアとして働いた後、バンクーバへ渡航し、現地企業🇨🇦から内定をいただけたので、振り返りをします。

Twitter: @iioiiadev
海外就職インタビュー記事はこちら

背景


「エンジニア 海外 転職」と検索をすると、「未経験から現地のカレッジブートキャンプに参加して、海外エンジニア転職に成功した事例」を多く見かけます。
特にバンクーバはCICCC、ILAC、Langara College、BCITなど 1~2年 でweb開発を学べる専門学校、公立カレッジが乱立しており、ここを卒業し、現地企業に就職する人を多く観測されます。

こういった現地のカレッジに通ってから就職する事例は多く見かける一方、「日本で数年エンジニア経験→現地で転職」の事例はあまり見かけなかったため、同じような境遇の方の参考になればと思い、記事を書いています。

著者について

大学卒業後、日本のSIerで2年半ほど働いていました。
要件定義から開発・運用まで社内で完結している、いわゆる独立系SIerです。

技術経験について


大学前

大学以前はあまりパソコンに触れる機会はありませんでした。強いて言えばアメーバピグをやっていたくらいです。釣りとカジノのゲームが好きでした。

大学生
大学では情報系の学部に所属していましたが、個人開発や、メガベンチャーでインターンをしていた経歴などは無いため、極めて平凡な技術力だったと思います。プログラミング言語は、講義や研究でC、Java、Javascript、Python、Prolog、あたりを使ったことがある程度で、大学1年時に学んだCや、1講義だけで使用したPrologはもう何も覚えていません。おそらく、もう少し多くの言語に触れていた気もしますが、記憶にありません。とはいえ、一応情報系は出ているので基本情報程度の知識は持ち合わせていたと思います。

また、少しだけ特殊な経歴があり、3年次に地元の大学から情報系が強めの大学に編入をしました。編入の同期に激強高専生がたくさんいて、唐突に始まる技術トークに全くついていけなかったのをよく覚えています。ここで、リアルGeekな人たちと出会えたのはとてもラッキーでした。

大学4年次は会社の入社前課題(任意)に取り組み、そこではPHP/Laravelで簡単なアプリケーション作りました。なお、入社後にPHPは使っていません。

社会人
1年目は主にバックエンドでKotlin/SpringBoot、たまにインフラ周り(AWS)も触っていて、資格はAWS Solution Architectの資格を取りました。1年目はAPI開発がメインで、SIerあるあるなのかわかりませんが、設計書作成等もしていました。( 噂によると自社サービスの会社は設計書を書かないとか・・・) 

2年目から顧客と関わるようになり、1年目から入っている案件の運用・保守で追加開発の要件定義、API、DB設計、バグ・アラート対応などをやり始めます。バグ対応でフロントエンドの修正を対応することがあったので、Javascript/Vueの経験はここで少しだけ得られました。こちらの案件は30%ほどのリソースで対応していて、残り70%は別の新規案件で設計・開発に携わりました。言語やフレームワークは1 案件目と同じです。
新規案件の方では若干インフラの作業が増えましたが、やはりバックエンドがメインで、以降3年目の退職まではこのような働き方をしていました。

基本的にはバックエンドの経験がメインで言語はKotlin/SpringBoot、フロントはJavascript/Vue、インフラはAWS、CI/CDにはgithubactionsやJenkinsを使ってました。

英語経験について

ざっくりと英語への関心・経験をまとめると

高校:  得意科目
大学:  語学留学1ヶ月 + 英語サークル/チュータ
社会人:   オンライン英会話( 週3日 / それぞれ 15min )

高校時代の得意科目は英語でした。センター試験直前の模試は9~10割を連続して取れていて、本番で満点狙えるかもと思っていたらコケて8割程度に収まったのを覚えています。


大学1年が終わる春、フィリピンのセブ島に1ヶ月語学留学に行きます。
この時に「英語をそれっぽく話すのが恥ずかしい」みたいな気持ちは取り除けました。
以降、海外に行くことはありませんでしたが、大学の国際交流サークルや留学生のチューターをやっていたので、定期的に英語を話す機会はありました。

