【第2部】屋久島で土地買ってエコビレッジ運営・YouTube企画コンサル会社の社長秘書・女性起業家になった3人が共同生活していた時の話をしようと思う
先日の記事を見てくれた人がこの記事を見てくれていると信じて続きを書いていこうと思う。第1部をまだ見ていない人はコチラを読んでから戻ってきてもらえたらと思います。
一応、前回のおさらいとしては、大学を中退したロイヤルニートのAちゃん、超★ガールズバー店員のTちゃんと私の3人の生活リズムが合わないという話をつらつらとしていたと思う。
今回は、そんな3人の悩める人生とシェアハウス生活で起こった最大の事件である魔のクルーズ船イベントについて話していきたいと思う。
森をつくりたい女と栄養士フリーランスになりたいかもしれない女と起業したい女
ちょっとここで真面目な話をはさみたいと思う。これはこのシェアハウスの全貌を伝える上でかなり重要なキーポイントとなる。
私たちは和旅プロジェクトと題して一緒に活動していたものの、それぞれの向かう先は異なっていた。当時所属していた経営コミュニティの方針みたいなものがあって、2人と一緒に仕事をすることになっていたんだけど、3人とも何をするのがベストアクションなのか理解しきれていなかった。
Aちゃんはトビタテ留学ジャパンでイギリスに1年間留学をしていた。その時に自分が植物と会話できることに気づき、植物や地球のために生きたいと当時から言っていた。
「ウチは地球を救うんです!その絵が見えるんです!」
といっていた。きっとこれを読んでいるあなたは、何いってんだコイツ。と思うだろうけど、一緒に住んでる私たちとしてはなんら不思議にも思わなかった。Aちゃんは本当に不思議なパワーを持っていたからだ。お金持ちや仕事のできる人を引き寄せる。「そんなことある?」って誰しも思うようなことがAちゃんには起こり続けるわけだ。ただ、Aちゃんは地球の具体的な救い方は当時まだイメージできていなかった。
ゆえに、当時はキモノプロジェクトのチームリーダーを任せていたんだけど、Aちゃんは途中から苦しそうにリーダーとしての責任を果たそうと身体を引きずりながら頑張っていた。
Tちゃんは多分この3人の中で1番人生に迷っていた。栄養士の仕事は卒業前からやってはいたものの、それを本当にずっとやっていきたいかどうかは自分でもよくわかっていなかった。
Tちゃんはシェアハウスをしている間にヨーロッパに自分探しのために1人旅に出かけていったんだけど、みつからなかったみたいだ。まあ、実際旅するくらいじゃ自分はみつからない。けど、彼女はもともと就職する予定だった大手食品メーカーにそのまま行ったら得られなかったであろう大量の時間を良いタイミングで得られたからこそ、真剣に自分と向き合い続けることができたんだと思う。
そんなTちゃんは組織をつくる経験をしてみたかったらしい。なので、和旅のメンバーを向かい入れるオリエンテーションなどの設計を担当してもらっていた。
そして私は自分がリーダーであるものの、和旅のビジョンがしっくりこなくて悩んでいた。会社をつくって事業としてやるんだ!とは決まっていたものの、当時掲げていた「旅を通して日本文化ファンを増やす」というビジョンに納得がいっていなかった。今から思えば多分、日本文化なんてそんなに興味がなかったんだと思う。でも、キモノプロジェクトとかやっちゃってたし、日本文化というキーワードで仲間集めをしてしまっていたから、それを変えられず、迷路にハマって目の前のことになんとなく取り組むことで精一杯になっていた。
そう、私たち3人とも、どこにどんな方法で向かえばいいか明確に見えていなかったのだ。ゆえに、当時いた環境に飲み込まれ、なんとなく良さそうな意思決定を続けた結果、全員迷子になってもがいていたわけだ。
そんな状態でプロジェクト活動を進めると何が起こるかなんて想像に難しくない。このシェアハウス生活最大の大事件が間もなく起こるのだ。
船内地獄絵図の横浜クルーズ船事件
そう、事件は2018年6月2日(土)に起こった。
