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ペルソナ3を思春期に遊ばなくてよかった(ペルソナ3リロード感想)

2024年2月2日、「ペルソナ3 リロード(以下P3R)」というゲームが発売された。
2002年にアトラスからPS2向けで発売されたペルソナ3(以下P3)のフルリメイク作品である。
私はP3は愚か、24年生きてきてペルソナシリーズを一切触ったことがない(女神転生はファミコン時代のやつをSwitchで一瞬触ったくらい)。
とはいえP3自体は非常に有名なので、「銃型の召喚機をこめかみに突きつけて行うスタイリッシュな召喚」とか「なんか普通にテレビとかで聞いたことあるキミの記憶とか言う名曲」とか「やたらスタイリッシュな戦闘BGM」「賛否両論のエンド」とかは何となく聞いたことあったし、ペルソナシリーズ自体も「なんかゲーオタ的には触っときたいシリーズだよな〜」程度の距離感で見ていた。
そんな折に発売されたのがP3Rである。

「でもな〜リメイクって言っても00年代のゲームだしな〜、てかペルソナのオタクってなんかこう、他のゲームシリーズとはまた違う異様な熱意(オブラート)を感じて近寄りがたさもあるんだよな〜


!?!?
Xbox Game Pass対象なんですか!?!?!?
やります
ということで感想記事です。
一応軽いネタバレを含みますので、嫌な人は今すぐブラバしてP3Rを買うかGame Passに加入してP3Rをダウンロードしてください。

OPがやたら格好いい

ゲームを開いて最初に見るのがまずこのOPなのだが、これが曲も映像も非常に格好いい。
まずはこれを見てほしい。

いや格好いいな!?!?
無音のイントロから始まり、(やたら懐かしい)mp3プレイヤーからリメイク前とポータブルそれぞれのop(後で知った)を一瞬再生してからの曲の入りがまず非常に格好いい。
おしゃれでキレイ目なイントロから唐突に入るバカ格好いいラップパートからのスタイリッシュなサビの展開が最高じゃあないか。
しかしなんだろう、映像も曲も最高にスタイリッシュなのに、どことなく漂う平成……具体的には00年代から10年代前半のアニメOP感は……!
特にサビでひとりひとりのペルソナ召喚を連続で見せていくところとか、最後のキャラが並んで出てきてタイトルに繋がるまでの流れとかがなんかめっちゃ平成っぽい!
これはたまたまじゃなくて、リメイクのターゲット層的に狙ってる気もするんですがどうなんですかね?

また、OP以外の楽曲全般も非常に格好いい。
特に通常エンカウント時の戦闘曲、「Mass Destruction」はもうこれ聞くために戦闘してるだろってくらい格好いい。格好いいばかり出てきて申し訳ないが、それ以上に適切な形容が見当たらない、そのくらい格好いい楽曲群なのである。こればかりは一度視聴していただきたい。

ペルソナ召喚が格好良すぎる

スキルがヒット確定したときなどに流れるカットイン、まじかっこいい

基本的に戦闘では「ペルソナ」と呼ばれるいわゆるジョジョの「スタンド」的なものを召喚して使うことになるのだが、このペルソナ召喚が格好いい。
銃(型の召喚器)をこめかみに突きつけて撃つ、この海外だと絶対規制されそうなアクションがシンプルながら中二心を非常に揺さぶってくるのだ。
危なかった、思春期にこのゲームをやっていたら致命傷じゃすまなかった。

戦闘システムは面白い

本作の戦闘はワンモアプレスという仕組みが採用されている。
基本的には通常のコマンドRPGなのだが、戦闘中に「敵の弱点をつく」または「物理攻撃をクリティカルヒットする」と、敵がDown状態になり、そうするとプレイヤーはもう1度行動することができる。敵が複数体いる場合は1体ずつ弱点をついて連続行動したり、敵が全員Downしたら「総攻撃」と呼ばれる強力な攻撃が行えたりと、かなり爽快感の強いシステムとなっており、最高のBGMと相まって雑魚戦でもかなり楽しいシステムだ。
一方で、中盤以降のボスはほとんど弱点属性がなく、何なら物理攻撃3属性を半減してきたりするのはこのシステムの調整的な難しさを感じた。

