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心を掴む面接マインド

社会人になってはや15年。
ここ数年では新卒の一次面接の面接官を担当するようになり、今年も昨年に引き続きリモートではあるが一次面接を担当する予定。

ぼく自身、新卒の就活は結構頑張って活動し、いろんな企業に応募したことを覚えている。
日東駒専に届かない程度の学歴ながら、門戸が開かれているなら可能性が0ではないと大手への無謀な挑戦などもしてみたり。
やっと面接に進んでも、聞かれたことをただ答えるだけではダメで、なかなか1次面接を通過することもままならず、エントリーシートでの足切り含めて30社以上は落ち続けたようにおもう。
そんな風にもがいている中で出会った一冊の本が、大袈裟ではなくぼくの社会人生活に大きな影響を与えたと思っている。
この時出会った本というのが、中谷彰宏さんの“面接の達人”という本で、面接が苦手だったぼくが面接官から面接慣れしてるとまで言われるようになるほど効果が大きかった。
検索してみたら、今も情報が更新されて販売され続けている模様。

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ここで書かれているのは面接でのテクニックやマナーなど基本的なことというより、考え方や面接官の意図、会社が新卒社員を採用する理由など背景に着目されており、採りたくなる人物になるために考えること、戦略みたいなものを学んだように感じる。
そのおかげもあって、学歴のない僕でもなんとか就職することができ、運良く会社の合併等もありいつのまにか大企業の一員に。
しかし、ぼく自身会社の規模より仕事内容を重視していていたこともあり、入社して丸5年あたりで、転職し今の会社でもう10年。
面接官を任される管理職一歩手前となり、その中でリモートなど形は変われど就活の根本は変わっていないようにも感じている。
15年前に本から学んだことが、面接官をやるようになってより理にかなっていると感じた点をまとめてみたいと思う。

面接までくれば学歴はほぼ関係ない

これは面接官をやっていて感じたことだが、基本的面接官のスケジュールは過密スケジュール。
前後の面接との間もほんの少ししかなく、面接中はとにかく学生の引出しをなるべく多く開けることを重視してるため、どこの大学かなんて全く気にしている余裕がない。
もちろん事前に個人情報はもらっているものの、それよりこの前後の時間でエントリーシートの内容や学生時代に何をしてきたのか、質問のポイントを整理していたり、前の学生の印象や評価をしていたりとかなり忙しい。
そんな中で学歴まで考慮した判断などはできないし、あまりそれをする意味がない。はっきり言って母校の学生だからといって評価が甘くなるなどは真っ当な会社では起こらないので、そんな期待はしない方が良い。
もちろん就活に学歴が全くいらないとは思わないが、少なくともエントリーシートを通過して面接を受ける段階では余程の学歴でもない限りはアドバンテージは0に等しい。ただし、一次面接通過枠5人のうち最後の2人で当落線上にいる場合には、学歴が優先されるだろう。
これまでの勉強に対する努力が評価されると思えば、仕方がないことのようにも思える。
学歴にコンプレックスを感じている場合、面接で圧倒的な印象を与えられたり、緻密な戦略を持って挑み、他を圧倒することに全勢力を傾けるべきである。
一次面接では1日に10名以上と面接をすることもあり、印象に残るということも重要。
奇をてらった行動で印象に残るということもなくはないが、どう取られるかは面接官や企業しだいでギャンブルに近いため、あまりオススメできない。しっかりと内容で印象に残ることに力を注ぐべきである。実際、ぼくが面接で印象に残った例で言うと、学生時代簿記を頑張った学生が当社の財務諸表を分析してきていたり、事業拡大のアイデアを提案するなどは非常に印象に残っている。
内容としては甘くても、自分の経験と結びついていたりすれば説得力にもなる。一方で他の学生でも思いつきそうな、例えば新商品提案などは社員でも考えつかないようなアイデアや余程の経験の裏付けがないとあまり印象には残らなかったりもする。
ようは、“他の学生との差別化”をどう工夫できるかであり、企業はそんな試行錯誤できる人材を求めているのである。