私たちはキモノプロジェクトの活動の一貫であった寄付金集めをするためのイベントを開かなくてはならなかった。当時、私たちギリシャチームを担当してくれていた本部の方にすごく大胆な提案をしてもらった。
「横浜で200人乗りのクルーズ船を安く借りられるんだけど、クルーズ船でキモノのお披露目会企画しなよ!」
それを聞いた私たちとしては、夜に納涼船的なテンションで企画すれば人が集まるだろうし、普通に借りるよりだいぶ安かったからありだなと思った。
しかし、蓋を空けてみると、なんと昼間の時間帯での開催になっていた。夜に30万円で借りられると思って合意していたところ、昼の開催で挑戦することになってしまったのだ。
当時の本部で船を仲介してくれた人の勢いがスゴくて、きっとどこかで伝達ミスが起こってしまったんだろう。。あぁ、今思い返すだけでもとんでもない条件でデッカイ船が降ってきてしまったものだ。(白目)
そんなこんなで、夜だと思っていた船は昼間の時間帯にランチクルーズとして開催することが決定した。
もちろん、船の費用はもちろん参加費で回収できなければ寄付金を集めるどころか赤字だ。
Aちゃんと私はこの船をなんとか成功させるべく準備をすすめた。具体的に準備していたのはこれらだ。
・お客さん200人
・船内でメインランチとお酒を提供してくれるシェフ
・軽食ケータリングの女の子2人組
・抹茶で世界一周した女の子の手作り抹茶販売
・ギリシャ着物の現物と飾るセット
中でも1番大変なのはもちろんお客さん200人だった。
しかしAちゃんの必死の健闘があり、最初は手こずっていたんだけど、最後の2週間で120人くらい1人で集めていた。すごかった。やっぱり、彼女は引き寄せるチカラが強すぎる。Aちゃんは1人で120人を呼んだわけではなく、2人の知り合いが合計でとんでもない数を呼んできてくれた。これは、彼女の作戦だったのだ。
1人は台湾人の女の子(ロシア大使館のパーティーで仲良くなったらしい)で、日本にいるお金持ちの台湾グループに所属していたらしい。その台湾人グループをごっそり連れてきてくれた。1人は船内ランチを頼んだシェフ(もともと友達だったらしい)。自分たちのお客さんをかなりの数呼んでくれていたみたいだ。この2人を引き当てたというのが本当にスゴイことだと思う。
あと20~30人くらい当時の和旅メンバーが協力してくれたこともあって集まり、当日までに150人くらいの乗船が決まった。この時点でギリ黒字くらいの状態だった。200人には届かなかったけど、まあ実際150人もよく集まったなと思う。
とりあえず、どーーにかギリギリ開催できそうな状態で当日を迎えた。
前日からシェフたち3人組が泊まり込みで料理の仕込みに来ていた。7人乗りのレンタカーを借り、シェフ3人と私とタクシーの運転手をしていた友人に運転を任せて大量の食材と荷物を車に詰め込み、家を出た。(他の子は全員電車で先に行ってもらった)
当日はTちゃん含む和旅の他のメンバーも一緒にクルーズの運営を手伝ってくれていた。Aちゃん、私、そしてTちゃん+4名の合計7名で当日の運営は回す予定だった。当日の指示ができるのはAちゃんと私。Aちゃんがキモノのお披露目のことを担当し、数々のイベントと修羅場をくぐり抜けてきた私が人のマネジメントを担当すれば大丈夫!のハズだった。
そう、ハズだった。
いざ横浜には着いたんだけど、その日お祭りがあるとかなんやらでかなり混んでいた。到着予定時刻よりもかなり遅れての到着となったが、ギリギリ間に合いそうだ。荷物をおろし、シェフたちを無事に送り届けた時にとあることに気づいた。
「ヤバイ、氷がない!!!」
実はシェフ達はAちゃんの友人で料理はほぼ原価で引き受けてくれており、その代り船にいる人達にお酒を売ることで利益を出させてほしいとお願いされていたのだ。だから、もちろん150人分のお酒がたんまり準備されていた。氷を用意しないわけにはいかない。
他にも、抹茶を販売しにきてくれた女の子の氷も準備しなければならなかった。