社会人になってからはオンライン英会話のCamblyを使っていて、
週3日、それぞれ15分ずつと短めでしたが、英語を話す機会は意識して取っていました。 社会人生活2年半のうち1年間、断続的ですが続けていました。

タイムライン

海外転職を目指してから内定獲得までをタイムラインで振り返ります。

2020年4月~2022年2月

2020年4月に新卒でSIerに入社します。
海外で働いてみたいという野望をうっすらと持ち続けていた期間です。
この2年間は海外転職の本気度が低く「いつかできたらいいな」程度で、とりあえずオンライン英会話をやってみたり、LeetCodeに手をつけたり、Udemyのチュートリアルに沿って何か作ったりなどしていました。

海外転職に向けて多少下調べはしていて、カナダにFrogという日本人クリエイターコミュニティがあることを知り、メールで海外転職の相談をしていました。

探してみたら当時のメールが出てきました。↓

日本で2~3年,Webエンジニアとして経験を得た後,海外に挑戦したいと考えています。

現在はバックエンド~インフラよりの実務を経験していて、並行して海外転職に向けて語学学習やポートフォリオ作りに取り掛かっています。2020年卒で語学学習に関しては、HelloTalkで海外の友人と会話をしたり、英単語帳を読んでボキャブラリーを増やしています。
ポートフォリオ作りに関してはまだ着手できておらず、ここが相談したいポイントでもあります。
どのようなポートフォリオが評価されやすく、また、そもそも海外転職を希望する時に力を入れるべきがポートフォリオなのかという疑問があります。
例えばフロントエンドをVue.js,バックエンドをJavaで作ってCI/CD,Route53,ECS,dockerなどモダンな技術を詰め込んだものを1つ作ると良いのか、あるいはチャットボットやCRUD機能などの基本的なものを複数作った方が良いのか(もちろん質の良いものを複数作れば良いとは思うのですが)...など
ポートフォリオ以外でいうと、AWS solution architectなどの"資格"の方が重要視されるのか、などが気になっています。
また、エンジニアの海外転職の記事を読むと、一度海外のスクールのようなものに通った後に就職活動をしている人が多く、そのルートの方が就職がしやすいのか気にあります。
エンジニアとして様々な技術に興味はあるので、海外就職の求人次第では学習の重きを変える覚悟はあります。フロントの求人が圧倒的に多いならフロントに重きを置いて学習を進めますし、iOS/androidが多ければそちらを中心に学習する予定です。
海外就職に関して知識が浅いため基本的な質問になってしまったかもしれませんが、ご回答いただけると幸いです。

2020/08/12のメール

この後数回やりとりをして、LeetCodeやHacker rank、ポートフォリオを作ると良いよとありがたい話をしていただきますが、相談していることに満足して結局何もせずに2年が過ぎます。

少し話がずれますが、自分のやりたいことや理想だけを語って結局何もしない人は、語った時点で勝手に達成したかのような気持ちよさを感じてしまうという話を聞いたことがあります。多分自分はそれでした。相談しただけで海外転職に近づいていると錯覚していたようです。

そうして2年が過ぎます。


2022年3月


近い同期が3人退職しました。

新卒で働き始めてから、ちょうど2年経ったタイミングです。
彼らが外資、ベンチャー、大企業とそれぞれの道へ進んでいくのを眺めている中で「いつか海外、いつかね」と言っている自分は、そのうち結婚して
子どもができて、自分だけの人生ではなくなり、色々言い訳を作って、いつかがこないまま人生が終わりそうな気がしはじめました。

ので、このあたりから本格的に活動を始めます。




3月は情報収集&ひたすら応募をしました。

レジュメ作り
まずは面接に辿り着かないと話にならないので、レジュメ作りから始めます。テンプレートでいい感じに作ってくれるサービスを利用しました。
zety
beamjobs

転職サイト登録
プロフィールを登録すると人事やリクルータから連絡がくるサービスに登録しました。
talent.io (ヨーロッパ全域)
Xing (ドイツ)
・LinkedIn 

