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『BIG BUSINESS―巨大企業はなぜ嫌われるのか』(Tyler Cowen)本日発売です

 タイラー・コーエンの新著,『BIG BUSINESS―巨大企業はなぜ嫌われるのか』(Tyler Cowen)が本日発売されました.

いま、あえて大企業を擁護する
GAFA=グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンをはじめとする巨大プラットフォーム企業への批判と規制が高まる一方、私たちの生活や経済のあり方は、これら巨大企業への依存度をますます強めている。なぜ、こうしたギャップが生じるのか。独占企業の力は本当に強まりすぎているのか。コロナ後の世界でいま問われる大企業の存在意義とは──。

と紹介されていますが,

大企業は本当に忌み嫌うべき存在なのか――そうではない
大企業は不当な利益を得ているのか――そんなことはない
大企業は――私たちを豊かにしてくれる

といういろんな人が嫌な顔をしそうな話を正面から取り扱っています.その一方で,本書は単純な大企業礼賛本ではありません.

 個別の「よくある大企業批判」が根拠のないもんであることを論理とデータで明らかにしつつ,一方で現代の企業の特殊性を浮かび上がらせる仕掛けになっています.

 コーエンはリバタリアン的に分類されることの多い経済学者です.しかし,その企業観はリバタリアンはもとより,主流派経済学のそれとも異なり……時にコミュニタリアン的とさえ思える側面を含んでいます.
 企業の持つ二つの顔とは何か,その二面性にこれからの企業の社会的な意義・役割を探ることができるのではないか.俗説なで切り本としても面白い本ですが,ハードな企業論としても活用できる著作だと思います.

 なお……僭越ながら本書の解説をつとめさせていただきました.汗顔の至りであります.

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4,685字

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