かなり大型の船だったからキッチンスペースはあったんだけど、装備が古くて製氷機が壊れていた。ゆえに氷を買っていかなければならなかったのに、氷の買い出しがまだだった。
シェフを降ろした後に私と運転手で急いで氷を買いに行った。うん、これがよくなかった。今の私がもしこの時の私に会いに行けるなら、車をエンストさせてタイヤをパンクさせてでも絶対に買い出しに行かせない。羽交い締めにしてでも止める。
私は車の駐車と横浜の混雑、そして氷の重さを見くびっていた。
とりあえず、車で近くのコンビニに行き、コンビニにあった氷を全力でかごに詰めた。
たしか、18キロくらい買った気がする。1つ1キロだから、18袋。
これを、万年文化部でヒョロヒョロの私と夜勤明けでヘトヘトのタクシードライバーの2人で船まで運ぶことを全く考えていなかった。
まあ、この時もうかなりの戦闘モードだったから、なんとか氷を持つことはできた。持つことはできたんだけど、激混みの横浜港で地下駐車場への駐車にかなりの時間を奪われてしまった。
そんなこんなをしている間にも船の出発時間は迫る。
これ、私もちゃんと知らなかったんだけど、船って港に停まっていられる制限時間があるらしく、出発時間を伸ばすことが難しい。既にTちゃんから鬼の勢いで連絡がきており、あと10分しかどんなに頑張っても港についていられないと言われた。
車は停めたし、これはもう、走るしか無い。それはもう全力で。
私とタクシードライバーで1人9キロ分の氷を抱えて、全力で走った。
全力で走ったんだけど、9キロを抱えた二人の全力なんて、とうてい全力とは呼べなかった。
やっと地下駐車場から地上にあがり、私たちの乗る船が見えた!
ゴールはあと少しだ!!!!!!!!!!!!
「ボーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
無念。
船は18キロの氷と私とドライバーを陸に残し、あえなく目の前で海へと旅立った。そう、私とタクシードライバーは敗北したのだ。
この瞬間、18キロの氷は超重量級のゴミとなった。
海に放り込んでやろうかと思ったけど、ギリギリ理性がとめてくれて、港のお祭り屋台でドリンクをドブ漬けにして売っていたお兄さんに全部プレゼントした。
「えッ、こんなに大量にもらっちゃっていいんですか?!!?」
「ちょうど今氷を買い足しに行こうと思ってて、超助かりました!」
「お礼にドリンク持っていってください、ありがとうございます★」
全力で走った私たちには超重量級のゴミである18キロの氷より冷たいコーラ1本のほうが何十倍も価値があった。
ありがたく受け取り、出港した巨大なクルーズ船を眺めながら2人で芝生に転がりコーラで乾杯した。
黄昏るという言葉がこの世には存在していると思うが、このときほど適して当てはまる瞬間は私の人生ではなかった。
その後は車に戻り、3時間のクルーズ船が戻ってくるのをひたすらに、ただ待っていた。
私たちからすると、案外3時間はすぐに経ちもうそろそろ船が港に戻ってくるからとみんなを迎えに行った。
船の中の様子は嫌な予感しかしなかったし、本当に氷を届けられなくて申し訳なさしかなかったんだけど、実際帰ってきたみんなの顔を見た瞬間に想像を軽く上回るような船内の地獄絵図が想像できた。
Tちゃんに詳細を聞くと、ざっくりこんなことが起こっていたようだ。
・氷がないからお酒が全然売れない
・とはいえ飲むものないから買う人もいたが生ぬるくて苦情がすごい
・ランチを提供するお皿が手違いで無く大クレーム
・乗船客の半分が台湾人で謝罪するも言葉が通じない
・唯一すべてを把握しているAちゃんが船酔いで半分倒れていた
・シェフ激おこ、船内大クレーム、統制者ゼロ、無事死亡
もう、当時は想像しただけで吐きそうな状態が船内で繰り広げられていたみたいで、和旅のメンバーは全員死んだような顔をしていた。
氷がないことなんか氷山の一角でしかなく、それ以上に統制者がいない150人を乗せた船でのイベントは陸で開くイベントとは訳が違ったのだ。
