見出し画像

「星の基本定石から、ツケ二段の定石を掘り下げる!【有料記事】」

こんにちは。

IGOcompany【U】です。

財団法人日本棋院での15年間の勤務を経て、囲碁をビジネスに起業して、「宇佐美囲碁教室」という教室を運営したり、武蔵小杉の「永代塾囲碁サロン」にて指導碁会や交流会をしたり、世田谷や麹町、大学などで囲碁を教えたりしています。2023年4月から「新百合ヶ丘囲碁学園」の学園長を任されました。

毎月、最終土曜日に「有段者研究会U研」も主催しています。
良かったら遊びに来て下さい。

Twitter」や「Instagram」はこちらです。

先日、今まで書いた1年間のnoteの中から、囲碁の技術的なことを書いている記事を抜き出してみました。ダッシュボードを見ると、意外とよく読まれていて、そういう「囲碁が強くなるためのコンテンツ」って需要があるんだなぁとアラタメテ感じた次第です

読んでいただき、ありがとうございます。

まとめた記事は、今までの毎日noteの最中で書いてた記事なので、時事ネタもありますし、「軽い」解説もあるんですが、

その中から何か1個だけでも囲碁の「新しい事」を知れたら、それはプラスになると思いますし、囲碁の引き出しも増えると思います。

ちょっとした解説の中に、少しでも得るものがあれば嬉しいです。
もし良ければ覗いてみて下さい^^。

さて、本日は、前々から書きたいと言っていたnoteの有料記事に挑戦してみたいと思います。

目標は1万字で、ちょっとした論文くらいの量を目指してみます。

僕は囲碁で本格的にご飯を食べる前は、(並行して)ハナコや東京ウォーカーなんかの雑誌でライターをしていたりしたんですが、1日で1万字の原稿を書くことはナカナカありませんでした。

遠い昔なので覚えてないんですが、大学最後の1年間を使って書いた卒業論文がたしか2万字(くらい)だったような気がします。

今までnoteのようにツラツラと拙い文章を並べるだけではなく(いや、頑張って書いても僕の文章は拙いかもしれないんですが)、出来るだけしっかりした解説を意識して、わかりやすく説明していこうと思います。

テーマは、最近の碁で必ず登場する定石、
【ツケ二段の定石を掘り下げる】です。

このnoteを読めば、「ツケ二段の定石」のほぼ全てを理解できるように、深く深く掘り下げたいと思っています。

オンライン火曜教室や、木曜交流会で取り上げたテーマなのですが、
1時間くらい講義をして、生徒さんの反応を見ると、

意外と有段者でも理解していない部分があるなと気づいたので、今回のテーマにしようと思いました。

皆さんは、「ツケ二段の定石」を使いこなしているでしょうか?

例えば、

今日の画像でも使っているこの部分(下の図です)。

Aに打つ意味と、Bに打つ意味を正しく理解していますでしょうか?(どっちでもいいやと)何となくで打ってはいませんか?

ツケ二段の定石の基本形

今日のnoteでは、この形に対する明確な「答え」を提示したいと思います。

(※至らない部分はあるかと思いますが、読んでいただけると嬉しいです!)。

それでは行ってみましょう!!

【そもそも「ツケ二段の定石」とは?】

上の図にあります通り、星の石に対して、白1のカカリに黒2の受け、それに対して白3とツケていく定石になります。

黒4のハネに対して、またハネを打っていくので、ツケて二段(バネ)と打つ「ツケ二段の定石」と呼ばれています。

囲碁界にAIが台頭してきて、見直された定石のひとつです。ツケで打つことにより石が「張っている」と捉えられています。

最近は、プロの碁でも「この定石を見ない日はない」というくらい、よく打たれている定石ですね。

そのため、この定石に対する理解が勝敗に直結すると言っても過言ではありません。また、良く打たれる定石だからこそ様々な変化が存在します。

今回、掘り下げるにあたって、最初は10個くらいの変化図、参考図を用意してたんですが、全然それじゃ足りなかったです。説明したい部分、捕捉したいところを足していくと参考図は30個以上になりました。

基本の解説は、

「ツケ二段定石」を、サガリで打つのか、オシで打つのかの部分ですが、

サガリで打った場合のその後の展開、白から切りのキカシ、隅の死活、オシで打った場合の対応、相手が難解な手を打ってきた時の複雑な定石変化など多岐に渡って説明します。

どうぞお楽しみに!!

