【飯田線各駅紹介】78 駒ヶ根駅
鉄道のありがたさを知る
ここは路線内でも有数の主要駅、駒ヶ根駅だ。隣の小町屋駅とともに駒ヶ根市の中心市街地に位置し、両駅の利用者も合計すれば1,000人を超える。駅には3番線まであるほか多くの側線が存在し、夜間には列車が停泊するなどして利用されている。
この駒ヶ根駅へは、飯田市から歩いて到達した。30kmを超える道のりで、時間は休憩も含めると8時間。さらに歩数は約51,000歩と、自身の過去最多を更新した。
駅前にはバスターミナルがあり、近年その一帯に屋根がつけられた。利便性こそ向上したのだろうが、そのせいで駅舎をうまく撮影することができない。その上 疲労が酷く溜まっており辺りを歩き回ることさえやる気にならず、苦し紛れに撮った一枚がこのページの見出し画像である(笑)…。
駅には「列車発車時刻以外にホームへは立ち入らないようにお願いします」と書かれており、業務員のおじさんもいるので、しばらくは待合室で休んでいることにした。あぁ、ここがこまがねかぁ…ここまであるいてきたんだよなぁ…なんて考えていると、世界の広さを知ったような気がした。ひとつの路線のうちの一部の区間を歩いたとはいえ、この疲労感。それでも線路は遥か先、北海道まで続いている。
やがて列車が到着し、私はそれに乗り込むと飯田へ向かって帰った。往路はあれほど苦労した区間が、復路はこうして線路の心地よいリズムに乗せられていくだけである。列車の窓から眺める光景は、地形に沿い、人々の生活に沿ったものだった。
周囲がすっかり暗くなったころにようやく、飯田市内まで戻ってきた。元善光寺駅で、私と通路を挟んだ反対側の4人席に、小さい子を連れた家族がやってきて座る。その子供が、車掌さんに尋ねた。「しゃちょう、線路って何でできているの??」「車掌」のことをうまく言えないのか、それとも敢えて「社長」と言っているのかは分からない。しかし、車掌さんは丁寧に答えた。「線路はね、鉄で…いや、夢でできているんだよ」。なんだろう。思わず笑ってしまった。その笑いがその子のご両親に聞かれていたかは、分からないけれど…。
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