③今でいう「モラハラ」

好きだけど大嫌いな父親。

簡単に言うと「モラハラ」。自分が思うことはすべて正しく、自分の都合の悪い時は有無を言わせない言い訳をして正当化する。

母はそれに従うけど、意見をすると喧嘩になる。
両親が若いころは、喧嘩をする場面を見ていたけど、私が大人になってからはあまり見なくなった。
私が父親に対して嫌いな部分があることを、母が知ったからかもしれない。

普通にしていれば、楽しい性格の父親。人を楽しませるのが好きなタイプ。
でも、その裏には、お金の管理能力の低さと経営者としての下手さが人生の足を引っ張り、娘から嫌われる要因を作ったと思っている。

私が小学生の頃。父親は単身赴任で3~4か月に一度3日間だけ帰ってくるという生活をしていた。基本的には母娘家庭。学校は我が家から少し遠かったので、学校が終わると学校から近い父方の実家に帰り、17時に仕事が終わった母が迎えに来きて一緒にわが家へ帰るという生活。
我が家と言っても月3万もしないアパートに住んでいたし、母が迎えに来ると言っても「自転車」で迎えに来る。

母は、あまり社交的ではなく、友達も少ない。仕事は子供服を縫う工場で働いていた。工場では一番若かったこともあって、与えられた仕事を文句も言わず黙々と熟していた。特に変化のない作業が私と違って嫌ではない様子だった。

母は父のことが好きだった。父からの電話を楽しみに待っていたし、父が帰ってくる日は、父が喜ぶものばかりが食卓に並ぶ。品数が多いのが好きな父の為にいつもより2品くらい増やすので、食卓の上は3人分の食事でいっぱいになる。

父と母は基本的に昔ながらの夫婦像で、父の後ろを母が歩くようなところがあった。父は母を「ほっとけない人」と思っていたところがあるのか、喧嘩をしても突き放すことはなかった。

そんな両親を見ていたので「母が好きな父」を私も好きだった。

お正月に親戚からもらったお年玉を、父が貸してくれと言っても、
その貸したお金を返してくれなくても、父のことは好きだった。


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