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新米法務の私が、先輩方との輪読会で学んだこと

実は去年2月から、法務互助会の先輩方からお声がけいただき、I Tビジネスの契約実務の輪読会に参加させていただきました。

ベンチャーの一人法務になって、互助会に入って、アドベントカレンダーを書いて、note更新して...という流れから、とうとう勉強会にまでお誘いいただき、本当にアウトプットは身を助けてくれるものだなと思いました。

また、私は新米の一人法務ですが、一緒に輪読会したメンバーは私にとっては、マネージャーやOJT担当になるような実力のメンバーで、なんとか議論できるように週末勉強しても、これまでの努力の蓄積が埋まるわけもなく、本当に毎週毎週学ぶことがたくさんありました。

そして、GW前に無事に人生初の輪読会が終わりました。
もう、寂しい。寂しすぎる。

ただ、せっかく人生初の輪読会を無事に完走したので、今日はこの3ヶ月の学びや振り返りをしていこうと思います。

改めて、名前を出して良いか分からないから出していませんが、3人の先輩方、本当にありがとうございました。
最初の輪読会がこのメンバーで、本当に幸運でした。

いつもの自己紹介

LAPRASで法務部門の責任者をしています、飯田裕子です。LAPRASでは法務全般にプラスして、働く環境づくり、新入社員オンボーディング 等 興味のある仕事を欲張ってやらせてもらっています。

ちなみにGW明け(5/13)に、またもやLegalForceさんのイベントに(弊社はLegalForceさんのプロダクト導入していないに関わらず)呼んでいただきました!終了後に座談会もあるそうなので、是非是非!!

先輩法務と私の「予習」にかかるコストの差


今回一番感じたのは、"丁寧に"勉強することの重要性でした。

普段の私は、レスを早くするため、自分で蓄積するのではなく適宜書籍を参照したり、論点を洗い出して弁護士の先生に依頼したりと、割と「フットワーク軽く・早く」のような仕事をしています。

その癖をそのまま引きずって、私は最初あまり時間をかけずに「知っている条文は何回かに一回くらい六法を引く」「疑問が出たら軽く書籍で調べる」「記載判例は注釈の要約を確認する」くらいの予習で輪読会に望んでいました。

ただ、先輩法務の方にはそもそも蓄積された基礎があるので、その基準だと「先輩法務の頭の中にある知識」にすら追いつかないんですよね。。。

最初の数回の輪読会では他の3人の会話を聞いてニコニコしながら手元で必死にメモを取り、輪読会が終わった後や翌日に他のメンバーが話の前提としている知識を後付けで拾い、週末の時間を使ってようやくおすすめされた別書籍を読んで「あ〜〜この時話していたのこれか〜〜」となっていました。

そのうち分かってきたのが、先輩方は条文や事例が頭にある程度入っているので、「記載されているの判例の要約や解説まで探して読む」「前に読んだこの書籍に書いてあったから読み返してみる」という、私だともはや"リサーチ"に近い予習ができる。

一方で、私はまだ条文や事例が頭に入っていないので、そこを頭に入れる作業をおろそかにすると、すぐに論点が何か分からなくなる。

例えるなら、先輩方はそれぞれに設計図を持っていて、さらに設計図を充実させるために調査を加えながら、建物を作っている。でも私は、設計図を書くところから始めなきゃいけない。

最初は「なんとかついていくぞ!」「先輩が知らない情報とかをちょっとでも出せるぞ!」なんて意気込んでいましたが、割と早々に「その路線には無理があるな」と、ちょっと軌道修正をすることになりました。

新米こそ、"丁寧に"勉強する


途中から、先輩方の議論に完全に着いていくのは諦めて、この輪読会では「設計図作り」に重きを置くことにしました。

具体的にはやった内容としてはこんな感じです。

・民法の条文が出てきたら、択一六法でその条文の章ごと読み込む。
・改正民法の話が出てきたら、改正民法のその該当する章を読む。
・個人情報保護法の話が出てきたら、その部分のガイドラインを読む。
・出てきた判例は、伊藤先生のブログを探して、頑張って読む。

