不倫報道で考える②良い不倫・悪い不倫(2020.2.4)

東出・杏夫妻の不倫騒動から考察する第二弾。
この騒動については「よその家庭に口出ししない」という姿勢を見せるのが、一番かしこい態度だとは思うのですが、2回にわたって検証しちゃいました。
誰にも頼まれてないけど・・・(笑)

第一弾はこちら
▼不倫報道で考える①ワイドショーの矜持とは(2020.1.30)
https://note.com/iincho/n/nc153fa6df24a?creator_urlname=iincho


今回考えたいのは

(私が)うっかり憧れちゃう不倫(良い不倫)
(私が)糾弾したくなってしまう不倫(悪い不倫)

の違いです。あくまで私にとってですよ・・・どこまでも私の話・・・。

▼本論考では
「不倫」を、「法律上の婚姻またはそれに準ずるような一種の契約関係にあるペア(2人)のうち、いずれか一方、または両方が、ペア以外の人間と相当期間にわたる継続的な恋愛関係に陥ること(肉体関係の有無を問わない)」
と規定いたします。
いわゆる「彼氏・彼女」のペアは、契約関係にまで至らないと判断して除外します。

たぶん不倫は、人類が婚姻という制度を開発して以来のものなのだろう。
モーゼの十戒にも「姦淫してはならない」と規定されていることだし。
大昔から不倫は頻発していたと思われる。

そういえば、杏ちゃん自身が「偽装不倫」というドラマに出演していたことが話題になってた(私は見てないですが)。
私が学生だった頃は『失楽園』(渡辺惇一)ブームがあったし、
定期的に不倫ものブームが来るんですかね??

ブームというか、世の中にはもとから不倫を扱った作品は溢れているのだ。
特に文芸(マンガ含む)、音楽、絵画は恋愛を主題にしたものが多く、
そのメジャー分野「恋愛」の中でも
「許されない恋愛」は一代人気分野で、
さらに「許されない関係」の中でも「不倫」がまたメジャーだと思う。

恋愛(大分類)
└許されない関係(中分類)
 └不倫(小分類)

私自身は、現実世界での不倫は認めたくない派です。
個人的に「結婚とは、単なる交際と異なり、相手以外と恋愛しないことを互いに約束したということ。それが不自由だと思う人は結婚しなければいいし、不倫が発覚した場合、不倫した側は責められても仕方がないという思想を持っています(これ以外の考え方を持つ人たちがいることも承知していますし、その考えを否定することはしません)。

そして(←ここが後々ポイントになるんですが)
できれば私の女性の未婚の友人たちにも「(既婚男性と)不倫はしてほしくないなー」と思ってしまうんです。
友人が不倫関係に陥っていたら「やめてほしい」と思ってしまいます。
これはエゴで、思想の押し付けです。
(ありがたいことに、私の友人はそういう面もひっくるめて、友人関係を続けてくれています。)

もちろん私も、不倫のみを原因として友人と絶交したりはしませんし、無理やり別れさせたりもしませんし(そんなことは不可能)、話は聞きます。
でもずっと「やめてほしいなー」とは思います。
「婚姻関係は実質破たんしてるから私とカレは不倫じゃない」みたいな論法は、実務上はそうなのかもしれませんが、私は個人的にはそういう考え方もイヤです。ていうか、法的にはまだ夫婦だし…(離婚に応じてくれない等、家庭の事情はいろいろあるとは思いますが)。
当然、私自身も、既婚者は恋愛の対象たりえません。

・・・で


こっからが一大告白です。

私は「不倫を扱った文学作品」を結構、読んでます。

私が敬愛する作家「森瑤子」「山田詠美」は、私が先ほど規定した「不倫」関係にある男女のことをよく小説にします。

そして私はその作品群が好きです。

あ、あと与謝野晶子も好き。
晶子はいわゆる「略奪婚」ですが、彼女の鉄幹への激しすぎる愛の歌は、ぐっとくる短歌だなーと認めざるを得ない…。

これは、大いなるムジュンではないか!
自己批判せねばならぬ・・・(苦悩)

私は森瑤子のデビュー作『情事』が大好きで
何度読み返したかわかりません。
でも『情事』という作品は、あらすじだけを書くと
「夫のいる満たされない女が、夫以外の年下の男と関係を持つが、結局その年下の男とは別れ、夫との結婚生活は継続する話」です。世の中の基準でも私の基準でも、この関係は不倫です。
当然、この小説は不倫が良いとか悪いとかそんなことを論じている作品ではありません。
でも、これは不倫関係であることが必要な作品です。

