お辞儀
電車の席に座るとき、お辞儀をする。
私は、お辞儀をしてから、座る。
すかすかの車両でない限り、
横に人が座っているときは必ずする。
乗車時の評価制度
電車という乗り物に、幾度となく身体を委ね、いいこともつらいことも、たくさんの思い出を運んでもらってきた。
毎日、人が集合する場所だからこそ、社会的な問題に発展するトラブルが多々ある。
日常のイヤなことベスト3を道端でインタビューすれば、電車にまつわるエピソードがきっと入ってくる。
・満員電車のストレス
・電車に乗るときに人を押したり蹴ったりするおっさんのこと
・通路を挟んで会話するめちゃくちゃにうるさいヤツら
・外国人ファミリーの横一列座り&爆睡
・女子高生同士の軽薄な会話
・肩に寄りかかってくる多忙サラリーマン
などなど
半強制的に、他人とここまで"ふれあい"がある場所は、そう存在しないのではないか。
普段の単なる移動手段の中で、いちいち誰かに気をつかいたくないのもわかる。
私も疲れて忙しくて、誰かに寄りかかりたくなる日だってある。
そんな日はちょっと余裕がなくて、満員電車に乗るときに「すみません〜」という困り顔だけしてさりげなく乗ることもある。
余裕がある日は、次の電車を待つし、それでも乗らなければいけないときはペコペコをしながら「すみません」と声にする。
そこにいる、乗られる側の人のことを考える。
みんな、乗ることは自由だ。
でも、例えば大きな荷物を持って「乗りますけど何か?」と言わんばかりに、当たり前のように胸を張って入ってこられたら"乗られ待ち"している側の気持ちは良いだろうか。
遠慮がちに、「ごめんなさいね〜」と入ってくる大荷物を抱えたおばさまには
「はーい、いらっしゃい。どうぞどうぞ、こちらへ」と思う。
それに対して、態度の悪い電車おじさんの出没は後を絶たない。
あまりこの話をするとイライラしてくるから簡潔に終わらせるが、並んでいて電車が止まったと思ったら、前に並ぶおじさんが、私から後ろの人たち向かって、傘をグイっと振り回して、こっちには入ってくるなと言わんばかりのパフォーマンスをしてきたことがある。
もちろんそんな人間とは同じ空間にいたくないので、車両を変えた。
あとは、満員電車で前に座っていたおっさんが私が手持ちしていたアウターの裾が膝にほんの少しスッと当たったことにムカついたらしく、アウターをぺっとハタいてきたこともある。
そのとき私は、真顔で「クソジジイ、電車降りたらすぐに階段やら歩道で躓け!」とかほざきながら猛烈に心の中で怒る。
でも夜風を浴びて歩いていたら、だんだんおさまってきて「ああいう人はきっと仕事もできないし、いつかひどい目に遭うから大丈夫」とサイコパス的に優しく微笑むようにしている。
電車で周りの人を嫌な気分にさせるおっさんや、カフェ店員にレジで文句やクレームを垂れるスーツという鎧を着たおっさんたちは、会社ではどんな評価をされているんだろうか。
手を振りながらお辞儀
仲のいい先輩との別れ際、手を振る。
そしてお辞儀をする。
心を許した人たちにする、挨拶。
手を振るだけでは生意気な感じがするから、0.5秒遅れてお辞儀もする。
20代半ばになるまで後輩の立ち位置が多かったから、先輩がこれをどう思うのかはわからなかった。
後輩ができた。手を振り返してくれる。
ほぅほぅこう言う気分か。
正直、手を振るだけだとなんだか友だち感満載で気持ちよくない。
でも、わたしもみんなに手は振りたい(笑)
だから、手を振りながら丁寧なお辞儀をしよう。そう決めている。
礼儀がない(それはすごく認める)、失礼だな、と思われているかもしれない。
もし、先輩のみなさん、嫌だったら言ってくださいね。
そんな、お辞儀の話。
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