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最低賃金引き上げ答申ー今回は本当に難問

 今週はコレを取り上げないわけには行かないでしょう.中央労働審議会が今年10月からの最低賃金改定について28円(3%)の引き上げを答申しました.全会一致で妥結する審議で,採決が求められ,使用者側委員の4名が反対するという異例の事態からもわかるように今年の最低賃金引き上げについてはかなりの難問.

 日本の最低賃金の引き上げは,労働者・使用者(企業)・公益(学者など)それぞれ十数名の代表者からなる中央労働審議会で全国的な最低賃金引き上げの目安が審議・答申され,その目安を参考に各都道府県の労働審議会で最低賃金の改定が審議され,各都道府県の最低賃金が決定されます.中央労働審議会の意見がそのまま反映されるわけではなく,結構各県の独自色もみられます.

最低賃金の雇用増進効果

 伝統的な経済理論では,最低賃金の引き上げは「当然」雇用を減少させます.自由競争で定まっている,つまりは需要と供給を一致させる,賃金水準を政策的に規制価格まで引き上げると労働需要が減る.需要が減ったのだから取引量(雇用量)も減るというわけ.

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