と、

その前に、

今日の題名にもあります通り、「ツケ二段定石」以前に良く打たれていた定石についても振り返ってみましょう。

「星の基本定石から、ツケ二段の定石を掘り下げる!【有料記事】」

星の石に対しては、江戸時代から続く(もっと前からあったかもしれません)「星の基本定石」が主流でした。

昔の碁を並べていると、何度も出てくる定石ですね。

星の基本定石

上の図が「星の基本定石」。

お馴染みの形なので、見たことのある人も多いと思います。

ホンの数年前はよく使われていた基本の打ち方ですが、今では、ほとんど見かけることがない定石となってしまいました。

とはいえ、プロの碁であまり見かけなくなったというだけで、アマチュア同士の対局では度々出てくる形です。僕も指導碁などで、よく打ちますね。

上の図の「星の基本定石」は、

お互い無難にワカレている印象で、

白1のカカリに対して、黒2の受け、この後、黒が白3の位置にトビを打つと右上隅の黒地が大きいので、白3のスベリで白は黒の地を値切って、黒は4と三々に受ける、そして、白5と二間ビラキを打てばお互い不満のない穏やかな定石になります。

では、何故、最近のプロの碁の中では、あまり見かけない定石となったのでしょうか?

この疑問から、最近多く見られるようになった「ツケ二段の定石」の登場につながるのです。

【黒の選択肢が多い→相手の選択肢を狭めたい】

星の基本定石、黒の選択肢

「星の基本定石」が廃れた理由は、上の図にあります白3のスベリに対して、黒の選択肢が豊富になるのが「気に食わない」というような感覚が、AIの発展と共に現代の碁で生まれたからです。

今まで普通に打たれていた手も、AIの発展・導入によって囲碁界に大きな変化をもたらしました。

人類の最後の砦(だった)囲碁が、アルファ碁に破られたのが2016年(WikipediaよりAlphaGo)。そこから、もう2023年なので、7年も経過したんですね。

すみません、話を戻します。

「星の基本定石」の白3のスベリがあまり打たれなくなった理由は、相手がこの手に対して「応手を色々と選べる立場」になるからです。

従来通り、白3のスベリに対して、黒Aと受けてくれれば白は何の不満もありません。昔ながらの「星の基本定石」です。

しかし、白3のスベリに対して、黒は「必ずしも受けなくても良い」ので、
Bのように手抜きをして大場に先行する着手を選べたりするのです(先行する場所のBの位置はあくまで例です。その局面ごとに好点は違うと思います)。

また、白3のスベリに対してCとハサミを打つ定石も存在します。
この定石になると、白3のスベリを打った白の方があまり良くないと言われているのです。

【黒が嬉しいと言われている定石】

星の基本定石、スベリに対して白1とハサミを打った変化

白3のスベリに対して黒4とハサミを打った場合は、このような変化になることが多いです。これも星の定石のひとつです。

例えば、白5の手で、白は黒の石を分断するように一間トビを打ったりすると、黒は黒6で三々に打ち、白が打ちたい所を両方打ったという感覚になってしまいます(この場合は黒満足)。

なので、白5と三々に打つのは逃せないところ。黒6のコスミツケに対してもサカレ形になってしまうので、白は7と受けざるをなく、ほぼ一本道でこの変化になってしまいます。

シチョウが良い場合は、黒12とカカエて打つのですが、仮にシチョウが悪くても黒はノビで打ちます。

そして、この形はAIの判断によると黒が有望と言われています。

(とはいえ、昔はこれで打っていたワケですし、ものすごい悪いということではないとは思いますが。。。)

ということは、白3のスベリを打つと、このような形になってしまう可能性も高いので、白はこの「星の基本定石」の変化を嫌うようになりました。

話が長くなってしまいましたが、

以上の理由から、

現代の碁では「星の基本定石」を打たれることが少なくなり、下図の白3のツケから「ツケ二段の定石」で打つことが多くなっていったのです。

白3のスベリだと黒は様々な対応が考えられましたが、白3のツケで打てば応手は限定されます。

【ツケ二段の利点は、相手が必ず「対応して」くれること】

白3のツケが相手の応手を限定しています。

白3のツケが重要な一手。「ツケにはハネよ」という格言がある通り、白3のツケに対して、黒は手抜きを選択することが出来ません(※できないことはないんですが、損が大きいという意味です)。

