五輪延期の経済損失と公共事業の経済効果

 コロナウィルスの流行はいまだ収束の兆しを見せていません.目下,オリンピック・パラリンピック東京2020大会の開催自体が危ぶまれる状況になっています.2月~3月はじめまでは日本国内,または中国での早期収束が果たされれば予定通りの開催も検討可能だったかもしれませんが――世界的な流行に拡大したため,これを7月までに平時モードに移すのは不可能でしょう.すでに予選会の中止が続いていることも延期,または中止を不可避なものにしつつあります.
 その経済的影響について,議論が始まりそうなので,少し先回りしてお話ししておきましょう.

今日の結論は
「五輪延期の直接的な経済損失は想像されるほど大きくない」
からの
「公共事業の効果は中長期計画で決まる」
というお話です.

 前者については,そもそも「オリンピックの経済効果」自体がほとんどないので,延期・中止の損失も大きくない.正直,コロナショックの影響の方がよほど大きいので,無観客試合や不十分な形態での開催よりは延期が望ましいと私は考えています.後者については,どういう話の流れになるのか……読んでみてのお楽しみを.

 このあたりを理解するためには,そもそも「オリンピックの経済効果」とは何なのかを整理しておく必要があります.

◆オリンピックの経済効果

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