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ひとり法務の「時化」と「凪」の過ごし方について考えてみた

ひとり法務を始めてそろそろ3年になる中で最近思うのが、業務に「めっちゃ忙しい時期=時化」と「割と余裕がある時期=凪」の波があって、意外と時化と凪を繰り返すなぁということです。

最近他の若手ひとり法務の方とお話しして、自分以外の人も時化と凪を感じていることを知ったので、それぞれの時期を乗りこなす自分なりのコツというかヒントみたいなものがあるなと思ったので、今日はそれをご紹介してみようと思います。


簡単な自己紹介

最初に簡単に自己紹介させてください。LAPRASで法務部門の責任者をしています、いいだです。LAPRASでは法務全般にプラスして、働く環境づくり、新入社員オンボーディング、最近はWEBマーケティングのお手伝い等 興味のある仕事を欲張ってやらせてもらっています。サメが好きでお調子者な、一人法務担当です。

「時化」の期間の過ごし方

ひとり法務って、めちゃくちゃ忙しい時期が来るんです。例えば、自社の法務的課題がどんどん見えてきちゃって、モグラ叩き状態の時とか。何か緊急対応が必要になった時とか。大規模な法改正対応が必要になった時とか。会社として新しい取り組みを始める時とか。ちょっとややこしい議題の株主総会前とか…(いくらでも思い当たるぞ…)

私の場合この時期は、やりたいこともやらなきゃいけないことも大量に出てきて、毎日台風の中にいるような忙しさです。日中の呼吸が常に浅くて、常に全力疾走しているような状態で、仕事が終わると30分くらい何もないところを見つめてボーッとしないと、日常生活に帰ってこれないようなアレな時期です。

意外と私はこの時期嫌いではなくて、やるべきことが目の前に並んでいるので「私は今仕事している!」「会社や社会に居場所がある!」というのを実感できるし、日々経験値が上がっていくのも感じることができて、元気です。また、面白いプロジェクトの渦に自分がいることで「やっぱベンチャーのひとり法務はこうじゃなきゃな!!」みたいな謎のハイになっていることもあります笑

一方で、この時期は焦っていて常に余裕がないので、インプットや業務改善をやることはできません。そのため、そういった小さな「見ないふり」を抱え続けることが、地味なストレスだったりします。例えば、契約書の雛形ごと直したいのに個別の修正対応に追われて時間がないとか、あまり詳しくない法律を扱っているのに、丁寧にインプットする時間がないとか。

でも、それが蓄積すると「今週のゴミ出しを忘れて先週のゴミと今でも同居してる」みたいなのが続く気持ち悪さを抱えてることになって、ちっぽけな法務のプライドに地味な傷が付きます。また、ずっと走っている車は一度止めて車検に出さないと危ないように、自分の身体精神の健康という観点でも、会社の法務業務の適正化という観点でも、「時化」の期間が長く続くことはあまり良くないなという自覚もあります。

たまに「ずっと時化でも楽しめる」スーパーマンみたいなタフな人に出会って、めっちゃ憧れがあるのですが、残念ながら私は割とすぐ体を壊すよわよわ体質なので、もうそれは無理だし仕方ないです。そんなよわよわ体質でも、ひとり法務は好きで続けたいので、その結果として時化の時期の過ごし方にはそこそこ気をつけていたりします。

「時化」の出口を確認して、安心する

時化の時に私が意識しているのは「この時化はいつ終わるのか」の目処を立てるということです。例えば「突発的なプロジェクトや対応」の場合は、数週間から数ヶ月後に終わりが見えていることが多いです。終わりが見えていれば、そこまでは「耐える」動きを取れば良いので、色々なタスクを削って「今絶対に必要な」業務だけを進めつつ、時化の終わりを待つ方針で進むことができます。

難しいのは「仕事はあるがリソース不足で時化になってしまった」場合で、こうなると業務を減らすか、人を増やすか、どちらにしても能動的にひとり法務が動かないと時化が終わりません。急な退職者が出て法務と別の業務を兼業になったり、定常業務がチリツモで増えすぎてしまった場合がこのパターンです。また、プロジェクトが長期化した場合に、こっちのパターンに移動してしまう場合もあります。

このケースでは、ただ耐えていても終わりがきません。そのために、終わりを作るための動きが必要になります。例えば、採用枠を空けてもらうとか、予算をつけてもらって外注部分を増やすとか、自分で何かしら動いて解消するイメージです。

自分で動かないと終わりが来ないのに、間違って「耐え」方のモードに入ってしまうと、ひたすらに終わりのないしんどい期間が続きます。もうね、とってもシンプルでお手頃な地獄です。そのため「終わりの目処をつける」ことはかなり重要だと思っています。