つまり、星の基本定石のスベリと違い、黒は手抜きが出来ず「必ずこのツケに対応しないといけない」のです。

このように石を張って打つことが好まれ、(僕は結構好きなんですけど)穏やかな星の基本定石の姿を見ることは少なくなりました。

現代の碁で、よく打たれるようになった「ツケ二段の定石」の登場です。

それでは、

ここから、その「ツケ二段の定石」の変化や考え方を掘り下げていきたいと思います。

何となくで打っている場合も多いと思いますので、是非、この機会に基本の考え方を取り入れてみて下さい。

【ツケ二段の定石の基本形を学ぼう】

再び、ツケ二段定石の基本形

黒6でアタリを打たずに隅をハネたりする場合もありますが、今回は割愛。

まずは黒6とアテて黒8とツナギを打つ、この基本形の形をしっかりと押さえておいてください(後半に違う場合の変化も説明します)。

そして、白9の連絡までが進み、テーマ図の形です。アマチュアの碁では、ほぼこの形通りに進行することが多いでしょう。

ここで黒番。

黒はAのサガリか、Bのオシかを選択します。

皆さんはAとBどちらに打ちたいでしょうか?

そして、その意味を理解しているでしょうか??

ちなみに、何も他に配石のない状態であれば、これはどちらも正解です。

どちらに打っても、一局の碁となります(気持ちとしてはオシの方が多いと感じていますが、もちろん、どちらでも構いません)。

僕は、自分の教室の講義で生徒さんに説明する時は、

「隅を取りたい場合はAのサガリを、中央を厚くする場合にはBのオシを打つんですよ」と話したりします。それも、間違いではありません。

しかし、基本があって、応用があるのです。

本当にその理解だけで良いのでしょうか?

上級者を目指すなら、さらにその一歩上の理解が勝敗を分ける鍵にもなりえます。碁の状況によっては、サガリか、オシかの選択によって、明確に好手と悪手に分かれてしまうのです。

囲碁には「定石を覚えて二目弱くなる」という嫌な格言もありますが、これは定石の意味を正しく理解しないで盲目的に使ってしまうと、結果的には悪手になってしまうよという戒めの格言です。

正しく理解すれば「棋理」が身に付き、囲碁の上達に役立つのが間違いありません。

【では、ツケ二段の定石をどのように使いこなせばいいのでしょうか?】

ここから実戦譜を使い、さらに「ツケ二段定石」を掘り下げていきたいと思います。

参考譜 1~65手まで

今回は、僕と生徒さんとの実戦譜を題材にしました。

黒が生徒さんで、棋力は初段近い級位者の方になります。

三隅でツケ二段定石が出てきますが、正しく使えているとは言えない状況です。

例えば、下図のAとB、皆さんはどちらに打ってみたいでしょうか?

参考譜 白24手目までの局面

ここは明確に、その後の展開に差がでる局面になります。

その答えは、以下の有料部分で解説します。

ちなみに、有料部分では参考教材をPDFでダウンロードできる形にしています。全部で、文字数は1万文字以上、参考図も30図以上の解説です。

返金設定はつけていないので、ご了承の上、ご購入いただけると嬉しいです。これから何十本も何百本も皆さんの役に立つ記事を発信していきたいと思っています。応援よろしくお願いします。

最後にサポート部分の文章をつけて、有料部分に移りたいと思います。

「サポートありがとうございます。コロナの影響もあり、今囲碁界はどんどん縮小していっています。どうにかしたいと思っている方は多いと思います。まずは小さな一歩から、囲碁の本を買ったり、近くの囲碁サロンに行ってみたり、周りに囲碁を教えてみて下さい。サポートは囲碁普及に使わせて頂きます。」

ここまで読んでいただき、ありがとうございました!

以下の部分から、有料部分に設定します。

こちらがサンプルの教材↓

ここから先は

5,265字 / 22画像 / 1ファイル
この記事のみ ¥ 980

サポートありがとうございます。コロナの影響もあり、今囲碁界はどんどん縮小していっています。どうにかしたいと思っている方は多いと思います。まずは小さな一歩から、囲碁の本を買ったり、近くの囲碁サロンに行ってみたり、周りに囲碁を教えてみて下さい。サポートは囲碁普及に使わせて頂きます。