パッケージ、ノリ|小澤南穂子【ヒコウキグモ】
人を構成するものの中で、自分が強く執着しているものは、パッケージと、ノリだと思う。
外見と内面てことでしょ?と片付けるのも待っていただきたい。
「パッケージ」は、その外見によって他者から受け取られるイメージや他者からの扱いをも含むということにさせてください。ノリは、内面というものよかもっと軽くて雑なものとさせてください。
私は、自分のこれらを、コンプレックスに感じることがある。
ノリ
誰かと話す時間を設けるなら、
いつか行こうと約束をして、その少し後に日取りを決めて、さあ行こうと腰を上げるよりも、流れと空気でなんとなーく足を止める方がいい。
ノリ
進行方向をわざわざ変えることが苦手。事勿れ主義。目の上のたんこぶに対してまでも、目をつぶってしまいたくなる。つまり面倒くさがり屋。
パッケージ
中学生男子というパッケージにおさまりたい欲。重めの前髪マッシュ。
パッケージ
ものすごいいびきをかいている隣のおじさんというパッケージには、絶対に入りたくない。
ノリ
日本人の本質は、通い婚にあって欲しい。好きなら好き、嫌なら嫌で、後腐れなし。飽きたらさよなら。そのくらいの距離感が前提にあった方が楽。
ノリ
本当は道に迷うくらい散歩がしたいのに、空いた時間を潰すのに持ってきた、iPadとノートPCと単行本とノート3冊と筆箱とメガネと1Lサイズの水筒が重くて結局カフェに入る。
パッケージ
痩せ身高身長のパッケージ持ってればちょっとちゃんとした服着るだけでイケイケになれると僻んでいる。
パッケージ
なんでその帽子選んだ?って感じの麦わら帽子当たり前に被ってる人好き。
ノリ
会いたいと思いながら誘われたら億劫になる時がある、正直。でも誘われたい。
ノリ
1番怖いもの遅刻。1番得意なの遅刻。
ノリ
電車で人と目が合うの楽しい。
ノリ
まだ喋り足りないという気持ちがいつもある。
エトセトラ。自分は、そういうパッケージとノリでできている。
変えようとか、変えたいとか、変えるべきとか、変えられるとか、思うことは、変えられない場合の方が多い。
勇気の問題なのか?
人は流動的に変わっていくけれども、
どうしたって変わらない、変えられない特性もあると思う。
憧れたって僻んだって何したって、てめえにはてめえの方法や法則があって、己は己がどうにか解決するという終点が待ち構えている。
脱力系ヒューマンに憧れるけど、いつだって血気盛んって感じ。自分のそういうところまじ無理。でももう今日も終わる。
こんな時間にマラソンすな。
こんな時間に女が出歩くな。
誰が、決めたんだよ、みたいなツッコミ(?)を、自分にも他人にもしてしまう。落ち込みはしないが、おしゃれな居酒屋からこの時間に流れてくるまだ賑やかな声とBGMが切ない。
でもやっぱ今日が終わる。
夜になれば眠る。朝になれば起きる。
「まず私は家を作ります。」
「じゃあ私は食糧をとってきます。」
「夜になったら帰るよ。」
公園でゴッコ遊びをする子供たちが言ってた。その遊びに終わりはあるの?どうなったら勝ち?どうなったらゲームオーバー?と尋ねたくなった自分は意地悪だと思った。
いいへんじ 二本立て公演
『器』/『薬をもらいにいく薬』
日程
2022年6月8日(水)~6月19日(日)
会場
こまばアゴラ劇場
予約
https://www.quartet-online.net/ticket/utsuwakusuri
公演詳細
https://ii-hen-ji.amebaownd.com/posts/33413098
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