・定義を完璧に言えない単語を、できるだけ検索して引く。

そうして、輪読会を完全にペースメーカー扱いして自分の勉強をすると、逆に直近で読んで知識がついているので、たまに先輩の「これなんだったっけ?」に「この本に書いてました!」と輪読会で役立ったりすることもありました。

また、普段はパパッとしか調査できないものに、じっくり時間をかけて調べたり、勉強したりすることは、業務に関わらないからこそできる時間の使い方だと感じました。

そうやって勉強したことが基礎になって業務に生きたりする場面もあり、新米だからこそ"丁寧に"勉強することが必要なんだと再確認しました。

もちろん、基礎をやっても何か新しい視点や面白い情報を出せるようにはならないし、終わった後の復習もしっかり残るし、先輩方に優しくフォローされてなんとか最後まで完走できた側面もあるのですが...。

輪読会の使い方としては、当面やはり設計図作りのためのペースメーカーが私には良さそうだと感じました。
あと、輪読会があると、一人だと手を抜きたくなる設計図作りのモチベも維持できるので、それもありがたかったです。

法務歴は、机上の勉強では乗り越えられない


今回の輪読会では民法の改正に触れる機会が多かったのですが、やはりそこで、経験の蓄積と、座学の知識には大きな隔たりがあると感じました。

例えば、私は改正前民法は学部時代に勉強しただけなので、実務としての手触りがありません。
そして、法務になった時には改正後民法になっていたので、「こういうところが改正前はよく問題になっていた」「それを改正でこう修正した」「ここは残論点として残っている」というような整理が、やはり浅いと感じました。

「前はこういうのあったけど、もう改正でなくなったね〜」のような話を、先輩法務の方は昔語りだとして自嘲する場面もありますが、新米法務からするとその視点自体が得られ難いもので、もっと聞かせて!!ねぇねぇこっちの条文は?じゃあ、こっちはこっちは?のような気持ちでした。

やはり、過去に扱った商材、苦労した論点、大変だった新規事業の論点、面白いエピソードがある経験等は、単なる座学の勉強と比べて、五感を伴った経験として蓄積されているので、そこは書籍では追体験まではできず、やはり知識が経験になる強さを先輩法務の方から感じました。

これについては、逆に言えば「これからどんどん頑張れば、自分にも蓄積されていく」ものなので、あまり絶望感は個人的になかったです。

確かに、私も苦労して通した登記とか、誤ってひたすら謝罪した書面とかは、今でも鮮明に思えているし、おそらく二度と間違わないから。

むしろ、運良く(ギリギリ)20代から法務に携われた者として、ちゃんと合理的な根拠を持って、攻めて行こうと思いました。

それが私の蓄積として、きっと10年後、20年後に効いてくるはず。

新米法務として、私は今後どうするべきか?


と書くとまぁ、なんか壮大な問いかけになってしまいますが...笑

今の私はやはり意思判断を早くするために、全ての本を深く読み込むことをせずに、索引的に書籍を使う必要があり、今回の輪読会のような深い学習を全ての業務知識についてやっていくのは難しいと正直思っています。

一方で、先輩法務のメンバーが過去の経験から「なんか根拠ないけど多分こうだと思う」のような直感があり、その直感が大体あたっていて。
それはやはり今までの丁寧な学習の蓄積が直感という形で表れていて、今のような索引学習だけでは、何年経っても中堅法務になれそうにないな...という学びもありました。

結局、多分両立させる必要があって。
参照してでも即レスが必要な場面と、じっくり納得のいくまで勉強する場面を、ちゃんと使い分け・両立させることができるようになったら、私も新米法務を抜けて、手元の設計図ありきで建物を作れるようになるのではないかと今は思っています。

あとは、私も中堅と呼ばれる法務になったら、今受けた法クラとしての恩を別の新米法務の方に返せるようになりたいな。

丁寧な学習をしながら、経験を積み重ねられるように、もっとがんばります。


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