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漫画原作者はどんな企画書を書いているのか、そのフォーマットを公開する

最初に

今回の記事、前半は【無料】、後半はわずかばかりの【有料】にて、noteの有料購読機能を初めて使わせてください。
少しでも創作に興味があり、実際にマンガや小説、脚本を書いている人ならば、【無料】の前半部分で充分役に立つと思います。
後半の【有料】部分は、その企画書で立てている項目にどんな意図があり、創作上何を気をつけるべきか詳しい解説を加え、私が使っている企画書のテンプレートを配布します。

基本的に「ストーリーマンガの企画の立て方」とニッチなテーマではあるのですが、小説や映像脚本、芝居の戯曲にも多少役に立つんじゃないかと思います。
有料、買ってもらえるのかドキドキですね。

「マンガの企画書って何?」

漫画原作者の猪原賽(@iharadaisuke)ですこんにちは。
こんな仕事をしていると、時々マンガ家志望者や同業者から「どうやって連載の企画通してんの?」と訊かれることがあります。

マンガの企画書については、これといって正しいフォーマットがあるわけじゃなく、作家によって千差万別。でもこれから企画書を書こうという人は、いったい何を参考に書けばいいのかわからない。
そこで今回は、私が書く「マンガ原作の企画書」そのものを公開したいと思います。

免責事項

これは「ストーリーマンガ」の企画書に関しての記事です。ショートコミック、エッセイマンガ、ギャグマンガ、実用マンガなどには当てはまりません。
ただし「ストーリーの構成」や「キャラの立て方」にも言及しますので、小説や映像脚本、芝居の戯曲の創作論にも少し関わる内容です。
また、出版社に頼らず、WEB上に個人で発信し続けるクリエイターが増えつつある現代ですが、これは「出版社・編集部に持ち込む前提で書く企画書」の話です。自分でぜんぶやっちゃうなら、別に人に企画書なんて必要ありませんしね。
その辺ご承知おきを。

これが『悪徒-ACT-』の企画書だ!

2008年、週刊少年チャンピオンにて連載された『悪徒-ACT-』の企画書を見てもらいます。
最初に断っておきますが、この企画書は連載当時の実際のものではありません。
連載後10年が経ち、今の私ならこう書くだろうという仮定のもの。
しかし、実際にこれで連載を取りに行く、担当編集に見せて連載を前提にした打ち合わせに持ち込む気満々で望む体で書きました。

ちなみにこの企画書を今の担当編集に見せてみたところ、「バッチリ。打ち合わせしましょうか?(笑)」と太鼓判をいただいたので、このフォーマットで完璧です。ではどうぞ。

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以上です。
少しでも創作に興味があり、実際にマンガや小説を書いている人ならば、この実際の企画書を見てもらえれば「ああ、そういうことか」とコツがつかめると思います。ここまでで充分ですよね?

でも一応、【有料】部分もちょっと一部お見せしておきます。

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後半の【有料】部分では、上の画像のように、私が企画書を書くにあたって気をつけていること、コツなどを解説します。
さらにこの企画書で使っているMicrosoft Word用のテンプレ(または各種エディタで使用できるtextファイル)をDLできるURLをお知らせします。

初めて有料機能を使用してみるので、お試し価格としてお値段は【100円】とさせていただきます。よろしくお願いします。

……と、課金部分の前に、別の企画書の書き方も教えておきますね。

マンガ家さんバーターの企画書が最高

漫画原作の企画書で、一番連載、掲載ゲット率が高い企画書を書く方法がひとつあります。それは、マンガ家さんと最初から組むことです。
どんなに素晴らしい企画書を書いたとしても、

(編)「で、どんな絵が入るんですか?」「マンガ家さんは具体的に想定していますか?」
(私)「誰かいませんか?」「紹介してください」

となり、掲載までの道のりは長い。だったら最初からマンガ家決め打ちで企画書を書けばいいのです。
それはもう、企画書のフォーマットなんて関係ない。マンガは「絵」です。どんな絵の、どうワクワクする企画なのか。それを「絵」で見せるのが一番早く、編集者もイメージしやすいわけですよ。

その場合の企画書は、こんな感じです。

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こういうマンガだということが、「絵」で一発でわかる。こういう企画書が一番編集者に受けやすい。そりゃそうだ、相手はマンガの編集さんだもの。

どんなに正しい、わかりやすい企画書を書こうとも、マンガの企画である以上、マンガ家さんの「絵」が最強なのです。
マンガ家さんと仲良くなって、一緒にマンガを描こう!と誘うのが、企画書を通す一番の近道かもしれません(笑)。

……と、オチが付いたところで、ここから下が【有料】になります。

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最初の『悪徒-ACT-』の企画書について、私が気をつけていること、創作上のコツなどを解説します。

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