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#05 意思能力と、タイミング。

今回は“意思能力”についてお話させてください。

意思能力とはなにか、ご存知ですか?意思能力とは、「自分の行為の結果が判断できる能力」のことです。民法では、「意思能力が無い状態で行われた法律行為(権利や義務が発生する契約)は無効である」と定められています。(新設民法第3の2より)

たとえば、泥酔した人が「100万円をキミにあげるよ」と、勢いで贈与してしまったケースにあてはめてみましょう。この場合、自分の行為の結果を正常に判断できていないので意思能力は無いとみなされ、その贈与は無効になりえます。多くの方が経験のある売買契約なども、意思能力があることを前提として有効に行うことができているのです。社会生活において、意思能力はとても大事です。

相続においてトラブルになった際、よく争点になるのは、この意思能力の有無だったりします。裁判では「認知症の兆候が出始めたときに慌てて書いた遺言書は有効か?」という争いが実際に起こっています。

結果的に白黒ハッキリついたとしても、裁判で決着をつける必要が生じている以上、親族間のわだかまりが残り続けてしまうことには変わりないのですが・・・。

相続対策は、始めるタイミングの難しさがあると思います。同じ年齢でも、「まだやらなくていいよ」と言う方もいれば、「今すぐやりたい」と相談される方がいらっしゃいます。なかには「いつもなんとかしなきゃと考えているけど、ギリギリまで動きたくないなぁ」と話される方も。

もちろん、相続対策はご本人の意思ありきで進めるものです。とはいえ、ギリギリになってから行う相続対策は意思能力を問われるリスクがあるのであまりお勧めできないところが私の本心です。

遺言書をつくってみるにしても、エンディングノートを書いてみるにしても、せっかく行うなら、焦ったり慌てたりせずしっかりと進めたいところです。なんとかしなきゃなぁと思った時こそ、一歩を踏み出すタイミングではないでしょうか。

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