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若手法務が2年間毎月noteを書いてみて思ったこと 〜法務のカジュアルなアウトプットについて考えてみた〜

この記事は法務系アドベントカレンダーの14日目の記事です。@kanegoonta さん、今年も企画していただき、ありがとうございます。いつもtwitterを拝見して勉強させていただいている、杉浦先生からバトンを受け取って書いております!うっ、バトンが重たい…笑

簡単な自己紹介

アドベントカレンダーで初めましての方も多いと思うので、最初に簡単に自己紹介させてください。LAPRASで法務部門の責任者をしています、飯田です。
LAPRASでは法務全般にプラスして、働く環境づくり、新入社員オンボーディング 等 興味のある仕事を欲張ってやらせてもらっています。サメが好きでお調子者な、一人法務担当です。

また、毎月自分の体当たり記録のようなnoteを書いています。実は2020年の12月にアドベントカレンダーに初投稿するために書いたのがキッカケで、間違って月を跨いで2本出しちゃったことを甘く見れば、今年の10月で丸2年間、毎月noteを書き続けたことになります。

私自身、現職で初めて法務職になって、一人法務で奮闘していたのですが、あの時アドベントカレンダーでnoteを書いたことがきっかけで、すごく世界が広がったので、今回は「法務のカジュアルなアウトプット」について書いて行こうと思います。

カジュアルなアウトプットはいいぞ

2年前からSNS等で繋がってくださってる方はご存知かもしれませんが、今年はnoteでアウトプットしたことで、取材していただいたり、専門雑誌に寄稿させていただいたり、と自分の法務パーソンとしての世界が広がりました。

私が「カジュアル」と呼んでいるアウトプットは、主にネットやSNSでのアウトプットです。書籍への寄稿や論文のように、誰かにあらかじめ原稿を読んでもらうことなく、自分が書いた文章をボタン1つで全世界に公開できるようなブログとかnoteのことを指しています。

弁護士でもなく、専門分野と言えるようなものも実績も繋がりもない。そんな私が各所からお声がけいただいたもの、おそらく毎月それなりの文量のnoteを書いていたからで、個人的にはカジュアルなアウトプットが自分の人生を変えてくれたと言っても過言ではないと思っています。

ただ一方で、カジュアルな発信は良いことだけではなくて。毎月休みの日が1日潰れ、月末になると「やばい今月のnoteどうしよう…」と悩んで変な汗をかくことも多々ありますし、書いた内容な記事に対してエアリプや引用RTでチクッと刺されたり、はてぶで結構しっかり批判されてたりもします。

それでも、個人的には「アウトプットしていたから、今の法務のいいださんがある」と自信を持って言えるので、今回は「なぜ、一人法務の私が、HPを削ってまで、アウトプットを続けているのか?」について深掘りしてみようと思っています。

「法務」のカジュアルなアウトプットは難しい


正直、法務のアウトプットってすごく難しいと思っています。特に、カジュアルなアウトプットのハードルは非常に高い。その理由としては、法学が「正解がないが、明らかな不正解はある学問。」であること、法務がサービスや経営と直結していて守秘義務の範囲が広いこと、そして何より法律に関係している人たちが法律を好きすぎて「誤った内容の拡散=学習不足による法律への侮辱」のような態度を取ってしまうことがあると思っています。

まぁ、一言で言うと、気軽にアプトプットするには「法務には地雷が多すぎる」んじゃないかな…。

この点、弊社でエンジニアのアウトプットを見ていると「こんなの作ったから見て!」みたいなのに対して「いいじゃん!」「もっとこうするといいよ!」みたいなフィードバックが集まっていて、羨ましいなぁと思うこともあります。とはいえ法務が守秘義務を無視してバンバンアウトプットするのは感覚としてありえないし、自分より詳しい人がうじゃうじゃいる中で発言するのは怖いし、とはいえ抽象化するといまいちポイントが伝わらないし…アウトプットに馴染みにくいのはある程度しょうがないよな〜と思っています。

私自身も結局は「ノウハウ」とか「スタンス」の記事に徹していて、それはやはり「知識」のアウトプットには勇気がいるし、誰かのリファレンスがないと怖いし、また一人法務で社名を出して活動している以上「この会社の法務は雑魚だ」と狙われるようなことは絶対にしたくないという気持ちもあるからです。純粋に、迂闊なアウトプットになってしまうことは怖いです。

となると、普通にやったら「カジュアルに発信する」メリットがない。その結果、ちゃんとした文章を論文として学会とかに出したり、専門雑誌に寄稿することにとどめ、SNS等では積極的な発信をしない方が「賢い」のかなぁなんて悩んだりします。

凡人だから、アウトプットする

じゃあそんなリスクやら批判されたりやらのデメリットを背負って、なぜ毎月noteを書くのか?なぜ、SNSを更新するのか?というと、一つは「自分を頑張らせるため」です。

私は凡人なので「人影に隠れて、誰からも知られずに、黙って努力をする」ことに正直限界があります。一人法務のプレッシャーに耐えつつ、業務外も勉強を頑張るためには、ちょっとくらい周りから「頑張ってるね!」って言われないと持たないんじゃ!!!逆に、読んだ本を晒すことで「来年は5冊とかだとダサいな…」という謎の見栄っ張りを発動して頑張れたり、毎月noteを書くと決めていることで、「ネタないかな」と勉強会に出たりすることができます。