面接官が聞きたいことはふたつだけ

冒頭紹介した僕の15年前の就活バイブル“面接の達人”で言っていることだが、面接で聞きたいのは“志望動機”“学生時代に取り組んだこと”だけ。
これは、自分自身就活しているときには何でなのかがあまり腑に落ちていなかったものの、確かに大きく分けて聞かれることはこのふたつだけだった。
面接官の立場となり、それは当たり前の事であったことがわかった。逆にこれ以外に面接で聞くことがない。
あったとしても、それはあまり採否に関わらない情報(例えば出身地や他社の選考状況など)で、どちらかというとアイスブレイク的なものや単純な情報収集なのではないかと思う。
一次面接の段階ではこのふたつの質問を直接的に聞くことが多く、その内容を面接官が深掘りしていくという形が多いのではないかと思うが、二次面接以降は自分自身でそこをアピールできなければその後の選考には生き残れない。
とはいえ、結局は志望動機と学生時代に頑張ったことの2択なのでどんな切り口の質問であっても慌てないでほしい。
このふたつが重要であるとわかっていれば、自ずとこのふたつを磨いていく作業に多くの時間を費やすべきである。志望動機=自分自身が仕事を通じて何を成し遂げたいのか、学生時代に頑張ったこと=これまで頑張ってきたことを仕事でどう活かせるか、ということなので、つまりは自己分析をより深く行うことが重要で、そこの軸がしっかりしていれば、どれだけ緊張していようが暗記などしていなくとも、どんな質問がきても自分の言葉で話すことができるだろう。

相性や縁のような運の要素も大きい

残念ながら努力だけではどうにもならないことも多いのが現実。
面接官をやっていて、毎年1人は現在の我が社にはいない異端児的な逸材に巡り会うが、その度1次面接担当として、ゴリ推しをしてもその後の経営者の面接で落選ということがあるのが正直なところ。
それは学生の努力が足りなかったわけでもなく、学歴でもなく、その年にその企業が求める人材ではなかったという、謂わゆる“縁”というもの。
冷静に考えると、企業側としては求める人材は毎年同じであるとは限らないし、採用人数も社員の離職が多ければ増えるかもしれない。ライバルとなる他の学生が多ければそれだけ競争は激しくもなるのだから、こういった“運”の要素というのもあるということは理解をしておいた方がいい。
どれだけその企業に入りたくて、努力をしていてもその年は選考をしない場合もあるし、企業側の求める人材と合致していなければ入社することはできないのだから、不合格が続いたからといって自信喪失することはない。
何がなんでも入社をしたい会社があるのであれば、考えられるあらゆる手段を使ってでも入社するための方法を模索するべきだし、そもそも就職は目的ではなく手段なのであるのだから、自分自身のやりたいこと、成し遂げたいことを実現するためであれば何も1社にこだわる必要もなく、いっそ起業してみるという選択肢だってあるということも忘れないでほしい。(そこまで考えている人は最初から就活なんてしないかもしれないが…)
志望度がどれだけ高くてもあくまで外から見た企業のイメージであり、実際に入社してみると地道な下積みもあるし経理などの事務系職種に配属となる可能性もあり、大きなギャップを感じてすぐに辞めてしまうということもあるかもしれない。
つまり、どれだけ企業研究をしても外から見える部分というのは限られているのでらある特定の志望度が高い企業がある場合には、その企業ならどんな雑用でもバックオフィスでも飛び込み営業でもしたいか、どの職種でもやりがいを持って取り組めるかをどうか改めて考えてみるといい。
そう考えると、その割と企業でなくてもいいんじゃないかと感じるのではないだろうか。


入社はゴールではなく、キャリアのスタートであるので、自分の思い描くキャリアを作っていくためには、新卒では敢えて志望度の高い企業ではなく、責任ある仕事が若いうちにできそうな中小企業で経験値を積み、中途で希望の職種で希望の企業に入社するなど、将来のキャリアも見越して活動をしてみるのもおもしろい。
人生のうち公に多くの企業に直接、事業内容や労務環境などを直接聞ける機会というのは、実は就活の時期ぐらいしかないようにも思うので、就活をただ就職先を見つけるためのものとしてではなく、自分自身の知見を拡げる意味で取り組んでみると必ずどこかで役に立つときがくるだろう。
不合格が続いても、全ては無駄にはならないので挑戦し続けることができれば、それはあなたを支える大きな経験となるのでめげずに続けていってもらいたい。

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