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本当の森を知る.

自分の職業が庭師なのか?植木屋なのか?外構屋なのか?造園屋なのか?いまいち自分でもよく分かっていないのだが、植物を扱うのが好きだということはよく分かっている。でも、その植物たちが実際どういった環境でどう過ごしているかは知らないし、好きだと言っているのに知らない事に違和感を感じ、先週知り合いの樹木医さんが開催している森ツアーに参加させてもらいました。

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この森は、誰も人が管理することなく、500年以上も存在する森で、樹齢200年~300年はあろうかという樹がたくさんあります。。日本は国土の2/3が森で覆われている森林大国なのですが、原生林といって太古の昔から一切人が立ち入っていない森というのは全体の2~3%ぐらいしか残っていないようです。

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高木に覆われた森の様子。森の中は陽の光が届かず、雑草すら成長することは許されません。森の中というのは常に競争が行われ、この写真に写っている木々達はその戦いに幾度となく勝利してきた、いわば奇跡の生還者ということになる。動くことができない植物の戦いは、本当に戦略的で風や虫、動物、他の植物まで利用してでも生き残ってやるという、今の日本人には無くなってしまった侍魂の様なものが植物たちにはあるように感じた。

日本という国は人間が居なくなると、全てが森になると言われるぐらい植物にとっては良い環境だそうで、日本人と植物は切っても切れない縁で結ばれている。だから人は植物に魅了されるのかなとも思った。

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写真は、倒れても尚生き続けるソヨゴと言う樹です。庭木としても有名でよく使われるソヨゴが、自然界の中ではこんなにワイルドでたくましい植物だということは知りませんでした。どちらかといえば、かよわいイメージの植物ですが、この姿からか弱いという言葉は出てきません。

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上の写真はシイノキの森。森の中で一番早く高く育つシイノキは言わば森の王者。シイノキに参入された森は、いつかシイノキに飲み込まれ他の植物は育つことができなくなりシイノ森となります。人間社会で言う大手の参入により小さなお店が潰れるという状態にそっくりです。

そんなシイノキの森でも、ひっそりと育つ植物は数種類あります。その木は自分が大きくなってシイノキから光を奪うこともなければ、栄養もそれほど必要とせず、決してシイノキの邪魔はしません。戦っても勝てないなら邪魔をせずに生き続ける。人間も含めたすべての生命の最大の目的は種の継続であるという事は、どんな状況でどんな形であれ、生きていれば勝ちという事を森が教えてくれたような気がする。王者が来れば、戦うこともよし、逃げるのもよし、その場で居続ける方法を模索するのもよし。いろいろな方法を模索しながら森の木たちは生き残りをかけ戦っている。それはまるで人間社会と同じ。

私はシイノキのような王者になるつもりも有りませんし、なれないと思っています。しかしソヨゴのように大きな木の陰でも力強く生きていける戦略をもち、王者の足元でも存在価値のある、そんな会社を目指そうと思っています。大きくなるという戦略は、大きくあり続けるという事。シイノキも同じ。もし、少しでも早く大きくなる木が森に現れた時、シイノキは一気に森から姿を消すこととなる。ただしソヨゴは生き続ける。

森は面白い・・・・・・・・・。

KATO

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