自分の凡人&見栄っ張りな性格を最大限に利用するために、月に1度noteを書いたり、頑張った分をtweetすることで、なんとかモチベを維持しております。たまに「本当に忙しい人や勉強している人はわざわざ発信しないよね」とエアリプされたりもするのですが、まぁそれはそうだけど、自分の努力が続く方向に自分を引っ張っていくための道具として使っているので、ご容赦くださいって感じです。偽物だっていいじゃない、努力が続けば。の精神。

また、アウトプットすることで、間違った姿勢を訂正してもらえたり(たとえそれが殴りつけるような訂正だったとしても)、逆に共感してくれる仲間が増えたりすることも、自分の中では結構大事なことです。

特に一人法務は、社内に「見張ってくれる人」がいないから、手を抜こうと思えばいくらでも抜けるし、それを社内に対して隠そうと思えば隠せてしまいます。だから、今この記事を見ている法務の先輩方に見張ってもらう。教えてもらう。そして、法務の先輩方に「助けて」「教えて」と言うからには、助けるに値する若手だと思ってもらうために、努力する。その努力の見えやすい結果として、noteを書く。なんとなく、私の中のカジュアルなアウトプットのモチベーションは、その辺にある気がします。

過去の自分に届いて欲しいから、アウトプットする

あともう一つは、過去の自分に届いてほしいからです。法務未経験で、やる気はあって、自信はなくて…。不安だった過去の自分に、2年後の等身大の姿が届いてほしいと思っています。

法務でも何でも、初めは全員初心者のはずなのに、初心者の失敗とか悩みがわからなくて。法務のSNSとかブログを調べても「キラキラした人」しか出てこなくて、泥臭く苦労した人とか、今苦しんでいる若手の人が見えなかった過去の私へ。「メディアで特集されている人」じゃなくて、目の前の等身大の苦労している若手法務の日々を。過去の自分が欲しかったnoteを、今過去の自分に向けて投げ続けています。(結果として、自分が取材していただくことで、ここに嬉しい矛盾が生まれているのもまた事実ですが…)

法務を未経験から2年以上やってみて、本当に法務は最高に楽しい職種だと思っていて、泥臭い努力が必要だけど、努力して得た知識はそれなりに身を結ぶし、頑張っている若手には先輩たちが手を差し伸べてくれる、優しい世界もあると思っていて。だから、そういうの、もっと届いてほしいな。と思って、今日も頑張ってnoteを書いています。

「なんだ、それくらいなら自分でもできる」って思って、一緒にチャレンジする仲間が出てきたら嬉しいし、「そこまではできないよ…」と思われたとしても、少なくとも「若手法務の一つの頑張り方のルート」は提示できてるといいなと思っています。なんか偉そうだな。でも正直なとこ、そんな感じです。

最後に

ということで、来年はもっと「キラキラした中身だけではなくて、泥臭い苦労や失敗もアウトプットする」「怖いけど"知識"に関するアウトプットも、会社に迷惑が一切かからない範囲頑張る」みたいな部分を個人としては頑張りつつ、また12本のnoteを積み上げていけたらいいなと思っています。

なので是非、先輩方、どうぞ来年はより一層優しく見守ってください!!笑

「間違ったこと言うなよコラ!」や「こんなことも分からないの?馬鹿なの?」ではなく、「アウトプットした勇気に拍手した上で、ここだけちょっと見解が間違っているかもしれないから、この本読むと良いよ」って言えるような世界で、もっと若手だって中堅だってカジュアルにどんどん発信できて、間違いがあったら教えあって、そうしてみんなで育っていけるような法務界隈になるといいな。なんてことを、最後に書いてみたりします。

コロナ禍で、オフラインの勉強会や飲み会が無くなった時に人と繋がる方法がオンラインになると、若手法務は「初めましてだけど、色々教えてください!」って手ぶらでは行きにくくなったと思っていて。そんな時に、カジュアルなアウトプットは自己紹介の代わりになるし、若手法務こそ社外と接点を持つために、アウトプットの力を借りるべきなのかなと。

ただ一方で、今は他の若手の方と話していても「カジュアルにアウトプットしたらいいよ!」と正直気軽に勧められず、もっと優しくなった世界だったらみんなに勧めたいと思うし。やっぱり社内に閉じず、社外に乗り出して行くには、SNSやnoteが無敵のツールだと思うので。もっとカジュアルに使いやすくなるといいなと思っています。

ということで、今年のアドカレは結論があるというよりは、今の自分の状態や悩み?を曝け出すよう内容にしてみました。皆様、ここまでお読みいただきありがとうございます&メリークリスマス&良いお年をお迎えください。(気が早い)

さて、明日からもアドベントカレンダーは続きます!!

明日は株式会社LegalOn Technologiesの高橋さんのエントリーです!高橋さん、楽しみにしてます〜!!そして、裏カレンダーの山下さんのエントリーも面白かったので是非是非!!

年末なのでサメをクリーニングに出し送りました。なんか出荷されてるみたいで可愛いですね。


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