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おっかない定期券

平成2年8月購入。通勤6箇月定期。何しろ距離が長いので、1枚14万円。当時の私の給料1箇月分。もしこれを紛失したりすると、給料がまるまる1箇月飛んでしまうという、リスキーな定期券。

よく見ると「新川崎・川崎」と書いてあって、横須賀線も乗れるようになっている。実際、たまに早めに帰れる日には、夕方がら空きの上り横須賀線で、鶴見あたりから大きく曲がって、新鶴見機関区など眺めていたこともある。夏なんかだと、広い貨物駅の跡の向こうに、夕陽が沈むのが見えた。

朝の常磐線は、当時辛うじて冷房こそ入っていたものの、ボロボロの103系。高速域で加速力が落ちるため、一緒に常磐線を走っている415系や485系の足を引っ張っていると言われた。しかしそんなことはどうでもいい。とにかく朝の混雑が地獄。特に三河島から鬼のようにぎゅうぎゅう詰めになる。日暮里で山手線に乗り換え。色々非難された「6扉車」が導入された頃。あれ、朝のラッシュではむしろ快適だった。乗り降りがしやすいし、立席が前提なので窓が縦に長くて明るかった。冷房もかなり強化されていたのだろう、夏でもよく冷えていた。

今でも時々「通勤ラッシュ」の夢を見ることがある。上野駅に、ぎゅう詰めになったエメラルドグリーンの103系が停まっていて、乗れない……とか。夢に出てくる通勤電車はいつも決まってエメラルドグリーンの103系。私にとって「通勤電車」のイメージを徹底的にすり込んでくれた車輌。

よっぽど嫌だったのだろう。通勤電車。

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