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#07 なるようになる、ということ。

最近、こんなことがありました。

親に遺言を書いてほしいというご相談をいただいた時のことです。いろいろと状況を伺った上で大まかな説明をさせていただいたあと、「じゃあ今聞いたことを兄にも話してみますね。」と、相談者さん。もう1人の相続人であるお兄さんを含めて、後日また打ち合わせをすることになりました。

しかし、それから数日後、「えっと…やっぱり、今は遺言をやめておくことにしました。」という突然のご連絡が入りました。理由を聞いてみると、「いやぁ…兄に話してみたら『そんなの、お金もかかるし、なるようになるから大丈夫だよ。』って言われたんです。だから今はいいかなと思っちゃって。」と話してくださりました。最終的に、しばらく家庭内の様子見をしてからもう一度考え直すことに。「なるようになる」という言葉の力を考えさせられた出来事でした。

相続事案を抱えたときの心情って、健康診断のそれと近いものを感じます。結果を受けて、どこか良くない箇所が見つかったときの、あのモヤ~っとした気持ちのことです。なんとかしなきゃと感じてはいるけれど、なにもしなくても毎日を過ごすことはできて、でもこのままじゃいけないことも頭の片隅では理解していて・・・でもそのまま時間が経過していくあの感じ。そんな状況に「なるようになる」を用いることはあまり好ましくない気がします。

相続って、金銭だけでなく感情面でも揉めやすさを有しています。たとえ全員に等しく分けたとしても、その中にひとりでも家のことで苦労や我慢をしてきた方がいれば、それを不平等に感じるかもしれません。わたしは介護をしたのに?おれは大学に行かなかったのに?きょうだいの面倒だって見てきたのに?そんなことから争うケースも決して珍しくはありません。

だからこそ、「うちは大丈夫だよ」という楽観的な思考は危険であり、その対策として遺言書等が存在しているのです。正しい準備をした上で「これだけ準備したのだから、あとは“なるようになる”よね。」と、そんな文脈でこの言葉を言い合えることが理想だと思います。

あ、健康診断ならぬ「相続診断チェックシート」は私でも取り扱っています。相続時の危険度を簡単に測ることができますよ。気になった方は、お気軽にお問い合わせくださいね。

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