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Northsiders / Christian Lee Hutson[和訳,解釈]

Phoebe Bridgersのコラボレーターとしても知られるChristian Lee Hutsonのアルバム『Beginners』(2020)に収録されている”Northsiders”の和訳,解釈です。

northsiderとは北側に住む人という意味、アメリカの北側(Northern United States)はニューヨークやイリノイなど計16州が含まれるそうですが、彼の父親の住んでいるオハイオが曲のイメージには一番合っているかもしれません。ぼんやりとしたフォークサウンドに合わせて悪友との思い出が歌われます。gothやMorisseyといった表現から読み取れる登場人物の姿も面白いですが、曲中で繰り返される「Nothing's going to change it」が持つそれぞれの意味を考えながら聞いてほしい一曲です。

[Verse 1]
I was new in town, kinda goth
僕は町では新入りでちょっとゴスなやつだった

I met you in the science quad
君とは理科の中庭で出会った

一番訳しづらかった部分です。quadをquadrangle(中庭)と考えて理科の授業での中庭のような意味に訳しましたが違う意味もあるかもしれません。


You asked if I had any pot
君はポットを持ってるかって聞いてきたけど

potは大麻を表すスラング、続くspotで韻を踏んでいます。


"We're going up to Mikey's spot"
「僕らはマイキーのところに行こう」って

Covering important ground
大事な場所を覆って

I tried cocaine in my cousin's house
いとこの家でコカインをやったこともある

Yeah, I'm probably addicted now
うん、今でも中毒かもね

The things that children lie about
子供のつく嘘の数々

I didn't notice it was getting late
気がついたら遅くなっていた

You offered me a place to stay
君は泊めてくれた

"We live up in the palisades
Tell your folks you ran away
Besides, you're a Northsider now"
「僕らはパリセーズに住んでる
家族には家出したって言っておきなよ
それに今君はノースサイダーだからさ」

palisadesには(防衛用の)柵という意味と(川岸・海岸の)絶壁という二つの意味があります。どちらかは決めかねますが、前者だと何かから自分の身を守るイメージ、後者だと自分の置かれている危うい(脆い)状況が想起されます。

[Chorus]
Nothing's going to change it, pal
何も変わらないよ、そうでしょ?

[Verse 2]
We were so pretentious then
僕らは自惚れていた

Didn't trust the government
政府なんか信じずに

Said that we were communists
コミュニストだなんて言ったりして

And thought that we invented it
しかも僕ら自身が政府だとさえ思ってた

Morrissey apologists
モリッシーの擁護者たち

Amateur psychologists
アマチュアの心理学者たち

Serial monogamists
連続的単婚主義者たち


連続的単婚主義(serial monogamy)とは一人の相手との関係を持つが、離婚をするなどでその相手を次々と変えていく考え方のこと


We went to different colleges
僕らは違う大学に行ったんだ

But you said that we would always be
Branches on the same old tree
でも君は言ったよね、僕らはずっと同じ古い樹の枝だって

離れていても根元の部分では繋がっていることを樹とその枝に喩えています。


Reaching away from each other for eternity
互いの距離を永遠に保ったままで

And you know I can't argue with that
それに僕が何も言えないことも知ってるでしょ

[Chorus]
Nothing's going to change it now
何も変わってないよ、今でも

[Verse 3]
We could have had one last hurrah
When I was working in the smoothie shop
But I couldn't get the weekend off
最後のひと時を過ごせたのに
スムージーショップで働いてた頃
でも週末休みが取れなかったんだ

She told me I was getting soft
彼女は弱々しくなったなんて言ってた

この部分では初めてyouだった対象が三人称のsheで歌われます。時の流れとともに少しずつ離れていく哀愁が一つの主語の変化で表現されています。


I read an article about the accident
ある事故についての記事を読んだんだ

Probably reaching for cigarettes
And missed the brake lights up ahead
タバコを取ろうとして
前方のブレーキランプを見逃したらしい

I hope it was an instant death
即死だったことを祈るよ

Sometimes I imagine us way down the line
Getting fat somewhere in the countryside
時々僕らが同じ道を歩んで行って
どこか田舎で太っていけてたらなんて考えるんだ

get fatは太るという意味の他に太ることから裕福になるという意味もあります。二人で生活を送ることを表しているように感じます。


It's crazy how things shake out sometimes
ものごとがどう転ぶかなんて考えれば考えるほどバカバカしいけど

But maybe that's enough magic for me
きっと僕はその魔法だけで満足なんだ

[Chorus]
Nothing's going to change it now
何も変わらないよ、当たり前だけど

参考

Genius-Northsiders-Christian Lee Hutson

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