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楽食探訪&エッセイ

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#リポート

楽食探訪:幻想だった、「ほっともっと」への憧れ。

都会暮らしの時に、 ほか弁屋さんを特に意識したことはなかった。 安くて、美味しくて、すぐに買うことのできる 便利なお店ではあったが、 いまほど“渇望”する存在ではなかった。 田舎には、当然、ほか弁屋さんは少ない。 と言うより、ある方が珍しい。 ところが、我が家から車で30分走れば、 なんと、2軒の「かまどや」がある。 田舎で、この存在感は大きい。 ほか弁は、ときどき食べたくなる。 スーパーやコンビニのそれとは、まったく別物だから。 できたてで温かいお弁当は、やはり

楽食探訪:「ねこまんま」のある大衆食堂。

そのお店の存在は、20年以上前から知っていた。 失礼な言い方だけど、どこにでもある古い大衆食堂だ。 どちらかと言えば、好きなタイプのお店だけど、 場所が家から遠いこともあり、 興味を持つこともなかった。 だけど、何度かお店の前を車で通っていると、 お客さんの出入りを目にすることもあった。 昼前頃だと、多くの人が押し寄せるかのように、 集まって来るのがわかった。 昔からやっていて、お客さんも多いので、 20年経って初めて興味が湧いてきたのだ。 いまは便利な時代で、

楽食探訪:最初で最後となった、ブリしゃぶ。

テレビのグルメ番組や旅行番組を観ていると、 冬になれば、いろんな鍋が紹介されている。 その地域ならではの味があって、興味深く観ている。 でも、本来私は、魚の入った鍋があまり好きじゃない。 子どもの頃は、 鯛とちりめんじゃこ以外の魚を食べなかったので、 その名残りだと思う。 大人になって、焼き魚や煮魚、 にぎり寿司は好きになったけど、 鍋はいまだに苦手だ。 どうも、生臭さを感じてしまう。 どれだけテレビの絵面が良くても、 美味しそうとは思わない。 でも、あの鍋だけ