当時はどの国に行くか確定しておらず、ヨーロッパ、オーストラリア、カナダで検討していました。

企業応募
レジュメを添付してひたすら求人サービスから応募しました。
・Indeed
・Glassdoor
・Seek(オーストラリア)
・AngelList


面接対策
よく聞かれる質問への対策をしました。
    ・HR質問対策
    ・技術質問対策

企業応募と面接対策についてはシートで管理していました。
初めの1ヶ月は書類もなかなか通らず苦戦します。
3月は張り切っていてシートで管理していましたが、書類の結果がこないところも多く、徐々に書かなくなっていきました。3~4月だけでも60~70件、渡航前までの全て合わせると150件は応募していたと思います。

HRや技術質問は想定質問とその回答をそれぞれ20パターンくらい用意して覚えようとしました。実際は半分も覚えていませんが、ある程度暗記すると想定していない質問に対しても他で覚えたフレーズを流用できるので、暗記は効果的だったと思います。

面接を受ける上で、一番勿体無いのは、自分の経験をうまく話せないことなので、使ってきた技術やエピソードトークは特に力を入れました。

応募した会社まとめ(3月に始まり3月に終わる)


質問対策



情報収集
体験談を読み漁り、自分の方向性を確認しました。

Cityz
海外就職に関するQ&Aサイトです。ベルリンで働かれているエンジニアの方が運営しており、回答者も実際に海外就労経験ある人が多いため、参考になりました
私も質問を投稿しました。
https://cityz.jp/posts/622bfa58d04e78000489b799

Frog
前述の通り、バンクーバにある日本人クリエイターのコミュニティです。
体験談に目を通しました。
https://frogagent.com/

2022年4月~5月

3月から応募を始めて、3末~4月、5月に数件のオンライン面接が入りました。


何件か面接を受けてみて、
面接で必要な最低限の英語力
は既に持っていることが分かり、必要なのはHR、技術質問やコーディング対策で、これらは短期間集中してやればイケると判断し、会社を辞めて退路を絶つことにしました。


この頃はドイツのベルリンに行く予定だったのですが、ヨーロッパの不安定さが心配で直前にカナダのバンクーバーに切り替えるのはまた別の話・・・

2022年6月~8月

仕事は6月から徐々に引き継ぎ作業を始め、7月末に退職、8月は有休消化期間でした。
退職を決めてから、忙しさも相まってか急にモチベーションが停滞し始めます。海外転職に向けた活動が減り、3ヶ月間で3社ほどしか面接を受けませんでした。ただ、そのうちの1社は3次面接まで進めたので、多少内定に近づいている感覚はありました。

退路を絶っていたので、仕事が忙しくてもモチベーションが無くてもやらなければいけないのは頭で分かっていたのですが、私は追い込まれれば追い込まれるほど力を発揮する主人公タイプの性格ではなかったようで、忙しさにかまけてサボってしまっていました。

思えば、夏休みの宿題は初めの数日でほとんど終わらせるタイプでしたし、テスト前の一夜漬けも一度もやったことがありません。よく言えば計画的ですが、悪く言えば火事場の馬鹿力が出せない中火力人間でした。
「一夜漬けばかりで乗り切ってきた」「夏休みの最終日に泣きながら宿題やってた」といった話を自虐風に話す方がいますが、私にとって彼らは追い込まれれば火力を爆発させられる、家庭教師ヒットマンリボーンで言えば沢田綱吉なわけで、羨ましい存在です。

と、あまり危機感を覚えないまま退職し、有休消化期間中は四国〜中国地方の旅へ出ます。うどんが本当に美味しかった。また行きたい。

2日で6食うどんを食べた in 香川



2022年9月~10月

8月末にバンクーバーに渡航します。

着いてからもひたすら応募をしました。
せっかく現地にいるので、求人フェアに参加してみましたが、ここからは選考に進めず、やはりオンラインの応募が続きます。
また、現地でエンジニア就職された方々にTwitterでDMを送ってLinkedInのプロフィール添削などもしていただきました。

同時に、少しでも応募できる求人の幅を広げるためにUdemyでReactの学習を始めます。(遅すぎる) 
ポートフォリオ作成にも手をつけ始めますが、完成せず中途半端なまま・・・今も完成していません。


