フナハシ家の女たち
今日は、私の育った「フナハシ家」の話。
※家族は、血のつながりだけじゃない。
実感として、実体験からそう思ってます。
家柄とか血とかで人を差別することは無意味、
ということを忘れないように生きていきたい。
※突き詰めると王族とか、高貴な血とか、
そういうのは「ない」ことになりますが、
それはちょっと別のレイヤーで考えたいです。
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父方のフナハシ家は、「女系家族」である。
亡くなった大正生まれの祖母を頂点とし、
主に祖母の娘たち(私のおば)で構成される
コミュニティーである。
とにかく女性が元気で、よう食べ、ようしゃべる。
もともと祖母は「フナハシ家」にヨメに来た人だ。
(ヨメに来たという表現は好きじゃないけど、
祖母の時代はまさに「嫁をもらう」時代である)
私の母親は、祖母の息子のヨメであり、
私は、祖母の直系の親族(祖母の息子の娘)である。
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生まれてから小学校6年生まで、
父方の親族(フナハシ家の人々)と同居していた。
家族はみんな、祖母のやっている飲食店で働いていた。(私の父だけが会社勤め)
1つのビルの1階と2階がお店、
3階と4階に計4世帯が同居していた。
親族は入れ替わり立ち替わり、
一番多い時で10人と猫1匹とチワワ1匹。
近くに住む伯父(祖母の息子)家族も
夜ごはんは毎日うちに食べに来ていたりして
とにかく食卓がにぎやかだった。
私が7歳のとき、父が亡くなった。母親と私と弟が残った。
私の母親は父の家にヨメに来たから、
フナハシ家は全員血がつながらない他人だ。
夫という、「フナハシ家と自分をつなぐ存在」がいなくなり
家を出ることも考えたそうだが、
最終的には数年間残って一緒に暮らすことを選んだ。
母親にとってはいろいろあったようだが、
私たち姉弟は、幼少期に大家族で過ごすことができたことに
感謝している。
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フナハシの女の特徴は一言で言うと
「商売人の気質」である。
ポジティブで、はたらくことが好き。
勉強は得意ではないが、頭の回転が速い。
言いたいことはハッキリ言うが、後に残さない。
美人ではないが、愛嬌があり、あねご肌。
派手好きで、キラキラしたものが好き。
ナゴヤ人らしく、貯蓄と子供の教育に熱心。
これがフナハシの女である。
祖母は商売人だった。
でも今思うと、家事や子育てとかがほとんどできない人だったと思う。
祖母が台所に立っている姿を見たことがない。
伯母も、「おばあさんは料理がヘタだった」と今でも笑って言う。
でも梅酒だけはずっとつけていた。
毎日、お昼におちょこ一杯の自家製梅酒を飲むのが健康法だった。
祖父は私が生まれる前に亡くなっている。
祖父の最初の妻が亡くなって、
祖母は後添えでヨメに入った。
聞くところによると、どうやら祖父は地元の名誉職(金にならない)ばかり務め、
骨董ぽいものに凝ってお金を使う人だったらしく
祖母は自分で商売を始めた。
喫茶店と雀荘。
昭和の時代にはとても流行ったそうだ。
でもバブルがはじけ、
さらにチェーン店のお洒落なカフェが台頭した。
時代の流れにはついていけず、
店はしめることになった。
祖母は一代で富を築いたが、
いいかんじに子供らにお金を遺し、
あとは着物と宝石に使い尽くして亡くなった。
遺産相続も、大きくはもめなかった。
カッコいいと思う。
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祖母が亡くなって、今、フナハシ家の象徴は
祖母の次女(父の姉)・ノリコおばさんである。
結婚して姓はフナハシではないが、
完全にフナハシの女を体現している。
もう後期高齢者だから、と言いつつ、
メールすると女子高生並みに絵文字満載で返ってくる。
よく食べよくしゃべり、めちゃめちゃ元気だ。
サンちゃんは、ノリコおばさんの弟で、父の兄だ。私の伯父にあたる。
喫茶組合のエライ人で、たまに地元のTVや新聞に出る。
サンちゃんの妻は、フナハシ家の血を引いてはいないが
これまた完全にフナハシ家。
サンちゃんの娘たち(私の従姉)もこれまたフナハシ家。
それぞれ結婚したが、
夫たちもフナハシ家になじんでくれている。
夫たち同士も仲が良いようで何よりだ。
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祖母はフナハシ家の統合の象徴だった。
みんな祖母が好きでそこにいた。
みんな祖母を尊敬していた。
親戚が集まると、
ことあるごとに「おばあさんのおかげ」という言葉が出る。
血の関係を中心とした、ゆるやかな文化的集合体。
それがフナハシ家である。
なんていうか、例えはあれだが
マフィアのファミリー
というのが一番近い気もする……。
そういえば、ノリコおばさんは学生時代、
名古屋の名門老舗女学校で「番を張ってた」という。
スケバン……60年前のスケバンって何してたんでしょう……。
こわくて聞けない。
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いつか、フナハシ家サーガをまとめるのが私の夢だ。
(自費出版で自伝を配るおじいちゃんのように)
キャラとエピソードが濃すぎて
執筆に10年くらいかかりそうだけど……。
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というわけで、私の夫になる人は、
フナハシの家に合うかどうかが非常に重要になります。
これ言うと
「家柄?? 家格?? 今どきそんな古い考え」
と言われるのですが、ちがーーーーう!!!
これはアイデンティティの話なんです。
私は自分の姓が変わるのは別にかまわんが、
たとえ戸籍上「ヨメに行く」としても、
フナハシの女らしくいられないなら、
その人とは結婚できない。
ちなみにフナハシの女と結婚してうまくいく男性の特徴。
・とにかく嫁を立てる
・おしゃべりではないが、コミュニケーション能力は高い
・堅い職業についているか、手に職がある
・出会った時はどうあれ、現在、妻の方が夫に惚れている
我こそはと思う人は、履歴書を送ってください!
最終面接は"ゴッドマザー”ノリコおばさんです(←これマジ)。
これからも書き(描き)続けます。見守ってくださいm(__)m