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セラピストとしての「インソール」とは(総論)

今回はインソールです。

インソールときくと、

「興味はあるけど、いろいろあってよくわからない」
「どれを勉強すればいいの?」「そもそも何があるの?」
というセラピストは多いかと思います。

そんな人の一助になれば幸いです。

まずこの記事は総論として「なぜインソールが必要なのか?」というお話。

そして各論として、各手技について書いていきます。

総論は無料にしてありますが、各論は有料講義に私がいってきたこともあり、有料にさせてもらってます。2記事以上ご購入いただけそうな記事があれば買い切りをご検討ください。


総論

さて、「インソールって実際いるの?」というところからはじめてみましょう。

 動物の進化の過程において人間は2足歩行になりました。その移動という面において、足部はつねに地面に設置しているということになります。

 そこで「インソール」は人間のADLにおいて最も多く行われる「歩く」「走る」という動作を外側から変化させられるアプローチとしてセラピストが、アスリートから高齢者に対してまで幅広く用いられています。

そこに「置いておける」というのが強みになります。

 トレーナー活動をしていても、足関節、足部のトラブルが多いことに難渋します。

病態は様々で、治療方法として「アライメント修正」「筋トレ」「テーピング」「徒手療法」など様々な介入方法はありますが、

インソールではそのまま介入を「置いておく」ことができます。

逆に言う今挙げた運動療法などの治療方法は「一時的になったしまう」という側面が拭いきれません。

「やったそのときはいいんだけど。。。」
というやつですね。

もちろんそれらがダメだというのではなく、むしろ必要ですが、それだけだと状況に即応できないことがあります。

先日もあったのですが、あるご高齢のおばあちゃんが膝のOAで新患で来院されました。

主訴としては膝痛、歩行時に何mか歩いていると痛くなってきてしまうという主訴でした。

もちろん膝自体の詳細な評価は必要ですが、歩行のところで痛みがでてきているということでは歩行を変化させる必要があると思います。

結果として膝が痛いというのはよくある話です。

この時はインソールをいれて歩行時痛を少しその場で軽減させることができました。

こういったときにインソールはよく効果を発揮してくれます。

また他例えばスポーツ選手が「明日試合がある。」などといった状況ではどうでしょう。

セラピストである私はその場にテーピングを巻きに行くことはできない。でもインソールは靴の中に仕込んでおくことができる。といった対処は考えられます。

インソールを学ぶメリット

 もう一度インソールを学習したほうが良いメリットを整理します。

まずひとつ目にシンプルに「変化がでる」からですね。

私は主に勉強しているのは入谷式足底板ですが、評価の時点でかなり効果が実感できます。その場の変化というのはセラピストにとって重要と思います。

 足関節自体のアプローチとしてもそうですが、歩行に対して、また、足関節から上行性に関節に対してのアプローチとしても有用であり、変化が実感として得られやすいのが特徴と言っていいのではないでしょうか。

2つ目に「足関節の勉強に入りやすい」というのがあげられます。

 入谷式足底板では、「運動連鎖」が一つキーワードになっていますが、全身の土台としての足関節がどうあるのか、という入りやすさになるのではないかと思います。

 先にも述べましたが、アスリートでも足部関連のトラブルは多いです。アーチなどを含めた足関節自体がどう機能しているかがインソールを操作することによって理解しやすいということはインソールを学ぶメリットとしてあげていいと思います。

疾患から病態を理解しようとするときに、どうしても動作と結びつかないとなかなか治療としての糸口は掴みづらいものです。

そういったときに一つ一つの動作と解剖がつながっていくのは入り口としては入りやすい。

インソールのとっつきにくさ

しかし現実問題として、インソールというのは身近でないセラピストにとってあまりよくわからない分野になってしまっているのも現実ではないだろうか。

その理由として、
そもそも周りでインソールをやっているヒトがいない。

インソールの適応(疾患)が何であるか

どのような手順で作成されるか、
コスト(原材料)はいくらか、
保険の適応であるか、ないか、

消費者・患者はもちろん療法士や医師といった専門家の中ですらインソールの治療に対して統一的な見解はない領域です。

ましてや米国のエビデンスと思いますが、「膝OA患者に対して外側のウェッジのインソールを処方しただけ」のエビデンスとして「推奨しない」というものがありますので、そういうところだけ拾ってきて「インソールは推奨されない」という人までいます。

 「評価方法」「作成方法」つまり「考え方」なるものが統一されておらず、むしろあまりに多岐に渡るからではないかと筆者は考えています。

理学療法士からすると
そもそもどの講習会に行ったらよいかわからない
というところもあります。

 まその複雑さから値段を含めた作成コストも高くせざるえないことも特徴の一つと言っても良いです。

私個人としては高い値段をとっても良いというそれだけの価値がある手技だとおもいますが。

そういう意味ではインソールのメリットと、このデメリットといえるコストの面をうまくバランスとった「既製品」という選択肢を提供しているメーカーもあります。

今回取り上げるだけでも7つの手技や手法を取り上げることになった。それぞれの特徴を話していくこととする。

評価方法

まずは理学療法士にとって一番大切なプロセスといえる「評価」についてだ。これもその手技、メーカーによって様々で、

・立位での身体全体のアライメントを評価するもの。
・足部のアライメントを見る、つまり静的アライメントをみるもの。
・スクワット、カーフレイズ、歩行分析といった動的アライメントを見るもの。
・独自の機器を用いて上記を評価するもの