高校生活と死の疑似体験

本作(というか3以降のペルソナシリーズ?)は基本的に、カレンダーを一日一日進める進行になっている。
基本的には
午前: 学校での強制イベント(基本的には授業)
放課後: コミュ(NPCとの関係性を深めるイベント)進行やその他の行動を1回
夜: タルタロス(不思議のダンジョン式のダンジョンで、定期的に新たな階層が開放される本作のメインダンジョン)を攻略する、コミュ進行やその他の行動を1回
といった感じで、基本的に一日に放課後と夜の二回自由に行動できるタイミングがあり、夜の行動を行うと翌日に進む……といった感じだ。
基本的にメインストーリー上のイベントは満月のタイミングで起こるので、満月と満月の間はひたすら日常を繰り返し、満月になったらボス戦などが発生する、というのがストーリー全体の流れなのだが……
テンポ悪くね?
コミュとか裏メニュー食べてパラメータ上げたりとかすることを考えるとタルタロスは上限が開放された当日に上限まで行きたいし、タルタロスはだいたい満月イベントの後に開放されるのでそうすると満月と満月の間はひたすら飯食ってコミュやってってなるし……令和のゲームなら「正気か?」となるテンポ感だと思う。
しかし、ゲームを勧めていくうちに、これがこのゲームの肝なのだと気づいた。
一癖も二癖もあるクラスメイトや街の人との放課後の交流、テスト機関の勉強、夏休み、修学旅行……
高校生のありきたりな日常をゲーム内で疑似体験するのが「ペルソナ3」というゲームの一つの本質なのだ。
年上の先生との禁断の恋愛に憧れる友人、膝がぶっ壊れても約束のために走り続ける陸上部の友人、奥さんに逃げられ夜な夜なクラブに通う坊さん、余命幾ばくもなく全身から儚さを出してるお兄さん、寮の仲間たち……彼らとの交流は、もう大人になってしまった自分からは眩しすぎて目が潰れるほどに、「若者の物語」だ。(というかこんなの中学生とかでやってたら高校生活に変な憧れ持ってたこと間違いなしだと思う)
そして、そんな日常にも、ある時終わりが来る。
ゲームである以上ある意味当たり前のことだが、このゲームにも終わりはあるのだ。
本作では終盤のあるタイミングで明確に「物語の終わり」を意識し始めるタイミングが訪れる。
これまでなんとなく過ごしてきた日常、それまでと変わらず進んで行くのに、それも「終わり」を意識した途端、見え方が変わってくる。
一日、一日とゲームの終わりが近づくに連れ「まだ終わってほしくない」「まだやり残したことがある」と焦りにも似た気持ちに襲われることになるのだ。
てかこのゲーム初見でやったら皆12月あたりで「あのコミュ終わりそうにねえ!」「エリザベスの以来これ期日指定なくても時間書けないと無理じゃねぇ!?!?」「ペルソナ全書まだ結構空いてるが???????」「なんで序盤カラオケとかアルバイトとかよく考えずにやってたんだよ!!!!!!」と半ギレになりながら過ごすよね!?!?!?
ゲームの終わり、物語の終わりを意識すること、それはある意味で「死」を意識することと同義だと思う。
死は誰もに約束されていて、かならず訪れるものなのに、普段はそんなこと忘れて日常を過ごしている。きっと現実でも、死が間近に見えてきた途端に、一日一日が大切に見えてくるものなのだろう。
そういう意味でP3のカレンダーシステムは「死の疑似体験」でもあるのではないかと思う。テーマも「memento mori」だし。

ストーリーはめっちゃ良い

めっちゃ良い!めっちゃ良いんだけど、この作品のストーリーは普段のイベントがない日に「どういう日常を送ったか」「どんな関係性を作ってきたか」という体験と密接に関わってくる面白さなので、今回はあまり深くは語りません、自分で遊んでくれ!
ただ一つ、お気に入りのエピソードの話をするとすれば、順平とチドリの話だろう。
P3には寮の仲間であり、パーティメンバーであり、クラスメイトで友人でもある伊織順平というキャラが居るのだが、僕はこいつが結構好きだ。

物語上ちょくちょく主人公とぶつかるけど、転校してきて真っ先に話しかけてくれたのは彼だし、ノリが良くて明るいし、一緒に覗き未遂もしたし、声帯は鳥海さんだし……
そんな彼が物語の中盤で出会うのがチドリという見るからに地雷な女の子だ。

おい順平!!!そいつはやめておけ!!!確かに可愛いし声帯は沢城みゆきだけど、格好がやばいし変な絵書いてるしリスカもするし、てか見るからに地雷だし、何よりそいつは敵だぞ!!!
街で出会って仲良くなって、ちょっと気になり始めた女の子が敵組織の人間だった展開、ありきたりといえばありきたりだが、それが発覚するまで順平が楽しそうにしているところをプレイヤーにしっかりと見せつけてくるせいで、結構しんどい。
ストーリー上で敵対した後、色々あってチドリは主人公陣営が管理する病院で保護されるのだが、そんな彼女の病室に足繁く通う順平、最初は拒否されながらも、花束を持っていったりなんかしちゃって段々いい感じになって、でも最後の最後でやっぱり敵で……
何だこのラブコメ!?!?
甘酸っぱくもビターで、物悲しさすらあるこの関係性がかなり好きだ。これを見るためにP3Rを購入してほしいまである。

めっちゃ面白かったのでとりあえず買ってくれ

ここまでダラダラと書いておいてだが、このゲームの面白さを言語化するのは非常に難しい。
コミュシステムもカレンダーも、言葉で言われても「なんかめんどくさそう」となる程度だと思う。(実際最初はめんどくさく感じてたし)
なので、私から言えることは一つ
買って遊んでくれ、Game Passでも良いぞ、今なら初月100円だし!


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