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自分で言うのはなんだけど、愛の力ってすごいかも

自分で言うのはなんだけど、
今まで生きてきて、大抵の事は頑張らなくても、平均かそれよりちょっと上くらいのクオリティを保ってきた。つもり。

そんな風に思って生きてきた私にも、
唯一苦手なことがある。それが裁縫。

とにかく不器用な私は、小学校の家庭科の時から本当に裁縫が苦手。

真っ直ぐ縫えない、縫っちゃいけないところを縫い合わせちゃう、いつも糸が絡まる、指を刺さない日はない、そんな感じ。

マネージャー時代にはお守りも、ミサンガも作ったけれど、全然上手にできなかった。
不器用なくせに大雑把なので、いつも地獄の仕上がりだった。一生懸命ではあったけれど。

そこからはもう取れてしまったボタンをつける時くらいしか裁縫をすることはなかった。

恋人の誕生日の1ヶ月くらい前に、
誕生日プレゼントは何が欲しい?と聞いた。
候補をいくつか出してくれて、その中に「手作りのトートバッグ」というワードが出てきた。

「無理無理!私裁縫下手だもん!」
というと、
「できあいのトートバッグに刺繍してくれるのとかでも嬉しいよ」
と言われてしまった。

無理、無理、、、と思いながら
次の休みに吉祥寺のユザワヤへ。

刺繍に必要そうなものを一式揃え、
できあいのトートバッグも買ってきて、
刺繍をすることにした。

とはいえ、全く具合がわからない。
買ってきた初心者向けの刺繍の本とYouTubeを見ながら、見よう見まねで刺し始める。

あれ、意外と楽しいかも。
いやまって、全然思う通りにできない。
てかもうこんな時間!?

これをグルグル繰り返し、ようやくひとつ完成。
ちっちゃいモチーフだけど、納得できる所まで持っていくのに時間がかかった。

恋人の誕生日まで、あまり時間が無い。
それなのに仕事は残業三昧で、
帰ってきた時にはもう22時近い。
そこからご飯を食べてお風呂に入ったらのんびり刺繍をする時間なんてない。
でも毎日必ず少しは刺し進める、と決めて
仕事終わりや出勤前に着々と進めた。

ひとつモチーフができる度に母親に見せると、すっごく上手!と褒めてくれた。

いくつかモチーフを刺し終わったあとに友達に見せると、すごい可愛い!愛だね。と言ってくれた。

それが嬉しくて、恋人が喜んでくれたらもっと嬉しいなと思って、チクチクチクチク刺した。

恋人の誕生日前日も、朝から刺繍。
チェーンステッチで果物の面を埋めていくけど
全然終わらない。
明日渡すのに!?焦る私。

てか色んな念を込めちゃってる気がする。
ひと針ひと針に、私の思いがこもっちゃってる気がする。
眠いし焦るし疲れたし、変なことを考え始めたところで電話が鳴った。

恋人からだった。
刺繍は恋人から電話が来たらおしまい。
明日の朝早起きして必ず完成させるぞと心に決める。

翌朝5時に起きて最後のモチーフを刺し始める。
なんとか完成。

もう感無量。
私にもできるんじゃん。と思った。
大好きな恋人のためなら、
苦手なことでもできるんじゃん。
愛ってすごいかも。って思ったりもした。

完成品は色んな人に見せた。
お母さん、お父さん、おばあちゃん、友達数人、それから会社の部長。
みんな褒めてくれた。嬉しかった。


誕生日を迎えた恋人に渡すと、
本当に喜んでくれた。
他にもプレゼントをあげたのだけど、
「甲乙つけがたいけど、このトートバッグが1番嬉しかった」と言ってくれた。
「今日のこと、一生忘れない」とも言ってくれた。

本当に嬉しかった。
寝不足になりながら作ったかいがあった。
苦手だけどやってみてよかった。
そう思った。
そう思わせてくれてありがとうとも思った。

ずっと苦手で下手くそな裁縫だったけど、
恋人のおかげで趣味になりそう。
そんな予感がしている。

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