[内定] - 2022年10月中旬

内定が出ました。

9月の下旬に応募し、1次面接→技術試験→最終面接 で 10月中旬にジョブオファーをもらえました。

技術試験はライブコーディングではなく、簡単なアプリ作成でした。
言語、フレームワーク指定ありで、フロント、バック、インフラまで作るというもので、数ヶ月~1年程度の開発経験があれば作れるものです。ただ、経験が浅い言語&フレームワークだったので期限内に学習&実装で、ギリギリでした。

いろいろと求人サイトを使ってきましたが、最終的にはリファラルで選考に進めさせてもらい、内定まで辿り着きました。本当に運が良かったです。
技術試験は通る力を持っているのに、選考に進めないだけで仕事が得られていないという人は多そう、ツテやコネの重要さを体感しました。


あくまでスタートラインなのでこれから頑張ります :power 


完です。



海外転職について

内定をもらうまで、カナダに来てからは1ヶ月半、本格的に動き始めてからは半年ほどかかったので、割と長丁場でした。

ただ、永遠にオンライン英会話とLeetCode対策だけして
準備が万全になってから応募を始めていたらいつまで経っても実現はできていなかったと思います。本格的に動き始めたタイミングで、英語勉強&アルゴリズム対策からレジュメ&面接対策に切り替え、実際に応募し始めたことが正解でした。

ベルセルクは見たことないですが、この有名なシーンは何度も目にして、何度も刺さりました。

達人になってから戦場に出るのか? - ベルセルク


こちらのツイートも刺さりました。


ちょっとテイストは違いますが、この考えも好きです。


いくら事前調査・準備をしても、実際に動き始めてみないとゴールまでの距離が分からず、距離が分からないと今何をすべきなのか分からず、結果、ほぼ必ず必要になるであろう英語アルゴリズムの勉強に落ち着いてしまいます。 私にとっては新卒からの2年間がこの期間でした。

もちろん、この二つは間違いなく海外転職における大きな要素ではあり、時間をかける価値があるのですが、道のりを歩み始めないとゴールへ辿り着けません。
英語&アルゴリズム勉強だけやっているのは、マサラタウンを出てすぐの1番道路で一生キャタピーと戦ってレベル上げをしているようなものです。と思ったのですが少し違くて、1番道路にはキャタピーだけではなく、ギャラドスやカビゴン、バンギラスにミュウツーもいて、いくらでもレベル上げができる環境です。
ただ、この世界ではポケモンリーグでチャンピオンを倒すことがゴールなので、どれだけレベル上げをしていても、ゴールには辿り着けません。
たしかに、1番道路で全部レベル100にしてからストーリーを進めればスムーズにチャンピオンまで辿り着けますが、それはどれくらいの時間かかるのでしょうか。

ポケモンの世界であればLv100という指標があるので分かりやすいですが、海外転職を1つのゴールとするなら、確実にゴールできる十分な準備の水準なんてありません。

準備をしていなくても興味があるなら行った方が言っているのではなく、ある程度準備をしたなら、まだ不十分かもしれないけど進み始めてみた方が良いという話です。そこで面接受けて全然ダメであればもう一度レベル上げ直せば良いだけです。

運が良くジョブオファーをもらえただけの立場の自分がこんな偉そうな物言いをするのは非常に恐縮ではあるのですが、転職活動に限らず、自分が何か新しいことを始めるときに大事にしている考え方なので、共有させてもらいました。


最後に


最後まで読んでいただきありがとうございます。

海外転職に興味を持っている方の参考になれば幸いです。
海外で働くことに物凄く高いハードルを感じている人は多いかもしれませんが、多少開発経験があって、多少英語が話せるのであれば、とりあえず応募してみると良いと思います。


少しでも興味があれば、足を踏み入れてみてはいかがでしょうか… !!

転職サイト

talent.io (ヨーロッパ全域)
Xing (ドイツ)
・LinkedIn 


企業応募
・Indeed
・Glassdoor
・Seek(オーストラリア)
・AngelList

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?