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一人法務が、個人情報保護法改正に追い詰められた話

ということで、いよいよ明日個人情報保護法が改正されますね...「4/1のエイプリルフールであってくれ!!」と思うくらいには、法務として初めてリアルタイムで改正対応を迫られたこともあり、私は今回の改正と悪戦苦闘&格闘しました。

ということで、次はもっと上手くできるように、今回の振り返りを書き残しておこうと思います。

いつもの自己紹介

LAPRASで法務部門の責任者をしています、飯田裕子です。LAPRASでは法務全般にプラスして、働く環境づくり、新入社員オンボーディング 等 興味のある仕事を欲張ってやらせてもらっています。サメが好きで、お調子者な、一人法務担当です。

実は4/1でLAPRAS在籍が3年目に突入します。そして、現職になるまで企業法務の経験がないので、LAPRASにて法務キャリアがようやく1年半を超えたくらいなのが、今です。

ということで、今回は「法務3年生が見えてきた」ような法務が、「一人で法改正に立ち向かおうとし(て挫折したり失敗したりして反省し)た」話として、ご笑覧いただけると嬉しいです。

改正対応以前の問題

個人情報保護法の改正対応、実は去年の夏〜秋頃が一番頑張っていました。

というのも、前回の個情報改正の対応は経験しておらず、仕事上よく使う条文は理解していましたが、条文全体の全体感も把握していなければ、困ったらすぐに弁護士の先生を頼る方針だったので「改正以前に今の個人情報保護法をもっと丁寧にキャッチアップしなきゃ」「その上で差分まで理解しなきゃ」という焦りがどんどん募っていたからです。そのため、書籍も買い漁り読み漁り、最終的にはちゃんと自主的に輪読会を開催して隔週で勉強会をしていました。

キャッチアップに使ったもの

↑法律書っぽくなくて途中で挫折しました

↑当時は良く使う条文の部分だけ飛ばし読みした...勿体無い....

そして、その上で改正法対応じゃ〜!!と思ってさらに

↑この本を輪読会で細かくやって、かなり理解した気になっていた。

とまぁ夏ごろに頑張って、9月頃に「これであとは新法のガイドラインの経過を追っていけば、自分で改正対応ある程度できるかな〜」と思っていました。いや、甘いよ。甘すぎる...。

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煮詰めたおしるこくらい甘いよ…

一人法務を襲う「インプットの時間が取れない」問題


このペースなら2022.4.1を余裕を持った迎えられそうだ〜と思っていた私は、色んな↑対応に追われ、丁寧にガイドラインや議論を追う余裕を失い、ハッと気づいたら年を越していました...。
この辺は詳細割愛しますが、一人法務(+他の業務も抱えている)はちょっとでも気を抜くと、すぐに色んな業務に忙殺されるし、どうしても「大事だけど急がないもの」の優先順位を下げてしまいがちです。(良くない)

そして追い詰められたとて、代わり法務をやってくれる人は社内にいないんですよね...ということでタイムリミットが3ヶ月後に迫った時点で、ようやく個人情報保護法改正を思い出しました。

「やばいそろそろ手をつけないと死ぬ」

ただ、その時も正直目が回る状態の忙しさだった私は、全然時間が取れないのに、自分でボールを持ち続けてしまいました...。

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その結果最終的には「自分でキャッチアップして修正案を作り、弁護士の先生にレビューを投げる」という一番やりたかった方法を手放して、「本当にギリギリですみません!!!!」と顧問弁護士の先生に泣きついて、改正案作成から全部お願いすることになりました。(先生本当に直前に渡してすみませんでした)

どうしても、目の前のタスクを回すことを、目の前の契約書を返すことを重視してしまったけど、そのせいで本当にやりたかった業務、出来なかったな...というとても苦い反省になりました。

その時に「くそおおお!!私は法務のプロなのに!なんで法務の仕事を納得のいくとこまでやれなかったんだ!!」という苦い経験が、前回のnoteで書いた決意に実は繋がっていたりもします。

その後の全力挽回

さて、弁護士の先生に放り投げたは良いものの、もちろん社内の個人情報の洗い出しやシステムのデータの持ち方、社内の安全管理措置等の見直しは自分でせねばなりません。先生に「やるべきことを教えてもらう」というタスクをぶん投げたとしても、「教えてもらうための情報を出す」「教えてもらったことをやる」というタスクは死なないのです。

また、社内に対しても改正法の勉強会を企画せねばならず、そこで誤った情報や抜け漏れのある情報は渡したくない。これは最後にカケラほど残った自分の法務としての意地でした。

ということで、マジ半泣きで急遽1週間でフルインプットしました。ガイドライン周りを読んでたら一瞬で3時間経ってた時は、我ながら「火事場の馬鹿力」の凄さを目の当たりにしました。この時に、心から8月の自分に感謝しました...あの時の頑張りのお陰でキャッチアップ楽だったよ...昔頑張っててくれてありがとう...。

キャッチアップに使ったもの

個人情報保護委員会の改正関連のPDFをとにかく丁寧に読み漁る(特にガイドライン周辺)

令和2年改正と3年改正の条文を併記してくれた神様。ガイドラインとかを読みながら、新条文をこの本で引いて、eGovで条文を確認する作業をまずはひたすら。それと並行して、弁護士の先生からのメール返信と添付されているdocに指摘されている事項が、ガイドライン・条文上どの部分なのかをその都度確認して、実務レベルで何とか理解を深める

↑社内セミナー用に「個人情報」が何かをちゃんと説明するために第一章を駆け足で読んだ

今回の改正法対応の振り返り

ということで、弁護士の先生のおかげでなんとか改正対応した利用規約やプラポリもリリースでき、その変更内容については自分で正確に説明できる状態まで挽回し、社内に対してセミナーも実施でき、私は今無事に明日を迎えられそうです。

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↑余裕がなさすぎてシンプルすぎる社内勉強会用のスライド笑

今回の反省としてはやはり「対応が遅かった」こと。特に夏秋まで頑張っていたのに、冬で急に失速したことは大反省です。

あと、やらないならやらないで、もっと早めに先生にお願いしておけばよかった。中途半端に「自分でやりたい」と思ってボールを持ち続けた結果、顧問弁護士の先生にもタイトな期限で対応をお願いしてしまい、その結果当然自分も非常にタイトな期限での対応を迫られました。

「何のために、改正から施行日までの期間があるのか」を過去の自分にお説教したい…。

一方で、振り返ってみると悪くなかった対応もあって、このように割り切って進めたのは、悪い状況なりにベターな選択だったかな?と思います。

・自分を過信せずに諦めをつける
・ミスしたらやばい対応は上流から完全に顧問の先生にお願いする
・社内の人間にしかできないことに、まずはリソースを振る
・施行までに最低限はちゃんと理解して、先生の修正をチェックできる状態に仕上げて、勉強会が開催できるレベルまで挽回する

ということで、次回はもっと計画的に、自分が業務としてできる範囲を広げつつも、ちゃんと頼る部分は"早めに"先生に頼って、自分の成長とリスクヘッジが両立できるようになりたい所存です。

あと、まだまだ個人情報保護法の改正だけではなく、今までの経緯とか議論されている点とか、深いところまで勉強したいと今回思ったので、是非先輩方オススメの本とかあれば教えてくださいmm(まだ買ったけど読めてない本もあるので、ここからもう一踏ん張りします!!)


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