これらの中の一つ、もしくは複数項目を評価者が統合的にみれる必要があるものもある。

更に言えば、最近は上記をセラピストが見るものもあれば、専用の測定機械を用いて評価するもの、最近の話題で言えばAIなどがそれを処理するなど、多様化を深めている。

作成(販売)方法

作成方法も様々である。上記評価に基づいて、
グラインダーを用いた「削り」


「熱形成」システムなどの機材を用いて作成するもの


厚さ1ミリ、1センチ四方のパッド

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を用いるものなどがある。(私が過去うけたセミナー)

 理学療法士からするとセラピストが評価して患者に合うものを提供することが当たり前と思っているかもしれない。しかし世間的には各メーカーの既製品を靴店などでそれらに精通した(?)店員が紹介することによって販売されているものも多い。

 例えばシダス社のインソールを展開するJAFTのセミナーでは靴の販売店員や各スポーツシューズメーカーの社員も受講していることもある。

 評価をしてオーダーメイドのインソールを提供するのは患者にとってメリットが大きいが、その反面セラピストには先程も申し上げたとおり、
「お金にならない」
「時間がかかりすぎる」

などの問題があるのも現実であり、
「提供するレベルに達するまでに時間がかかりすぎる」
「1足に対する金額を高くしないと利益が取れない」

といった、つまり「コスト」の面がある。
 また今度は1足に対するコストを上げすぎると今度は患者側のハードルが高くなるというデメリットになりうる。

セラピストとしての環境

上記の話自体もそのままだが、
セラピスト、こと理学療法士においてはDrの理解が得られず積極的にやれる環境にない、そもそも周りのセラピストでやる人がいないなど、環境的な要因も大きく影響することもよく耳にする。

インソールを導入することによって
「患者にどういうメリットがあるか?」
「グラインダーや機器の導入コストはいくらか?」
「クリニックに来る患者のニーズとマッチしているか?」
「導入コスト・維持費・材料の代金に対してインソール自体の利益はいくらを見込めるか?」

という質問に答えられないと、
「インソールをやりたい!」
というだけで導入は難しいといわざるを得ない。

経営の判断をするのがDrか事務方の経営者かパワーバランスは施設によるが、病院の収益としての利益が取れなくても患者の利益を優先するという判断をして投資してくれるのか、医療系の知識が乏しい事務方にPRする必要があれば具体的な「数字」という観点からのアプローチも必要になる。

その点幸い筆者は
・入谷式足底板の上級者が周りにおり、
・Drも理解がある
・グラインダーも導入されている基盤の揃った施設にいる

(というかそれも目的の1つで転職した。)のでそういう点では不自由していない。就職先、転職先を選ぶ1つの指標になりうるだろう。

インソールの今後(AI、3Dプリンタに変わるか?)

昨今ではインソールに限らずだが、企業と組んで理学療法士がインソールなどを作って商品として売り出しているものも注目すべき点だろう。
 このインソールの分野は現在はAI、3Dプリンターなどの台頭により、どんどん状況が変化している分野である。
 先に述べたコストの問題は大きく、
・企業と組んで大量生産する
・AIなどの機械学習、自動化

などにより生産のコストを大幅に下げることは状況を変化させている。

 これは簡単に言うと、歩行分析等の評価をAIに行わせ、その結果を元に3Dプリンターが出力ということらしい。これらの台頭により 理学療法士が「評価」「削る」作業を行わなくなる時代もそう遠くないかもしれないが、個人的にはまだまだといった印象である。

 それは理学療法士がする「歩行分析」というものがそんなに単純ではない、というより、「客観性を持つものといい難い。」というのがその根拠である。

 その証拠に、というわけでもないが、理学療法士でのインソールの定番とも言える「入谷式足底板」は上級者によってアプローチ方法が様々であり、講師によっても言うことが違うというのは知る人ぞ知るところである。

紹介予定の手技、メーカーなど

 さて今回は筆者が実際にセミナーに行って経験したもの、作ってもらったインソール、リサーチしたものを含めて以下にまとめたので紹介していく。

* 入谷式足底板
* シダス
* テンシャル
* custum balance
* mysole
* FOI
* リアラインインソール
*フォームソティックス

これらについて

総論(概論)
評価方法
作成方法
講習会(頻度・地方・値段)
ビジネス度(素材料・既製品などの選択肢)

といった観点から述べていきたい。

手技、手法によって

講習会の値段、
難易度、
開催頻度、
開催方法(助手のありなし、その人数)

などが全く違う。

私はかかる金額などにお構いなしにいろいろな講習会に行ってきたが、
・講習は1日に1万円以上する
・土日を使うものや、
・実技も含めると「土日月」の3日間

を要するものがほとんどであり、

など、コストパフォーマンスも知っておいたほうが
事前に押さえておいたほうがショックも少ないと思われる。

最初にも述べたが、個人的にはインソールはどんな形でもいいので理学療法士として武器として持っていたい手技の一つであるとおもう。参考にしていただけたら幸いです。

*****

境田淳平

理学療法士、メディカルトレーナー
ラグビーを中心にトレーナー活動をしています。
高校ラグビー、関東大学対抗戦、神奈川県国体チーム成年男子(セブンス)

このNoteでは
「就職・転職活動のリアル」「理学療法士におけるトレーナー活動とは」
「理学療法士はどんなセミナーに行ったらいいの?」
「理学療法士の勉強の仕方」「資格って何をとったらいいの?」
といった内容を書いています。

実はラグビーのレフリーもできます。
C級ですが、、。ラグビーの安全管理にグラウンドレベルで関わってます。

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