そして、私はこの小説が大好きなのです(この妻のようになりたいか、は正直、日によって違う。憧れる時もあるし、でも悲劇的なラストなので、やはり不倫は辛いなあとも思う…)

困ったなー。
不倫は嫌いなのに不倫を扱った小説は好き、なんでなんだろなー。

で、思ったのが「フィクションはOK」っていう、身も蓋も何もない結論(笑)

んー、じゃあ、フィクションであっても、男女どっちが結婚しているとかで「私の感じ方」は変わるんだろうか。(私自身が異性愛者なのと自分周辺(=日本)で考えるため、便宜上、男女・法律婚という区別で分けます)

【フィクションの不倫関係/男女の未婚・既婚による「私のイヤさ」】
ア)既婚の女と既婚の男(興味がない)
イ)既婚の女と未婚の男(特に。むしろ良き)
  ※『情事』はこのパターン
ウ)未婚の女と既婚の男(ちょっと嫌悪感)

もう1つ。

【フィクションの不倫関係/女(未婚)男(既婚)/男女の年齢差による「私のイヤさ」】
ウ-1)女(未婚)の年齢 > 男(既婚)の年齢
   →イヤだ
ウ-2)女(未婚)の年齢 = 男(既婚)の年齢
   →イヤだ
ウ-3)女(未婚)の年齢 < 男(既婚)の年齢
   →めっちゃイヤ

現実世界でも一番多いパターンじゃないかと推察される
ウ-3)年下女(未婚)と年上男(既婚)
のパターンが一番嫌悪感がある。

たぶん私が友人に対して「不倫やめてほしい」と思ったのも、
ほとんどが「ウ-3」だったからだ。

ということは?
ということは、なんだ、どういうこと???

多分・・・
「年上でかつ結婚してるのは男性の方なんだから
 男性から道を説けよ! 『やめておこう』と言えよ!」

って思ってるんでしょう。

でも道を説いても、女から「さびしからずや道を説く君」(©与謝野晶子)とか言われちゃったら、よろめいちゃう(©三島由紀夫)のかなー! 
いや、よろめいちゃダメでしょー!

結局私は、こんだけジェンダーとかなんとか言っておきつつも、
男性に、昭和どころか、もっと昔の、家父長制的な男性優位の「憧れ」を求めているんでしょうねぇ・・・。

男には、ちゃんとしててほしい
男には、きちんとしててほしい
男には、賢くいてほしい
そして迷える女を導いてほしい・・・?????

・・・的な?! 
ひえー!! キモー!!!(笑)


結局、私にとっては、
女性主導の不倫はOKで、男性主導(に見える)不倫はNGっていう
なんていうか、超エゴイスティックな仕分けでした。
しかしどっちが主導するとかないよなー恋愛にー。
あー恋愛ってめんどいー(笑)

友人に不倫してほしくないのも
赤の他人の東出に不倫してほしくないのも
すべて! 私の! エゴ!
なんてこった。。。
(でも東出に対しては「落語ディーパー」の復活が遠のいたから、そこは怒らせてもらうぞ)

ちなみに・・・私はちょっと特殊だと思いますが、世の中の人はどういう根拠とか感情で怒ってるのかな??

本件不倫騒動で怒りを表明してるのって、ほぼ女性だと思いますが、
男性は東出に対してどう思ってるんだろう。

・不倫は妻への裏切りだ! 
・仕方ないよね、男の子だもン
・バレちゃったかー、残念

下手なこと言ったら女性から袋叩きに合うから「沈黙は金」。
でも実際どうなの?? 

怒ってる女性は
「私が杏ちゃんだったら、耐えられない!」
「杏ちゃんがかわいそう!」って感覚なのかな。

「誰が誰と恋愛しようと興味ない」って心から思える人は本当にすごい。。。早くサトリを開きたい。

でもサトった私なんて絶対面白くないと思う(笑)

これからも私は、他人は自分と考え方が違うことを理解し、エゴの押し付けに注意しつつ、アホだと思われてもいいから、その時の好奇心が赴くままに、モノを考えていきたい。

これからも書き(描き)続けます。見守ってくださいm(__)m