無いものがあっても買いに行くことはできないし、途中退場ができるわけでもない。お客さんも怒って帰宅なんてできないわけで。
Aちゃんは船酔いで倒れていたみたいだし、実際準備のときから血を吐いて(ガチ)準備していたこともあり、フラフラだったみたいだ。このクルーズや自分のやりたいことじゃない仕事で責任を感じすぎて裏では鬱病の診断までもらっていた。(ガチ)
でも、ようやく陸に戻ってきてくれた。ここからは私がやっと対応できる。
船の中での状況をメンバーから全力で聞き、頭をフル回転させて、当日チケットの売上と経費計算・ドリンクの赤字額の想定・関係者への挨拶と謝罪・帰りの手順を秒速で練り上げた。
多分、このときほど頭が高速スピン回転していれば毎日の生産性は5倍くらい上がる気がする。(その代り重量級ストレスとトレードオフだが)
なんとか片付けを終え、車でシェアハウスに帰る準備をし、家でシェフたちにしっかり謝罪をして残ったお酒問題を話し合おうとAちゃんに声をかけたその時。
「ウチ、このまま新幹線で(関西の)実家に帰省予定なんです」
えーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?!
そんなことある!?!?!?!??!??!?!?!?!?マジ!?!?
流石に一瞬呼吸がストップした。
相当のストレスを抱えていたAちゃんのことを私はみていたけど、この話は本当に聞いていなかった。
もともとAちゃんは家族を大切にしていて、1ヶ月に1度は必ず帰省をする子だった。でも、まさかこのタイミングで、この足で帰省することは想定外だった。
ちなみに、クルーズイベントの準備をして本番一週間まえくらいからAちゃんは言葉数が極端に減り、1人で部屋にこもりっきりになっていたのだ。
あまり刺激するのはよくないと思い、こちらでできることは準備をすすめ、Aちゃんには最低限の現状確認をしながら準備をしていた。
そのことを考えると、まあ仕方ないと思い、帰りの車には私・タクシードライバー・Tちゃん・シェフ3人を乗せてシェアハウスへ向かったのだった。
THE★気まずいドライブ大賞No.1
ようやく車を返却して家につき、シェフたちと大量に余ったお酒の在庫の話をするときがきた。
「ドリンクの在庫、全てうちで買い取らせてもらいます。本当にご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。」
ドリンクの在庫はすべて買い取った。これでギリ黒字がギリ2万円くらいの赤字。だけど逆に2万円の赤字で解決できるなら、そんな安いことはなかった。
Tちゃんもわけが分からず本当に苦しかったみたいだ。こんなに長い3時間(クルーズの周遊時間)は初めてだったみたい。何もできないとはまさにこのことなんだとこの時悟ったらしい。
まー、そりゃそうよ。大半のお客さんに日本語通じないんだもん。
頭をさげることしかできなかったみたいだけど、和旅の何も知らずに運営を手伝ってくれたメンバーには本当に感謝がつきないよ。これ読んでくれてるかな?本当に、ごめんね。そして、本当にありがとう。
さて、こうしてギリシャキモノの寄付金を集めようと無理やり始まったイベントは、黒字を出して寄付金に回せるどころか2万円の赤字を抱えて終了したのでした。
第2部-完-
だいぶ省略したのですが、このクルーズ事件を書いていたら6000字を超えてしまったので続きはまた書きます。まさか3部構成になるとは。。。恐るべしクルーズ。
ちなみに、Aちゃんに関してですが、彼女は本当に特殊なチカラを持っています。それがあまりにも希少なものすぎて、ここで起こっていることは私が無理やり彼女にその役割を課してしまったがゆえにおきてしまったポジションの不一致です。
次回、彼女の素晴らしさをちゃんとお伝えできればと思います。
次回
・引っ越しにあたり片付け、大事な腕時計が消えた
・2年経った3人の現状
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