時化の時期が終わったらやりたいことリストを作る

時化の時期の終わりが見えると、「今はやらない(やれない)」タスクを切り落とすことで「耐える」モードに入ります。ただ、それらのタスクがちらついていると、「ゴミ出し忘れストレス」みたいなものが地味に身を削っていきます。この時期に他社の法務の方と情報交換すると、自社ができていないことが目について目について、割と辛くなってしまうんですよね…。

そのため、私は時化の時期は「通常運転になったらやりたいことリスト」を作って、そこにタスクを放り込み、放り込んだら忘れることにしています。場合によっては、そのリストを経営メンバーや社内のメンバーに開示して「やる気はあるけど今は時化なんで無理なんですよ〜〜」という目線合わせをすることもあります。

そして、時化の時期が終わったら、必ず1日はできれば数日はお休みをもらって、仕事と全然関係ないことをすることで、モードを入れ替えます。これは私がよく「燃え尽き症候群」みたいになって、凪の時期をただの回復に充てるだけの期間として過ごしてしまうのが勿体無いので、最近導入してみました。割と私の働き方には合っているようです。

「凪」の期間の過ごし方

さて私の場合、時化が終わってもすぐに凪が来る訳ではなく、通常運転に戻るだけだったりします。ただ、よく分からないタイミングで急に「割と余裕がある時期=凪」が来る時があります。凪のタイミングは私もまだ全然読めていないのですが、たまたまスポット的に2,3日ふっと「あ、今日は時間に余裕がありそう」という日が来るんです。

凪の期間は余裕があるので、いつもは調べない範囲まで手を伸ばしてみたくなったり、なかなか手がつけらなかったやりたいことスリトを消化できる、とても心穏やかな時間です。一方で、時化を経験すると、急に凪に仕事がなくなったように感じて、「社内失業してない!?大丈夫?」と不安になる時期でもあります。

この時期の過ごし方が私はずっと分からず、過去には不安に駆られて他の部署の仕事を手伝ったりするうちに、時化がきて自爆するようなこともありましたし、単に「回復期間」に充ててしまい、なんか勿体無い感じで終わることもありました。

3年ひとりでやってるとその辺も掴めてくるもので、「凪の期間は長くは続かない」からこそ、「凪の期間には凪の期間の過ごし方が重要」ということがやっと最近つかめてきました。次に大きくジャンプするためにしゃがむ期間なので、凪の期間は"メンテナンス"をするのにとても良い期間です。

時化の期間の忘れ物を回収する

ということで、まずは時化の期間に作っていた、自分のやりたいことリストをちゃんと見返します。台風の渦中の自分からの「伝言」を大事に、今だからできる雛形の見直しや業務改善に着手します。ものによっては、ハイになっていたからそう感じていただけで、通常運転になると大して大事じゃないと思うこともあるので、そういったものは冷静に無視しながら必要そうな改善に着手していきます。社内向けの勉強会とかもこの時期に企画することが多いです。

また、もし時化の期間に「本当は丁寧に勉強したいけど時間がない」として諦めたものがあれば、その分野のキャッチアップにも時間を使います。一通り経験してから書籍を読むと、かなり情報がスッと入ってきたり、「弁護士の先生に頼ったとはいえ、この知識・視点なしで私よく進めたな…」と非常に骨身に染みる知識になるので、答え合わせのような時間の使い方も悪くないと思っています。

本当は時化の期間であってもキャッチアップしてインプットして進めるのが一番良いんですけどね…ひとり法務だから…そこは仕方ない部分もある…。

次の時化の期間に備える

大体、そのようなメンテナンス期間中に凪が終わって、通常運転や時化に入ることがほとんどなのですが、たまに色々な歯車が噛み合って、もう少し凪が続くこともあります。時化が長期で激しいと、その間に自分のスキルがそこそこ上がっていたりして、通常業務でも凪に感じてしまう域に達することもあります。その場合は、次の時化に備えるようにしています。

例えば、前回の時化の時期を振り返って改善点を洗い出したり、次の時化で使いそうな分野についての勉強を始めたり、あとは時化の時に採用がオープンできるように社内の情報を集めたりと、数ヶ月後の自分が少しでも耐えやすくなるような準備をするイメージです。また、ここまできた場合は、他の部署に手を差し伸べたりして、通常業務の範囲を広げることもあります。

まとめ

ということで、自分なりの時化と凪の過ごし方をご紹介してみました。荒波に攫われそうになりながら、🦈は今日も楽しく一人で泳いでいます。ざぶん🌊

ちなみに、私は定期的に趣味のためにお休みをいただくのですが、そこはタイミングが指定できないので時化の場合も凪の場合もあります。時化の時期に休むのは勇気がいるのですが、そこで仕事から頭が離れることで、また時化に挑む元気が湧いてきたりするので、意外と強制休みが発生するのも悪くないのかもしれないと思っている最近です。(もちろん社内に迷惑がかからないことが大前提)

最後になりますが、また若手向けのイベントやるので、よかったら日程空けておいてください&先輩方、知り合いの若手の方にも薦めてもらえると嬉しいです!

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